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新竹県の尖石郷には有名な野湯が湧いているという情報を得たので、車で現地へ向かってみることにしたのですが、地図を見る限りでは大して遠くなさそうに思えたものの、実際にはまるで小腸のような細かくクネクネと曲がりくねった急カーブの坂道が延々と続き、ようやく坂道が終わったころにはひとつの山を越えていて、視界が開けた場所で景色を眺めてみたら、とんでもない山奥に来ていることに気づきました。眺望の先に聳える山には原住民の集落がポツンポツンと急斜面にへばりついているのですが、こんな山奥での生活はどんなものか、都会っ子の私にはとても想像ができません。
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山を越えたら一転して急な下りの連続です。エンジンブレーキを多用しながら渓谷の谷底へと下りてゆき、やっとのことで今回の目的地である秀巒地区に到着しました。地区の手前には吊り橋が架かっており、橋の袂には周辺の観光ポイントがある方向を示す案内が立っています。これによると橋の左側(下流側)に野渓温泉があるようなのですが、でもその方向の川原は重機が唸りを上げながら河川工事が行われている真っ最中で、とても野湯が湧いていそうな雰囲気はありません。
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この辺りでは川原の複数箇所から温泉が湧出しているらしいので、他にも野湯ポイントがあるに違いないと期待して、何の宛もなく吊り橋を渡ってみました。よく揺れる橋の上から渓谷の下流側を眺めたら、川へ向かって大きな台状の岩がせり出ているのが目に入ってきたのですが、これは当地の名勝のひとつである「軍艦岩」なんだそうです。なるほど軍艦に見えなくもないですね。
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吊り橋を渡ってしばらく歩くと、倉庫のような茅屋が数軒建っている場所に出くわしたのですが、倉庫と勘違いしたこの建物にはちゃんと人が暮らしており、そこに住んでいたオジサンに温泉はどこか訊いてみたら「あの道のずっと奥だ」と竹藪の奥へ続く杣道を指さしたのでした。
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オジサンが教えてくれたその杣道を進んでみたものの、途中で山崩れが起きていたり沢で滑りやすい箇所があったりと、なかなか険しい道中だったので、予想しなかった山歩きに悪戦苦闘。
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道を辿って川へ下り、遡ったり又下ったりして川岸を探索したのですが、どこも大きな岩だらけで温泉が湧いているような気配は全くありません。オジサンが教えてくれた温泉って本当に存在するのか…。下手に動いて遭難したらバカバカしいので、未知なる温泉の存在に後ろ髪を引かれながら、ここでの野湯は諦めて吊り橋へ戻ることにしました。
※後日判明したのですが、このさらに奥へ進むと泰崗温泉という野湯の湧出ポイントがあるんだそうです。
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吊り橋直下の右岸にも湧出地点があるらしいという情報を事前に得ていたので、そのポイントへも下りてみましたが、何かしらが溜まっていたと想像される白い跡が辺りの岩に残っていたものの、温泉の「お」の字も見当たりません。ありゃりゃ、こんな山奥まで来ておきながら、野湯を発見できずに退却せざるをえないのか…。
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もう一ヶ所、吊り橋からちょっと上流側の河畔に建つ「観渓亭」という東屋の近くにも温泉湧出点があるらしいので、最後の希望に縋りながら車でその方向へ行ってみたら、車が複数台駐車されているその東屋の傍に「野渓温泉」と書かれた標識が立っており、その標識が指す方向の川原には多くの人が集っているではありませんか。
なんだよ…。こんなイージーな場所にあったのか…。危ない山道を歩いたり川原に下りたりした苦労は完全に無駄骨でした。
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源泉の出口からは、辺りに硫黄の匂いを漂わせながら46.1℃の熱いお湯が湧出していました。その流路には温泉を好む深緑の藻類が生えており、白い綿状の湯花が付着しています。
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川原には人工的な湯溜まりが造られており、そこでの温度は44.8℃。ここに集まる人達は足湯を楽しんでいらっしゃったのですが、いくら足だけ浸かるにしてもこの温度ではさすがに熱かったらしく・・・
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湯溜まりの下流に穴を掘って小さな湯溜まりを造り、そこに集まって足湯していました。
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私がここへやってきてしばらくすると、先客の皆さんは足湯に満足したのか次々にその場から去り、気づけば私以外誰もいなくなってしまいました。誰もいないってことは、他人の視線を気にしなくても良いわけですから・・・
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その場で水着に着替えて湯溜まりで入浴することに。浅い湯溜まりなので全身浴するにはちょっと厳しいのですが、寝そべったら肩下まで浸かることができました。
お湯は無色透明ですが、底には硫化鉄と思しき黒っぽい灰色の沈殿が薄っすらと沈んでおり、お湯を動かすと湯溜まりは灰色に濁ります。ゆでたまごの卵黄のような匂いや味がとても強く、ツルスベ浴感もあって、とてもクオリティの高いお湯でした。湧出量がもうちょっと多くて湯溜まりも深ければ文句無いのですが、野湯ですから無い物ねだりしたって仕方ありませんね。硫黄感たっぷりの野湯を楽しめただけでも満足です。
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湯上りに周辺を軽く散歩してみました。川沿いの道から一本山側に入った路地には小さな集落が形成されており、民家のほか警察の派出所や民宿が立ち並んでいます。
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警察の隣には秀巒温泉の公共浴場もありました。浴場といっても所謂プールなのですが、夏のみの営業なのか、この日はゲートが堅く閉ざされており、フェンスの隙間にカメラを突っ込んで内部を撮影したところ、プールは空っぽでした。
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集落には小学校(秀巒国民小学)もあり、この画像を撮影した時間帯はちょうど生徒達が下校するところでした。外灯カバーには温泉マークが描かれており、当地の名物が温泉であることを物語っていますね。
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今回の記事で取り上げた内容を簡単な概念図にしてみました。
新竹県尖石郷秀巒村 地図
野湯につき24時間利用可能
無料
私の好み:★★★