(前回記事「台湾・北横公路横断ドライブ その1」の続編です)
今回はこの地図の中ほどにある玉峰を過ぎたところから、ワインディングドライブの続きを書き綴っていきます。
●玉峰から巴陵へ
玉峰からの道は、川から離れて山を登ってゆくにつれ路肩崩壊の区間は無くなっていきましたが、その代わり延々こんな感じで鬱蒼と生い茂る山の緑以外に何もない光景が続きます。でも道自体は川沿いの高い場所を等高線に沿ってトラバースするように敷設されていますので、ひだ状に切り込まれている谷を通り過ぎる箇所などで急カーブが続きますが、今までよりは勾配はゆるやかになりました。また幅員も1.5車線分はあるため、対向車がやってきても苦労なく離合できました。
トンネルを潜ったり、断崖絶壁の上を走ったり…。
玉峰からここまで人家らしきものは殆ど見当たらず。
【12:25 新竹県・桃園県の県境】
左(上)画像の小さなキロポストが立っている箇所が新竹県と桃園県との県境です。桃園県に入ると道路の幅は狭まり、舗装状態も悪くなってバンピーな箇所が断続的に出没しました。また徐々に小さな集落が道沿いに現れはじめるのですが、こうした山奥に暮らす原住民のみなさんはノーヘル&2ケツ3ケツでバイクに乗り、他の交通なんて気にせずに路地からいきなり飛び出してくることが多く、この道でも私はそのような飛び出しによって2度ほど急ブレーキを踏んで肝を冷やしました。自然災害のみならず、こうした事故にも注意しないといけないのです。
でも景色が良いところも多いので、途中で車を止めて山に深く刻まれた渓谷を眺めながら深呼吸し、気持ちを落ち着かせました。
●「北横公路」
【12:38 台7号「北横公路」と合流】
錦屏や玉峰から続いてきた県管轄の悪路もようやくここでオシマイ。
交差点で鋭角にグイっと右折し、ここからは省管轄の台7号「北横公路」区間に入ります。
【12:42 巴陵(標高608m)】
巴陵大橋を渡って巴陵集落へ。「北横公路」の真ん中に位置しており、道沿いには民宿や食堂も建ち並んでいる界隈の観光拠点です。ま、拠点というほど立派なところではないのですけどね。集落からちょっと離れた山中には、比較的規模が大きなリゾート施設が点在しているようです。当初はここでランチにしようかと思っていたのですが、あまり気が向くような店が見当たらなく、気づけば集落を通りすぎていたので、どこにも立ち寄りませんでした。
「北横公路」の山岳区間に突入です。舗装状態は良いのですが、幅員が狭くて離合困難箇所も多いので、前方の対向車には注意を要します。前方の見通しが悪く、鬱蒼とした木立によって昼でも薄暗いので前照灯の点灯も必須です。更にはこの道をツーリングする自転車の集団も多く、特に下りではかなりのスピードで飛ばしてきますから、彼らの存在にも要注意です。
【13:00 四稜(標高1170m)】
四稜地区に入りました。といっても人口はほとんどいないような寂しい場所です。
巴陵からここまでの約20分の間で500m以上も登ってきたんですね。
四稜の大漢守衛站から東へちょっと行った58.4キロポストが立つところは、温泉マニア、特に野湯ファンが注目すべきポイントです。キロポストの傍らには「湿って滑りやすい山道なので進入禁止」と記された赤い警告看板が立っており、看板の脇から一筋の獣道が急斜面を下っているのですが、この道の先には温泉が滝となって落ちている「四稜温泉」があるのです。ガードブロックをよく見ると、白いペンキで温泉マークが描かれていますね。
この獣道をひたすら下ってゆき、川を越えると四稜温泉があるんだとか。しかし谷へ下り切るまでの道は急で険しく、しかも深い川を渡渉しなければならないらしいので、今回はパスしました。どなたか興味がある強者がいらっしゃったら、是非チャレンジしてみてください。
【13:10 西村(桃園県と宜蘭県の県境)(標高1170m)】
桃園県と宜蘭県の県境にあたる西村を通過。この辺りから徐々に霧が発生しはじめました。
【13:20 「明池山荘」】
しばらく休みもせずに運転を続けていたら、疲れがたまって軽い眠気に襲われたので、県境から10分ほど進んだところにある「明池山荘」の駐車場で10分ほど休憩することに。
敷地内では日本から移植された大島桜が見頃を迎えており、淡い色をした花弁は山の霧でしっとり潤っていました。山の肌寒さと桜の可憐さのおかげで眠気はおさまったので、再び車に乗り込んで先へ急ぎます。
ちなみにこの「明池山荘」からちょっと東へ進んだ地点が「北横公路」の最高地点(標高1216m)なのですが、マヌケな私はそのことに全く気づかずスルーしてしまいました。
宜蘭県に入ると急に霧が立ち込め視界が悪くなってしまいました。崖の岩はコケが生えて緑色に染まっています。山を境にして、東側は雨が多いのでしょうね。台湾には「竹風蘭雨」という言葉があって、新竹はいつも風が吹いている地域であり、宜蘭は雨が多い地域であることを表しているんだそうですが、岩を覆うコケはまさにその言葉を象徴しているかのようでした。
【14:05 百韜橋(標高320m)】
シフトレバーを2速に入れっぱなしで900m近い標高差を一気に下ってゆくと、少しずつ霧が晴れ、そして急に視界が開けて目の前に蘭陽渓の広い河原と丁字路が現れました。山越えの終点である百韜橋に到着です。ここを右折すれば太平山や梨山方面、左折すれば宜蘭の市街となります。
災害にも事故にも遭わず、オーバーヒートすることなく、ブレーキが焼けることもなく、約85kmを2時間50分で無事に走破することができました。まだ日没までは時間がたっぷりあったので、山越えドライブの疲れなんてどこへやら、私は早速温泉めぐりを続けるのでした。
さて、2回連続でこの山道ドライブについて書き綴って参りましたが、別にここで無事走破したことを自慢しようと企んで記事にしたわけではありません。正直なところ、この程度の道ならどなたでも運転できるはずです。だって私ですら運転できたのですから。むしろ記事を通じて、このルートでしたらどなたでも運転できるんだということをお伝えしたかったのです。ただ、慣れない異国の地ならではの事情もありますから、その点も一緒にご紹介しつつ、是非皆様にも台湾でレンタカーを利用して奥地の温泉へお出かけいただきたいと企図した次第です。
今回はこの地図の中ほどにある玉峰を過ぎたところから、ワインディングドライブの続きを書き綴っていきます。
●玉峰から巴陵へ
玉峰からの道は、川から離れて山を登ってゆくにつれ路肩崩壊の区間は無くなっていきましたが、その代わり延々こんな感じで鬱蒼と生い茂る山の緑以外に何もない光景が続きます。でも道自体は川沿いの高い場所を等高線に沿ってトラバースするように敷設されていますので、ひだ状に切り込まれている谷を通り過ぎる箇所などで急カーブが続きますが、今までよりは勾配はゆるやかになりました。また幅員も1.5車線分はあるため、対向車がやってきても苦労なく離合できました。
トンネルを潜ったり、断崖絶壁の上を走ったり…。
玉峰からここまで人家らしきものは殆ど見当たらず。
【12:25 新竹県・桃園県の県境】
左(上)画像の小さなキロポストが立っている箇所が新竹県と桃園県との県境です。桃園県に入ると道路の幅は狭まり、舗装状態も悪くなってバンピーな箇所が断続的に出没しました。また徐々に小さな集落が道沿いに現れはじめるのですが、こうした山奥に暮らす原住民のみなさんはノーヘル&2ケツ3ケツでバイクに乗り、他の交通なんて気にせずに路地からいきなり飛び出してくることが多く、この道でも私はそのような飛び出しによって2度ほど急ブレーキを踏んで肝を冷やしました。自然災害のみならず、こうした事故にも注意しないといけないのです。
でも景色が良いところも多いので、途中で車を止めて山に深く刻まれた渓谷を眺めながら深呼吸し、気持ちを落ち着かせました。
●「北横公路」
【12:38 台7号「北横公路」と合流】
錦屏や玉峰から続いてきた県管轄の悪路もようやくここでオシマイ。
交差点で鋭角にグイっと右折し、ここからは省管轄の台7号「北横公路」区間に入ります。
【12:42 巴陵(標高608m)】
巴陵大橋を渡って巴陵集落へ。「北横公路」の真ん中に位置しており、道沿いには民宿や食堂も建ち並んでいる界隈の観光拠点です。ま、拠点というほど立派なところではないのですけどね。集落からちょっと離れた山中には、比較的規模が大きなリゾート施設が点在しているようです。当初はここでランチにしようかと思っていたのですが、あまり気が向くような店が見当たらなく、気づけば集落を通りすぎていたので、どこにも立ち寄りませんでした。
「北横公路」の山岳区間に突入です。舗装状態は良いのですが、幅員が狭くて離合困難箇所も多いので、前方の対向車には注意を要します。前方の見通しが悪く、鬱蒼とした木立によって昼でも薄暗いので前照灯の点灯も必須です。更にはこの道をツーリングする自転車の集団も多く、特に下りではかなりのスピードで飛ばしてきますから、彼らの存在にも要注意です。
【13:00 四稜(標高1170m)】
四稜地区に入りました。といっても人口はほとんどいないような寂しい場所です。
巴陵からここまでの約20分の間で500m以上も登ってきたんですね。
四稜の大漢守衛站から東へちょっと行った58.4キロポストが立つところは、温泉マニア、特に野湯ファンが注目すべきポイントです。キロポストの傍らには「湿って滑りやすい山道なので進入禁止」と記された赤い警告看板が立っており、看板の脇から一筋の獣道が急斜面を下っているのですが、この道の先には温泉が滝となって落ちている「四稜温泉」があるのです。ガードブロックをよく見ると、白いペンキで温泉マークが描かれていますね。
この獣道をひたすら下ってゆき、川を越えると四稜温泉があるんだとか。しかし谷へ下り切るまでの道は急で険しく、しかも深い川を渡渉しなければならないらしいので、今回はパスしました。どなたか興味がある強者がいらっしゃったら、是非チャレンジしてみてください。
【13:10 西村(桃園県と宜蘭県の県境)(標高1170m)】
桃園県と宜蘭県の県境にあたる西村を通過。この辺りから徐々に霧が発生しはじめました。
【13:20 「明池山荘」】
しばらく休みもせずに運転を続けていたら、疲れがたまって軽い眠気に襲われたので、県境から10分ほど進んだところにある「明池山荘」の駐車場で10分ほど休憩することに。
敷地内では日本から移植された大島桜が見頃を迎えており、淡い色をした花弁は山の霧でしっとり潤っていました。山の肌寒さと桜の可憐さのおかげで眠気はおさまったので、再び車に乗り込んで先へ急ぎます。
ちなみにこの「明池山荘」からちょっと東へ進んだ地点が「北横公路」の最高地点(標高1216m)なのですが、マヌケな私はそのことに全く気づかずスルーしてしまいました。
宜蘭県に入ると急に霧が立ち込め視界が悪くなってしまいました。崖の岩はコケが生えて緑色に染まっています。山を境にして、東側は雨が多いのでしょうね。台湾には「竹風蘭雨」という言葉があって、新竹はいつも風が吹いている地域であり、宜蘭は雨が多い地域であることを表しているんだそうですが、岩を覆うコケはまさにその言葉を象徴しているかのようでした。
【14:05 百韜橋(標高320m)】
シフトレバーを2速に入れっぱなしで900m近い標高差を一気に下ってゆくと、少しずつ霧が晴れ、そして急に視界が開けて目の前に蘭陽渓の広い河原と丁字路が現れました。山越えの終点である百韜橋に到着です。ここを右折すれば太平山や梨山方面、左折すれば宜蘭の市街となります。
災害にも事故にも遭わず、オーバーヒートすることなく、ブレーキが焼けることもなく、約85kmを2時間50分で無事に走破することができました。まだ日没までは時間がたっぷりあったので、山越えドライブの疲れなんてどこへやら、私は早速温泉めぐりを続けるのでした。
さて、2回連続でこの山道ドライブについて書き綴って参りましたが、別にここで無事走破したことを自慢しようと企んで記事にしたわけではありません。正直なところ、この程度の道ならどなたでも運転できるはずです。だって私ですら運転できたのですから。むしろ記事を通じて、このルートでしたらどなたでも運転できるんだということをお伝えしたかったのです。ただ、慣れない異国の地ならではの事情もありますから、その点も一緒にご紹介しつつ、是非皆様にも台湾でレンタカーを利用して奥地の温泉へお出かけいただきたいと企図した次第です。