温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

亀川筋湯温泉

2013年03月26日 | 大分県
 
別府駅から列車で2つ隣の駅に当たる亀川にやってきました。
道の両側に商店が建ち並ぶバス通りを歩いていますと、緑色のトタンがよく目立つ掘っ立て小屋に出くわしました。玄関の上に掛かっている扁額を見ますと「亀川筋湯温泉」と記されているではありませんか。これは是非入ってみなければ!!



玄関横にプレートには筋湯という名称の由縁が説明されていました。ここにその全文を書き写します。
「温泉が湯口から白く濁って出て来るのは、薬師様が入ったためである。だからその後で入ると病気が良くなる。」と伝えられ、リューマチや神経痛の治療によく利用されている。杖をついて入湯に来た人が、数日間湯治をして、杖を置いて帰ったという話をよく聞く。心つくしのお賽銭で入浴できます。


 
私もお薬師様の霊験にあやかるべく、お賽銭箱に入浴料代わりの気持ちを納めさせていただきました。無銭入浴はきっと罰が当たるんでしょうね。南無南無。



蒲鉾の板のような名札に下手っぴな字で書かれている「男右」という文字が、なんとも言えない良い味を醸し出していました。


 
玄関を入ってすぐにお風呂です。別府標準の脱衣スペースと入浴スペースが一体となった構造なのですが、共同浴場の狭さに慣れている私でも驚くほど、こちらの室内はとてもコンパクトでして、もしかしたら信州野沢温泉の外湯に併設されている洗濯湯の方が大きいんじゃないかと思われるほどでした。しかも脱衣スペースが狭くて括り付けの棚も小さいために、この時着ていたガサばる冬物の衣類を棚に収めようとしたら、収まりきらずに洗い場へ落ちてビショビショになる寸前でした。

壁一枚隔てた向こうでは路線バスや買い物のお母さんたちが往来しており、また周囲には民家や商店が密接しているため、あらゆる生活の音がすぐ傍から響いてきます。ガタピシの陋屋の中で私は全裸になって入浴していたわけですが、薄い壁のすぐ外側では亀川の街の日常生活が動いているのですから、その対比を頭の中で想像して俯瞰してみたら、とっても不思議な気持ちになりました。



浴槽は2~3人サイズの四角形で、底には板が敷かれています。女湯側に2つの穴が開いているため、槽内のお湯は男女双方で行き来できるようです。湯船に張られているお湯は無色透明で、この日は薬師様が留守だったのか、浴場名となった白い筋は見られませんでした。


 
浴槽の隅っこに設けられている源泉溜まりには蓋が被せられており、その上にはコップが置かれています。私が入浴中、隣の女湯からは蓋を開けてお湯を汲み出す音が聞こえてきました。このお湯は浴用のみならず、生活のいろんなシーンで使われているんですね。コップでお湯を口にしてみますとほぼ無味無臭で殆ど癖がありません。温泉としては掴みどころのないものでしょうけれども、日常生活の中で使うのでしたら、入浴でもそれ以外でも、こうしたお湯の方が使い勝手は良いでしょうね。
湯船に浸かりながら耳にする生活の音がとても印象に残った共同浴場でした。


温泉分析表見当たらず

日豊本線・亀川駅より徒歩10分(800m)、または亀の井バスor大分交通バスで「亀川中町」「亀陽泉」いずれかのバス停より徒歩1~2分
大分県別府市亀川中央町4-16  地図

7:00~20:00
賽銭
備品類なし

私の好み:★★★
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市の原共同温泉

2013年03月25日 | 大分県

別府の「市の原共同温泉」は基本的に地元民専用ながら外来者も利用できるありがたい共同浴場のひとつ。「おたふくわた」の琺瑯看板が良い味を醸し出している、古くて草臥れた木造の湯屋が実に魅力的ですね。「組合員以外の無料入浴堅くお断り致します」とのことですので…


 
斜前の酒屋兼食料品店にて入浴券を購入しました。券面の右肩には通し番号がふってあります。今回は朝9時頃に訪問したのですが、番号によればその時点で既に33人が利用しているってことになりますね。さすが別府だ。



倉庫のような入口の引き戸を開けて中へ入ると、すぐ目の前に仏様が祀られている棚があり、その下に水色の小箱がくくりつけられていました。先客のおじいさん曰く「入浴券はその箱へ入れて下さい」とのことでしたので、券を半分に折って箱の口へ投入しました。



昭和のノスタルジーがたっぷりな浴室。この雰囲気に包まれるだけでも幸せです。


 
室内は別府の共同浴場では一般的な、脱衣所と浴室が一体化された造りです。脱衣スペースには入浴券を釘に刺しておくボードがありますが、上述のように今回はこちらを使用しませんでした。



羽目板の壁に掲示された各種案内や注意書き。「何時も笑顔で明るい浴場」という標語が微笑ましいですね。


 
浴室の床や浴槽ともに切り出された石材が用いられており、槽内には墓石を半分に切ったような石材が5枚敷かれていました。
お風呂で使われる源泉は、まず湯船左隅の小さな湯溜まりに落とされてから浴槽へと注がれています。その湯口は長年の温泉成分の付着によって赤く染まっており、またトゲトゲの析出もたくさん発生していました。また湯溜まりには木の栓が突っ込んであり、これを抜いたり挿したりすることによって、湯船への流量を調整するようになっています。
お湯は無色透明で、薄いけれどもはっきりとわかる甘い塩味、そして防虫剤のような匂いと正露丸のような匂いがそれぞれ薄っすらと感じられます。当然ながら湯使いは完全かけ流しで、お湯に体を沈めるとキリリとした鮮度が全身に伝わり、湯上りにはいつまでもポカポカと温感が持続しました。


ナトリウム-塩化物泉

大分交通「市の原」バス停より徒歩1分
大分県別府市新別府7組1  地図

5:30~22:00
200円
備品類なし

私の好み:★★★

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下北沢駅の碍子

2013年03月24日 | 東京都・埼玉県・千葉県
※今回の記事に温泉は登場しませんのであしからず。

3月16日には東急東横線の渋谷駅が、同23日には小田急線下北沢駅が、それぞれ地下化されて地上施設は長い歴史に幕を閉じ、両駅では消えゆく姿を記録しようと、鉄ちゃんのみならず老若男女あらゆる方々がカメラを構えていましたが、小田急線←→井の頭線←→東横線を通勤ルートとして毎日使っている私としては、下北沢・渋谷両駅における乗り換え時間と距離がとてつもなく長くなってしまい、毎日が苦行になってしまいました。今使っている定期券の有効期限が切れたら、乗換駅を変えようっかな…。とはいえ、子供のころから今に至るまで、乗り換えのみならず飲み食いや買い物・遊びなどで両方の街には毎日のように通っているため、今回の街並みの変貌には感慨も哀愁もひとしおです。さて旧駅の画像に関しては多くの方がネット上でアップなさっていますが、私個人としては下北沢駅のとあるものが姿を消してしまうことに一抹の淋しさを覚えております。そのものとは・・・



この画像は小田急下北沢駅旧駅の下りホーム。真上を井の頭線の線路が跨いでおります。ちなみに背景に建つマンションの下層階には本多劇場がありますね。



ホームから井の頭線の盛り土擁壁を見てみますと、雨水排水管と並行して2つの突起が確認できます(黄色い○の箇所)。赤い矢印については後述します。



突起の部分をアップしてみましょう。井の頭線(戦前の帝都電鉄)は昭和8年に小田急の弟分として開業しましたが、この2つの突起は、戦前に兄貴分の小田急から弟分の帝都電鉄へ電気を分ける電線を固定していた碍子であります。小田急と井の頭線の間に改札がない駅の構造は、両線がかつて同じ会社であった名残ですが、こんなところにも戦前の面影が残っていたのであります。消えゆく駅や踏切を撮影する人はたくさんいても、この碍子をカメラに収める人は皆無でした。小田急の地上ホームが閉鎖されたためにもうこの碍子を見ることはできませんし、井の頭線も現状の築堤から高架橋に切り替えられる予定ですから、碍子自体も数年後には姿を消します。
そうそう、上の方の画像に写っている赤い矢印は井の頭線の架線柱を指しているのですが、この鉄鋼製の架線柱は帝都電鉄時代から80年も現役で頑張っているものです(たしかそのはず)。下北沢は街並みだけではなく、鉄道施設にも昭和の面影が残っていたんですね。
酔っぱらって家路に就く途中に、駅のホームで小田急の終電を待ちながら、この碍子を眺めて昔日の光景を想像していたのですが、そんな想い出ももう過去のもの。明日からは地下5階の新ホームへ上り下りしなければ…。
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伊豆見高入谷高原温泉

2013年03月23日 | 静岡県
 
国道沿いに立っていた看板に誘われて、河津町の山の中にある日帰り温泉入浴施設「伊豆見高入谷高原温泉」を利用してきました。国道沿いのみならず、道中の辻々で看板が道案内してくれるので、国道からクネクネした道を2kmほど奥へ入った山林と畑しかないようなわかりにくい場所ですが、道には迷うこと無く辿り着くことが出来ました。


 
前庭では桃色の花を咲かせた河津桜が春の訪れを告げていました。この庭にある水場ではお水を汲む人の姿が見られましたが、この水って美味しいんでしょうか。また、建物の前の道路にはなぜか水を貯めたボートが置かれているのですが、こんな山の奥にボートなんか運んできてどうするつもりだったんでしょうか。ノアの方舟みたいなものかしら。



敷地内にはコテージも併設されています。ベランダからの眺めが良さそうな、シックで落ち着きのある外観ですね。綺麗でスッキリした外観から推測するに、まだ建てられてあまり経っていないように思われます。


 
こちらの施設は受付と浴場が別個の棟になっており、まずは受付棟で料金を支払います。地元の地区の方々が運営にあたっており、小さなカウンターに座っていた朗らかそうなお爺さんは、私が支払った500円玉と引き換えに入浴券の半券を手渡して曰く「10枚集めれば1回無料ですので是非どうぞ」と、一見客とはわかっているけれども形式的に伝えているんですよと言わんばかりに、はにかみながらそうおっしゃっていました。受付前では地元産の柑橘類や農産品が販売されており、また奥の方には座敷のようなスペースもあって、地元の方の団欒の場となっていました。
浴場棟は受付棟の奥に隣接しており、手前が男湯、奥が女湯で固定されているようでした。


 
濃淡のはっきりとしたコントラストが落ち着きのある雰囲気を醸し出してる脱衣室。洗面台は2台あり、扇風機も設置されています。よく手入れされており綺麗で清潔感があるのですが、共同浴場を思わせるようなコンパクトな造りであるため、一度に4人以上同時に利用すると窮屈になってしまいそうです。
壁に提げられているコルクボードには温泉に関する説明があり、「源泉かけ流しにつき湯船に、白または薄黄色の不純物が浮く場合がありますが、『湯の成分』ですので安心してご利用ください」とのことです。



お風呂は内湯のみで露天はありません。浴室も全体的に黒基調で統一されており、落ち着きと重厚感のあるデザインです。清潔感が保たれているので気持ちよく利用できました。


 
洗い場にはシャワー付き混合栓が4基並んでおり、そこに用意されているボディーソープやシャンプーは、「ニューサマーオレンジ」と称するJA伊豆太陽オリジナルの柑橘系香料が強いものでした。


 
浴槽は黒い石板貼りの四角い4人サイズのものが据えられています。木組みの湯口からは30~35℃くらいのぬるいお湯が落とされているのですが、さすがにこれでは浴用に適さないため、浴槽内からも加温されたお湯が供給されています。この湯口と対称の位置には排水口があり、湯船のお湯はそこから吸い込まれてゆくため洗い場へのオーバーフローはありません。でも投入量に対して吸入量が少なくて釣り合っていないようでしたので、この他にも槽内吸引があるのかもしれません(実際に底には吸引口があるのですが、そこでの吸込は確認できませんでした)。

お湯は無色透明で、湯面には白く細かい粉っぽいものが浮いているのですが、これは上述の説明にあった源泉由来の物質なのでしょう。分析表によれば湧出温度は43.1℃なのですが、この浴場の開設に際して源泉をいじったら湧出温度が下がってしまったため、実際には30℃台での湧出であり、加温の上浴槽へ供給しているんだそうです。お湯からは弱めですがはっきりと塩素臭が臭ってきましたから、消毒も実施されているはずです。館内表示の「かけ流し」という表現を信じるならば、生源泉を投入しつつ、加温や消毒、更には循環も行なっているんだろうと推測されます。いわゆる半循環というものですね。伊豆では「かけ流し」という言葉に対して曖昧な意味を持たせている施設にしばしば遭遇しますので、槽内に吐出口や吸引口を見つけるとついつい疑心暗鬼になってしまいますが、でも確かに木組みの湯口から吐き出されるぬるいお湯からは塩素臭は一切ありませんでしたから、このお湯に関しては「かけ流し」と表現してもよいのかもしれません。それどころか、お湯に鼻を近づけて嗅いでみると、柑橘類を思わせるオレンジフレーバーを配合したミシン油のような匂いがふんわりと香り、口に含むとほろ苦さが感じられました。
浴槽では掴みどころのない没個性なお湯と化しているのですたが、少なくとも源泉段階では面白い個性を有したお湯であるようです。浴感としては癖のない無いサラサラとしたサッパリ系で、特に食塩や硫酸塩などの知覚は感じられませんでしたが、それゆえに地元の方々が日常で使うには良さそうです。

ちなみに分析表の申請者名は河津町長となっていることから、この源泉は町有であることが予想されますが、そこに記されている内容がちょっとトンチンカンなのです。例えば、硫酸イオンだけイオン式が抜けていたり、アルミニウムイオンがAl3(+が抜けている)、炭酸水素イオンがOC3^2+(完全にめちゃくちゃ)と表記されていたり…。おそらく館内表示の分析表は、どなたかが原本を見ながらワープロソフト等で書き写したものと思われますが、残念ながらその方にはあまり知識がなかったのではなかろうかとお察しします。ま、分析表を真剣に読む人なんて一部のマニアしかいないでしょうから、そんなに問題は無いのでしょうけどね。

比較的アクセスしやすいにもかかわらず、地元の方とふれあいながらちょっとした秘湯感が楽しめる、綺麗で使い勝手の良い日帰り温泉でした。


見高入谷温泉
アルカリ性単純温泉 43.8℃ pH9.1 97L/min(掘削・動力揚湯)
Na+:31.5mg(90.13mval%),
Cl-:7.2mg(12.66mval%), SO4--:19.6mg(25.95mval%), HCO3-:23.2mg(24.05mval%), CO3-:17.4mg(36.71mval%),
H2SiO3:50.5mg,
源泉温度が低いため加温
塩素系薬剤で消毒
循環処理については不明

静岡県賀茂郡河津町見高2064-13  地図
0558-32-3556
ホームページ

10:00~21:00 木曜定休
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
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河津 某所の足湯処

2013年03月22日 | 静岡県
今回の記事で取り上げる浴場は、地元専用ながらも期間限定で一般開放されているのですが、その特殊な開放形態ゆえ、あえて浴場名の記載を控えさせていただきます。でも画像にはしっかり名前が写っていますので、どうしても場所を知りたい方は画像でご確認ください。また、本年の一般開放期間は既に終了しておりますので、その点につきましてもご了承ください。


 
 
2013年3月の某日、麗らかな春の陽気に誘われて伊豆の河津桜を観賞してまいりました。毎年桜の時季になると河津町では「河津さくら祭り」が開催されますが、この日はちょうど桜が満開を迎え、天候にも恵まれたため、桜並木の土手道は立錐の余地がないほどの花見客で埋め尽くされていました。土手の菜の花のイエロー、桜のピンク、そして晴れ空のブルーというトリコロールが非常に鮮やかですね。普段は酷い花粉症に悩まされる私も、この景色を目にした途端に憂鬱な心情が晴れて、身も心も軽やかでした。でも拙ブログが花見をテーマにするはずありません。別の目的があるからこそ、足取りがより一層軽くなっていたのかもしれません。人混みから離れて、桜が植わっていない対岸の住宅地へと向かいます。



県道から伸びる路地には「○○立寄り湯 Yatsu free hot spring」と記された標識が立っています。
"free"ですって!? 


 
標識が示していた温泉とは、川岸に位置するこの施設を指しているものと思われます。屋上の貯湯タンクに描かれたイラストは、桜並木の下を歩く花見客からも非常によく目立っており、当地を訪れた方なら必ずや目にしているのではないでしょうか。
この施設は1階が地元住民用の共同浴場で組合員以外使用不可能なのですが、階段を上がって屋上に出ると足湯処が誂えてあり、こちらはだれでも無料で足湯を楽しむことができます。標識の"free"とはこの足湯のことなんでしょうね。川越しに対岸の桜を眺めながら足湯に浸かることができるので、この日は多くの観光客で賑わっていました。


 
「○○温泉立ち寄り湯」と書かれていながら、外来客が立ち寄れるのは階段を上がったところにある足湯だけ。


 
しかしながら、桜まつり期間中の10時~15時限定で、1階の共同浴場も一般客に無料開放されております。つまり春の僅かな期間だけ名実ともに「立ち寄り湯」になるわけです。桜だけじゃなくて温泉も楽しんでもらおうと企画してくださる河津の方のご好意に心から感謝です。
この浴場では組合指定の桶が入浴証の代わりとなっているため、浴室内には桶がありません。このため、一般開放中に外来者が利用する場合は、表に用意されている貸し出し用の桶を手にしてから浴室へ入りましょう。



なお、施設の壁に固定掲示されている案内にも、桜まつり期間中には浴場を開放する旨が記されています。


 
表の人混みが嘘のように、訪問時の浴室には誰もおらず、終始独り占めでこのお風呂を利用させていただきました。男女別の内湯のみで、脱衣室・浴室共に共同浴場らしい実用的な造りですが、綺麗でとてもよく手入れされています。脱衣室ではロッカーが利用できる他、洗面台1台、そして扇風機も設置されています。
男湯の場合、浴室内の右手に洗い場が、左手に浴槽が一つ据えられており、タイル貼りの浴槽は4人サイズです。浴槽上部の壁には左から温泉、温泉、水道と3つの蛇口が並んでいます。ホースに接続されている左側の蛇口はハンドルが抜き取られており、常時チョロチョロと熱い源泉が浴槽へ注がれて湯船の湯加減を維持していますが、一方で、真ん中の温泉用蛇口と右側の水道蛇口は普段は締められており、入浴客が任意で開閉して湯加減を調整します。私はちょっと熱めのお風呂に入りたかったので、この時はお湯の蛇口を開かせていただきました。吐出口の周りには白い析出が付着していますね。



洗い場にはシャワー付き混合水栓が3基並んでいます。上述の理由により、室内に桶は用意されていません。シャワーのお湯はおそらく源泉使用ではないかと思われます。

湯船のお湯は無色透明で綺麗に澄んでいますが、お湯に差し込んだ光は特殊な屈折でもするのか、ベージュ色の浴槽タイルは、お湯に浸かっている部分だけ青っぽく変色しているように見えました(決してタイル自体が変色しているわけではありません)。また、ほぼ無味無臭で塩味などは殆どありませんが、パラフィンのような匂いや芒硝の味がほんのりと感じられました。
蛇口から出てくるお湯はとても熱く、直接手で触れるのは憚られます。上述の案内表示には温度が高いために加水している旨が記されていましたが、これは浴槽用の水道蛇口を指しているのでしょうから、水道を使わなければ、完全掛け流しの湯使いとなるはずです。実際に私はそのような方法で入浴し、湯船に体を沈めたら、お湯が一気にオーバーフローして浴室内は洪水状態になってしまいました。硫酸塩泉のようなキシキシ感やトロトロ感にサラスベ感が混在し、お湯の鮮度も素晴らしく、丁度良い湯加減も相俟って、出ようにも出られなくなるほど気持ち良いお湯でした。こんなお湯に毎日入れる地元の方が羨ましいなぁ。花見客のほとんどが知らない、まさに穴場の中の穴場。素晴らしいお湯でした。


混合泉(峰1,2,20,28号、谷津6,38,29号)
ナトリウム-塩化物温泉 62.1℃ pH8.0 成分総計1.077g/kg 
Na+:279.4mg,
Cl-:401.7mg, SO4--:134.5mg, HCO3-:60.1mg,
H2SiO3:122.9mg,
加水あり(温度が高いため)、加温循環消毒なし

静岡県賀茂郡河津町谷津

入浴利用時間:さくら祭り期間中のみ 10:00~15:00
足湯利用時間9:00~16:00(さくら祭り期間中9:00~20:00)
※2013年の河津桜まつりは終了しました。次回入浴できるのは来年以降です。
無料
備品類なし

私の好み:★★★


●(おまけ)河津浜露天風呂の現状(2013年3月現在)
 
県道14号と国道135号が交わる谷津交差点前のセブンイレブン傍にあった「河津浜露天風呂」は、入浴姿が思いっきり公衆の面前に晒されてしまうとてもオープンな環境ゆえに、一部のマニアを除いて利用しにくい露天風呂でしたが、先日私が現状を確認したところ、お湯は完全に止まっており、浴槽も朽ち果て、その中にはゴミが投棄されて、とてもここがお風呂だったとは信じられないほど無残な姿となっていました。もう復活はしないでしょうね。

コメント (2)
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