温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

錦屏温泉 卡爾登美人湯館

2013年04月21日 | 台湾
 
前回取り上げた「秀巒温泉」に続いて、もうひとつこの界隈で人気のある某野湯(次回取り上げます)に入ってみたいと考えていたのですが、この日はもう時間が無かったため、その野湯は翌朝へ回すことにし、野湯から近い場所にある錦屏温泉で宿泊することにしました。当地には何軒かの旅館が営業しているんですが、その中から選んだのは「卡爾登(カールトン)美人湯館」です。事前に選択の決め手となる何かの情報を得ていたわけではなく、看板に記されていた「裸湯」という二文字に惹かれたのです。日本人ならやっぱり裸で温泉に入りたいですから。


●温泉入浴
 
まずは温泉から見て行きましょう。広い敷地には宿泊棟とSPA棟が別々に位置しており、宿泊客はフロントでもらえる温泉利用券を手にして、このSPAへと向かいます。SPAは水着で利用する戸外温泉エリアや温泉能量エリアの他、バラエティに富む冷水のプールなどがあるのですが、冷水プールは夏季のみ開放されるため、訪問日(3月)はクローズで利用不可。この他、裸で入る露天風呂もあります(上述のように私はこれに惹かれたのでした)。どれから攻めようか目移りしてしまうほど多くの温浴槽があるのですが、悲しいかな、この温泉利用券は発行当日限り有効、つまりチェックインした日にしか使えません。宿泊料金は結構いいお値段なんですから、せめてSPAくらい入り放題にしてくれても良さそうなものですが…。


 
SPAの受付で入浴券を差し出すと、引き換えにバスタオルが手渡されますので、これを小脇に抱えて階下へ。水着ゾーン(夏は冷水プールも)を利用する方は、このフロアの更衣室を利用します。さすが高級感のある施設だけあって、館内は広くて綺麗です。廊下に並ぶロッカーの数が凄いですね。


 
水着ゾーンの温浴槽の様子。メンテナンスがよく行き届いておりとても綺麗なのですが、山奥という立地に加えて料金が高いためか、この時のお客さんは2人しかおらず、せっかく綺麗で大きな温泉プールもその魅力を持て余していました。丸い槽は3つに分かれており、手前側から23.2℃、40.7℃、41.9℃という温度設定になっていました。



夏季限定の冷水プール各施設は、この日はクローズ。


 
今回は水着着用の温泉プールを利用せず、裸で入る露天風呂へ直行しました。こちらがその裸湯の入口です。階段を下りてドアを開けると浴室が広がっているのですが、そこから左へステップを数段上がると更衣室になります。室内は一見すると整っているようですが、棚には埃が溜まっていたり、また洗面台やシャワー下の排水などには汚れが残っていたりと、お手入れが少々雑である印象を受けました。鏡は大きいですし棚やドライヤーも多くて使い勝手は良好ですので、ちょっとした努力を怠らなければ文句無く優良な施設であると言えるのですが…。なお更衣室内にはロッカーが無いので、貴重品は先述した受付下のロッカーに預けます。


 
浴槽は露天風呂のみで、所謂内湯はありません。この時のお風呂には私の他に誰もおらず、悠々と利用することができました。洗い場にはシャワーが5基並んでおり、何故か洗い場の脇には塩の入った瓶が置かれていました。浴場内にサウナがあるのなら塩が用意されているのもわかるのですが、裸湯内にはそれらしく設備は無く、何のために塩が置かれているのか不明です。おそらく塩でお肌をマッサージしてね、といった意味なのでしょうけどね。


 
浴槽は大小がひとつずつ据えられ、大きな方は温泉槽、小さな方は水風呂です。温泉槽には石材でカバーされたアヒル口の湯口が3本設けられており、更衣室側で口を開けてる排水口より吸引排湯されていました。湯使いに関しては不明ですが、浴槽の構造やお湯のフィーリングから推測するに、おそらく循環されているかと思います。なおこちらの温泉は重曹泉型の単純泉で、見た目は無色透明、ほぼ無味無臭です。上述のようにお湯からは循環を想像させる鮮度の衰えがいくらか感じられるのですが、腐っても鯛と言っては大袈裟ですけど、重曹が主成分の温泉であるためにツルスベ感がはっきり肌に伝わり、浴感自体は決して悪いものではありませんでした。「美人湯館」という名称は、重曹による美肌効果に由来しているのでしょうね。


 
裸湯の露天風呂で私が気に入ったのは、川に面して設けられているこのテラスです。ウッドデッキにはデッキチェアがいくつも並べられており、お湯で火照った体をここに横たわらせていると、川から吹いてくる涼しい風が優しくクールダウンしてくれるので、とっても爽快なんです。また台湾の温泉によくあるBGMが流されていないので、自然界の音に包まれながら静かに寛ぐことができました。ただし川岸という場所ゆえに蚊が多く、うっかりしていると全身刺されまくってしまうかもしれません(私は2箇所やられました)。


●宿泊

次に宿泊棟の客室へ。お部屋は西洋式と日本的な和室の2種類から選択できるのですが、ベッド派の私は洋室をチョイスしました。スタッフには少しだけ日本語が話せる女性の方がいらっしゃり、その方のおかげでスムーズに手続きすることができました。部屋の構成としてはごく一般的なものですが、ドアを開けてまず目に飛び込んできたのは、ベッドの向こうにあるガラス張りの大きなバスルームです。


 
窓に面した開放的なバスルームには浴槽の他、シャワーやトイレ・洗面台などの水回り設備一式がまとめられています。景色を眺めながらお風呂に入ることができるわけですね。重厚感のある浴槽は2人同時に入れそうなゆとりのあるサイズです。なお窓にはフィルムが貼られているので、外から見られることはありません。


 
実際にお部屋の湯船にお湯を張ってみました。ちゃんと温泉が出てきます。SPAの浴槽と違ってこちらは使用の都度にお湯を張り替えるため、循環されていないお湯に入ることができるんですね。お湯のフィーリングとしては上述の露天風呂と大差ありませんが、こちらは僅かに黄色い濁りがあり、また土気に似た味も微かに感じられました。長い時間に及んで貯湯槽に溜められていたのでしょうけど鮮度感はそれほど悪くなく、むしろ重曹的なスベスベが露天風呂よりもはっきりしており、気持ち良い湯浴みが楽しめました。



宿泊料金には朝食が含まれており、食堂に赴いて席に着くとこのような色とりどりの小鉢が出されたので、これらをおかずにしてトーストやおかゆをいただきました。
なお客室ではWiFiが利用できますが、宿泊料金が高い割に冷蔵庫が無かったり、アメニティ類が平凡だったりするのが玉に瑕かも。また朝食時間が8時スタートとかなり遅いため、当日の予定がちょっと狂ってしまったこともネガティブに評価したくなるポイントでした。ま、私のようにせせこましく行動する者ではなく、ゆったりのんびりと過ごす方向けのホテルなのかもしれませんね。


単純温泉 44.3℃ pH8.1 蒸発残留物(TS)554mg/L
Na+:202.1mg, HCO3-:489mg,

新竹県尖石郷錦屏村5鄰69号  地図
03-5841199
ホームページ

露天風呂営業時間9:30~22:30
入浴(SPA利用)350元
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
コメント
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