明礬から鉄輪へ歩いて戻る途中の路地で「照湯温泉」の看板を見つけたので、それに導かれて路地へ入ってみることに。
付近の温泉櫓からは朦々と白い蒸気が空へ向かって上がっていました。櫓の下には丸い圧力タンクも設置されています。また、暗い画像でわかりにくく恐縮ですが、目指す浴場の手前の川原はちょっとした親水公園になっているようです。
ほほぉ、これが「照湯温泉」の湯屋ですね。妻面には般若面が飾られていました。魔除けなんでしょうか。あるいは、般若に湯とくればお酒の隠語だったりしますが、お酒と何か関係でもあるのかしら…。
浴場の前に伸びる緩やかな坂は「えんま坂」という名前なんだとか。閻魔様が険しい顔をしてこちらを睨みつけております。
こちらは浴場の玄関側。古いお風呂なんだそうですが、現在の建物は2003年に建て直されたんだとか。この時は夕刻だったので、中からは地元の方々の賑やかな話し声が聞こえてきました。
浴室は「殿様の湯」と「姫様の湯」に分かれており、前者は江戸時代からの石組みの古い浴槽が使われ続けてるんだそうですが、殿様だから男湯に固定されているわけではなく、両者は男女日替わりとなっていて、訪問日は「姫様の湯」が男湯になっていました。玄関入ってすぐのところに設けられている受付にておばちゃんに料金を支払い、湯屋左側の「姫様の湯」の戸を開けました。
比較的新しい建物ですが、伝統的な別府の共同浴場らしい様式を採用しており、即ち脱衣エリアと入浴エリアが一体化されています。脱衣エリアには洗面台が2台、そして扇風機が1台設置されており、使い勝手も良好です。ちなみにトイレの前にはベビーベッドみたいな台が設けられているのですが、決してベッドではなく、一体この台が何のために設置されているのか、一見の私には把握できませんでした。
この建物は木造なんでしょうか、浴室の床や腰高までの側面は石材が用いられているのですが、その他は全て木材であり、天井には太く立派な梁が渡されていました。木材のおかげで温もりが伝わる空間となっています。
新しい湯屋ですが伝統様式に則っているためか洗い場にカランは設けられておらず、その代わりに鏡が3枚貼られています。室内唯一(?)の水道蛇口には「飲用水」のプレートが貼り付けられているのですが、にもかかわらず蛇口の先には長いホースが接続されていました。
浴槽は正方形に近い形状であり、床や浴槽の底には四角く切り出された石材が敷かれています。壁から突き出ている樋から激熱のお湯や水が浴槽へ向かって流れており、湯船のお湯はほぼ無色透明ですが僅かに白く霞んでいるように見え、お湯の中をよく見ますと細かい白い湯の華が沢山浮遊していました。お湯からは砂消しゴムのような硫黄の匂いと味が、弱いながらも明瞭に感じられます。癖のないサラサラとした浴感です。
分析表を見てみますと溶存物質0.099g/kgとビックリするぐらいに薄いお湯なのですが、この数値やあっさりとした浴感、そして湯の花や硫黄感から推測しますに、おそらくこちらのお湯は湯屋の目の前で勢いよく湯気を上げていた源泉井で高温の蒸気に水を当てて造られる造成泉なのでしょう。こうした造成泉に対しては賛否両論がありますが、癖が無くて入浴しやすいのに意外と知覚がはっきりしているので、私個人としては結構好みのタイプの温泉です。次回訪問時には是非「殿様の湯」に入ってみたいものです。
照湯泉源
単純温泉 98.1℃ pH6.5 湧出量測定せず(自噴・掘削160m) 溶存物質0.099g/kg 成分総計0.113g/kg
Na+:14.7mg(64.65mval%), Ca++:3.5mg(18.18mval%),
Cl-:16.0mg(42.86mval%), SO4--:10.0mg(20.00mval%), HCO3-:24.0mg(37.14mval%),
HBO2:25.9mg, CO2:14.1mg,
源泉温度が高いため加水
大分県別府市小倉5組-1 地図
9:00~21:00
200円
備品類なし
私の好み:★★