温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

津軽富士見ランドホテル

2013年08月13日 | 青森県
※現在休業中

 
前回に引き続き、五所川原郊外の原子地区にある温泉旅館を取り上げます。今回は前回紹介した「夢野温泉」の前から奥へ伸びる砂利道を進んだ突き当りに位置している「津軽富士見ランドホテル」です。


 
ロビーの帳場にて料金を支払います。館内は民芸調の内装に統一されているのですが、正直なところ、いま一歩センスが足りないような気がするのは私だけでしょうか。


 
ロビーから階段を下り、奥へ伸びる廊下を進んでゆくとお風呂の暖簾が掛かっていました。その廊下には、温泉を掘り当てたオーナーさんと思しき男性が諸手を上げて喜ぶ姿を撮った写真が飾られていました。


 
ホテルを名乗るだけあって、脱衣室は少々古臭いながらもかなり綺麗で整然に維持されていますが、上下方向も水平方向も、どっちを見ても内装がホワイト一色なので、その白すぎる色調は、腹も心もドス黒い私にとっては眩しすぎました。


 
ガラス窓に面したタイル貼りの浴室も、脱衣室同様に白色基調で統一。大きなガラス窓の向こうには津軽の誇りである岩木山が聳えています。岩木山の麓に広がる平野部は鶴田や板柳の街が点在しているので、日が暮れたら夜景が綺麗でしょうね。その窓の下に据えられているL字型の主浴槽は20人以上同時に入れそうなほど大きな容量を有しています。浴室に入った途端に塩素臭が鼻を突いたのは残念…。



洗い場にはシャワー付き混合水栓が計14基と立って使うシャワーが2基設けられており、各水栓から出てくるお湯は源泉です。一応ボディーソープとシャンプーが備え付けられているのですが、訪問時には2セットしかなく、シャワーの数に対して明らかに少ない気がします。宿泊客には別途用意されているのかな?


 
奥の隅っこにある湯口からお湯が注がれており、大きな湯船の満たしたお湯は、手前側の小浴槽(水風呂)付近の縁から溢れ出ています。溢れ出しこそあるものの、お湯からは塩素臭が放たれていますし、槽内吸引も行われていましたから、新鮮源泉を投入しながら循環と消毒も行なっている湯使いなのだと思われます。

お湯は無色透明でして、湯中では薄い茶色の糸くずみたいな浮遊物がユラユラしています。かけ湯するだけではっきりとわかる、まるで化粧水のようなツルツルスベスベ感が心地良く、湯加減も丁度良い具合に調整されています。循環の可能性が低い洗い場のカランから吐出されるお湯を口に含んだところ、マイルドな塩味が主役を張っており、薄い出汁味や甘味、そして重曹的な弱いほろ苦みが脇役を固めていました。食塩メインのお湯なので湯上りはベトつくかと思いきや、重曹のパワーも発揮されるためか、意外とベタつきは少なく、寧ろ清涼感すら覚えました。


 
ベランダのように出っ張った屋外スペースには、木の縁で3~4人サイズの四角い露天風呂が設けられており、手すりにはガラスが用いられているため、入浴しながらの眺望はある程度確保されているのですが、木が茂っているためか、湯船に浸かっちゃうと岩木山の姿を望むことができません。
こちらも隅っこの湯口からお湯が注がれており、縁の下を潜ってオーバーフローのお湯が床へ流下しているのですが、投入量と溢れ出る量が釣り合っていないため、おそらく露天風呂でも一部は循環されているのでしょう。露天風呂は40℃前後とぬるめの温度になっており、この湯加減とツルスベ浴感が非常に相性良く、つい長湯してしまいました。


 
湯船に浸かると見えないものの、その場で立てばちゃんと津軽富士(岩木山)を眺望できましたよ。


津軽狼野長根温泉
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 50.5℃ pH8.1 545L/min(動力揚湯) 溶存物質3.685g/kg 成分総計3.687g/kg
Na+:1241mg(96.95mval%),
Cl-:1202mg(63.64mval%), Br-:3.9mg, SO4--:284mg(11.09mval%), HCO3-:723.7mg(22.25mval%), CO3--:42.6mg(2.66mval%),
H2SiO3:117.5mg, HBO2:15.4mg,
(おそらく源泉を投入しながら、循環も併用しており、同時に塩素系薬剤も投入されているものと思われます)

五所川原駅もしくは青森駅より弘南バスの五所川原~青森線に乗って「狼野長根」バス停下車、徒歩7分(600m)
青森県五所川原市羽野木沢隈無240-163  地図
0173-29-3260
ホームページ

※現在休業中
日帰り入浴7:00~22:00
300円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
コメント (2)
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五所川原市郊外 夢野温泉

2013年08月11日 | 青森県
 
五所川原など西北五地域から青森市内方面へ向かう際に走る道路といえば、近年は国道101号か津軽自動車道のいずれかを選択できるようになりましたが、数年前までは実質的に国道101号の一択であり、五所川原の市街を抜けてから、原子の長い坂を登り、渋滞に巻き込まれながら大釈迦のラブホ街を通過して国道7号に出るのが定番ルートでした。その長い坂を擁する原子地区には2つの温泉旅館があることを私は以前から知っていましたが、当地は単なる通過点(アクセルを踏み込んで登坂車線を走るノロい車を追い抜く場所)という認識でしかなかったため、これまで全く訪問の機会がなく、存在を知ってから17年越しで先日ようやく初入湯を果たして参りました。まずは2軒あるうち、ほぼ国道に面している「夢野温泉」から入って行きましょう。こちらは温泉旅館ですから当然ながら宿泊もできますが、今回は日帰り入浴での利用です。


 
玄関の庇ではウッドペッカーらしきキャラが来客を歓迎しています。また玄関の右側には古臭いおばちゃんの艶絵が描かれた看板が立っており、源泉100%をアピールしていました。この看板から放たれる場末のストリップ劇場みたいな怪しい空気がどうも受け入れられず、私はいままで敬遠しておりました…。



駐車場エリアには、屋根上にタンクを載せ、機械音と共にジョボジョボと液体が溢れ出る音が聞こえてくるコンクリブロックの小屋が建っていました。これって源泉施設でしょうか。


 
夥しい数のスリッパが並ぶ下足場に設置されている券売機で料金を支払います。昭和40年代の匂いがプンプン漂うロビーではお爺ちゃんが笑顔で対応しており、その傍らに置かれたガラスケースの中にはお隣つがる市(旧木造町)の亀ヶ岡遺跡で発掘された遮光器土偶(通称しゃこちゃん)のレプリカが微笑んでいました。


 
ロビーから館内の奥へ伸びる廊下をひたすら進んだ突き当りがお風呂。
脱衣室は古いながらもそれなりに手入れされており、可もなく不可もなくと言った感じ。ビニルクロス床の上に茣蓙が敷かれており、ロッカーのカギは銭湯でよく見られる板状のカギでした。また壁にはには「夢に見て掘ったら温泉が湧いた」という、ありがちなお話が貼り出されており、それが「夢野」という名前の由来になったのでしょう。



掛け流しを誇示するプレート。地下700メートルから汲み上げているんだとか。



オーナーさんが夢から醒めて相当の年月が経っているのか、浴室は相当草臥れており、室内に用いられている小さなタイルはいかにも昭和40~50年代らしいもので、天井の湯気抜きもガッタガタ。


 
洗い場にはシャワー付き混合水栓が7基並んでおり、各ブースはパーテーションで仕切られています。水栓から出てくるお湯が源泉でした。この他、洗い場と並んでいる独立ブースには立って使うシャワーがあって、3方向からお湯が噴射されるようになっているのですが、しばらく使われていないのか、そのシャワー金具の全てに緑青が出ちゃっており、とても使う気にはなれませんでした。


 
大文字の「B」のような形状をした浴槽は12~13人サイズ。コップが置かれた木の湯口よりザバザバと音を室内に響かせながら源泉が落とされており、浴槽縁から惜しげも無くオーバーフローしています。浴槽の窓側には丸太がたくさん立てかけられているところがあるのですが、そこでは2本のジェットバスが騒々しく作動していました。

お湯は無色透明で、甘塩味と弱金気味に芒硝的な味が混じっており、ほんのり臭素臭が感じられます。大雑把に表現すれば津軽の平野部でよく見られるタイプのお湯ですが、金気や臭素感など五所川原らしい個性も兼ね備えている面白いお湯でもあります。源泉由来かジェットバスのためか、湯船に体を沈めていると、湯中の肌に細かな気泡がたくさん付着しました。また重曹泉的なツルスベ浴感を有しており、お湯に関しては掛け値なしで夢を見られそうな心地良い感触が楽しめました。



露天は岩風呂となっており、目の前に草っ原(湿原?)、そして奥に青々とした森林が続く高原の景色が広がっており、とっても爽快なロケーション。
露天エリアはそれなりのスペースが確保されているものの、岩がゴツゴツしているために、腰を掛けたり上にあがったりしてのんびり休憩(クールダウン)できる場所が少ないのは残念。また湯船自体もキャパはせいぜい5~6人といったところでしょう。


 
流路が赤く染まっている湯口より源泉が注がれています。お湯は内湯と同様です。底に敷かれている鉄平石の目地は緑色に変色しているのですが、これってコケでしょうか?

ロビーにて笑顔で迎えてくださったお爺さんには申し訳ないのですが、夢というより夢の跡を見ているような旅館であり、その鄙びっぷりやB級感ゆえ万人におすすめできるかといえば、あまり自信を持てないのですが、お湯の質はなかなか良好でしたので、湯めぐりのワンポイントとして訪問するには良いだろうと思います。


ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 46℃ pH7.4 720L/min(動力揚湯) 成分総計2732mg/kg 
Na+:834.2mg(97.44mval%),
Cl-:667.1mg(50.53mval%), SO4--:201.8mg(11.29mval%), HCO3-:852.3g(37.53mval%),
(昭和50年10月15日)

五所川原駅もしくは青森駅より弘南バスの五所川原~青森線に乗って「狼野長根」バス停下車、徒歩2分
五所川原市大字持子沢字隠川686  地図
0173-29-3153

6:00~22:00
300円
ロッカー・ドライヤーあり

私の好み:★★
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布屋温泉 ホテルサンルート五所川原

2013年08月10日 | 青森県

6月初旬の某日、いつも五所川原での定宿にしているホテルに予約無しの飛び込みで訪問したところ、観光シーズンでも無いのになぜか満室。事情を伺ったところ、青森県の高校総体が開催中のために市内のホテルは学生で混雑しているとのこと。ならば近所で別の宿を目指そうということになり、偶々空きがあった市内中心部の「サンルート五所川原」で一泊お世話になることにしました。館内やお部屋はチェーンのビジネスホテルそのもので特筆すべき点はありませんから、今回の記事ではノータッチにしますが、こちらの大浴場には温泉が引かれており、なかなか主張の強いお湯ですので、今回ご紹介させていただきます。
実は以前にここの別館である「サンルート五所川原パティオ」に宿泊した際もこちらのお風呂を利用しておりますので、私にとっては2回目の入浴です(パティオ宿泊客も無料で本館の大浴場を利用可能)。

一般的に、チェーン(もしくはフランチャイズ)のビジネスホテルに付帯している大浴場は宿泊者専用としている場合が多いわけですが、公衆浴場をこよなく愛する青森県という土地柄ゆえか、こちらでは外来入浴も受け付けており、フロントにはちゃんと入浴券の券売機も設置されています。



エレベータで大浴場のある3階へ。宿泊客は各階のエレベーターホールに積んであるバスタオルとフェイスタオルを使えます。


 
こちらの大浴場は2005年にオープンしたんだそうでして、客室棟の躯体自体は結構草臥れているのですが、脱衣室内はまだまだ綺麗で明るい状態が保たれていました。室内には狭いながらもロッカーや洗面台など一通りの備品類が揃っています。浴室入口手前の中途半端に余ったスペースには、マッサージチェアが1台置かれていました。


 
お風呂は内湯のみで、典型的なビジネスホテルの大浴場そのもの。湯口の装飾以外は至って実用本位でして、基本的には限られた数の宿泊客を想定しているためか、「大浴場」と称しているわりにはかなりコンパクトです。長方形の浴槽は4~5人サイズ。洗い場にはシャワー付き混合水栓が4基並んでいます(沸かし湯が出てきます)。浴槽内ではジャグジーがボコボコ作動していて騒々しいのが残念なところ。館内表示によればお湯は循環ろ過を実施しているとのことですが、ジャグジーが噴き出る勢いを借りて、縁からお湯が溢れ出ていましたので、生源泉を投入しつつ循環も併用している、半循環に近い湯使いなのでしょう。オーバーフローしたお湯が流れる浴槽縁や床は、お湯に含まれる金気によって赤く染まっています。



口からお湯を吐き出している龍のようなものは、西北津軽の伝統行事である「虫おくり」の虫であります。「虫おくり」とは田植えを済んだ頃に五穀豊穣と無病息災を祈る民族慣習であり、木や藁でつくったドラゴンを彷彿とさせるデカイ神輿のような「虫」が農村集落を練り歩き、最終的には火祭りとして勢い良く燃やされ、以て悪い虫を退治するわけです。以前は五所川原の貴重な観光資源でもありましたが、近年は「立佞武多」にすっかり主役の座を奪われてしまったためか、観光アピールとしての「虫おくり」は存在感が薄れてきているような気がします。

湯口から吐き出されるお湯は、循環のお湯にしてはヤケに熱いので、もしかしたら湯口からは生源泉を落とし、槽内吸引&吐出によって循環させているのかもしれません(間違っていたらゴメンなさい)。そのお湯に関してですが、見た目は薄い黄緑色を帯びた暗い山吹色に弱く濁っており、湯船に浸かれば誰でも否応なくわかるほど強烈にしょっぱい味を有しています。上述のようにこちらではお湯を循環濾過させているそうですが、あんな塩辛いお湯を循環させたら機械がぶっ壊れないのか、と余計な心配をしたくなるほどです。ろ過させているとはいえお湯は濁っているのですから、ろ過させなければ相当強い濁りを呈するのでしょうね。
塩辛さの他には、弱い金気と弱い出汁味、そして磯のような臭素臭が感じられます。塩素系薬剤による消毒も行われているようですが、投入量が少ないのか、あるいはお湯の強い個性にかき消されてしまったのか、あまり塩素臭さは感じられませんでした。塩分が濃いため、入りしなは肌にピリっと刺激が走りますが、入浴中は食塩泉的な弱ツルスベ感がしっかりと得られ、湯上り後は汗が全然止まりません。典型的な「熱の湯」ですから厳冬期には最高でしょうけど、夏はかなりベタつきますから、湯船から上がったら、冷たいシャワーでお湯を洗い落とすことをおすすめします。
浴場としては面白みに欠け、しかも循環されていますから、あまり温泉ファンが触手を伸ばしたくなるようなお風呂ではないかもしれませんが、侮るなかれ、ヘビー級の浴感が味わえる力強いお湯ですので、もしこの界隈へおいでの際は、立ち寄って入浴してみるのも一興です。


ナトリウム-塩化物温泉 58.8℃ pH7.59 湧出量測定不可(動力揚湯) 溶存物質10.49g/kg 成分総計10.50g/kg 
Na+:3829mg(94.02mval%), Ca++:128.4mg(3.61mval%),
Cl-:5878mg(94.90mval%), Br-:17.2mg, I-:0.9mg, SO4--:282.9mg(3.37mval%), HCO3-:148.6mg(1.39mval%),
H2SiO3:42.7mg, HBO2:55.6mg,
源泉温度が高いため加水
衛生管理のため循環ろ過装置および塩素系薬剤を使用

五所川原駅より徒歩4分(300m)
青森県五所川原市布屋町25  地図
0173-34-8811
ホームページ

利用時間6:00~9:00、11:00~24:00
日帰り利用400円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
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鯖石温泉 2013年6月再訪

2013年08月09日 | 青森県
※残念ながら、2016年8月上旬に閉館してしまいました。

 
久しぶりに、大鰐町某所にある鯖石温泉へ立ち寄ってみました。こちらは以前と変わらぬ佇まいにホッと一安心です。拙ブログでも約3年前に別の温泉名でこの浴場を取り上げておりますが、その当時の外観と唯一異なる点といえば、入口に温泉名の看板が掲げられたことでしょうか。


 
玄関の狭い間口にあけられた小窓とその下に設けられている料金投入口も以前のまま。
この浴場は温泉ファンではつとに有名ですが、以前は所有者の方の善意により地域の方向けに開かれた温泉であったため、余計な問題を引き起こさないよう、その存在を隠すのが暗黙の了解となっておりました。しかしながら、平成23年に晴れて公衆浴場営業に関する許可が下りましたので、今回の記事では浴場名を出して取り上げることにしました。でも基本的に地域の方向けの温泉であることには変わらないので、詳しい場所の特定などは控えさせていただきます。ちなみに上画像の右(下)がその許可証です(固有名詞などにはモザイク処理しています)。


 
農業用コンテナを浴槽代わりにした浴室も現役です。嬉しいですね。広さとしては3畳ほどで、3人以上の同時利用だとちょっと窮屈かも。源泉が出てくる2本のシャワーも以前同様ですが、補強のために洗い場の腰板部分が白い化粧板でカバーされている点は、以前と異なるところですね。


 
相変わらず湯口は源泉がドバドバ吐出されており、浴槽で使い切れないお湯が浴槽脇のドレン管から大量に捨てられています。本当にもったいないけど、使い道が無けりゃ仕方ないわね。もう少し湯量が多けりゃ農業などで活用の道が拓けるのかもしれませんが、帯に短し襷に長し、なのかな。



湯船のコンテナも以前のまんま。大きさとしては2人サイズ。営業中は絶え間なくお湯がバルブから落とされており、人が湯船に入ると、ザバーっと勢い良く豪快にお湯が溢れ出て行きます。館内掲示の分析表には「加水あり」と記されていますが、湯加減に関しては実質的に入浴中のお客さんに任せられており、各自が自分の好みに合わせてお湯のバルブや加水用水道蛇口を開閉していました。尤も、源泉そのままですと湯加減がかなり熱くなってしまうので、お湯の出方を絞り気味にしている傾向にあるようですが、それでもお湯の鮮度はとっても良好で、今回もコンディションの良いお湯が楽しめました。

お湯の特徴としては、見た目は無色透明。コップで飲泉しますと、はっきりとした塩味と出汁味が混在する津軽平野の温泉らしい味に薄芒硝味が加わっており、磯場を思わせる臭素臭+弱金気臭+弱芒硝臭が感じられました。食塩泉的なツルスベ感を有するものの、湯上りの火照りが強く、厳冬期には湯冷めしにくい熱の湯として重宝されること間違いありませんが、夏には汗がなかなか引かずに困ってしまうかも。実際、私は湯上り後しばらく、全身汗だるま状態になってしまいました。でもそれだけパワフルな本物の温泉だということであります。


八幡館温泉
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉 57.8℃ pH8.1 湧出量測定不能(掘削揚湯) 溶存物質5.640g/kg 成分総計5.642g/kg 
Na+:1621mg(78.81mval%), Ca++:373.1mg(20.81mval%),
Cl-:1401mg(46.46mval%), Br-:3.8mg, I-:0.1mg, SO4--:2130mg(52.15mval%),
H2SiO3:46.8mg,
(平成23年10月5日分析)
源泉温度が高いため加水あり

青森県南津軽郡大鰐町某所
(場所の特定は控えさせていただきます)

6:00~21:00 金曜は17:00から営業
100円
備品類なし

私の好み:★★★
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婆娑羅温泉

2013年08月07日 | 青森県
※残念ながら婆娑羅温泉は2014年1月5日を以て閉館しました。


数年ぶりに青森市浪岡の婆娑羅(バサラ)温泉でひとっ風呂浴びてきました。風変わりな名称ですが、近所には中世に築城された国の史跡である「浪岡城跡」があり、その当時の文化的風潮を表す「ばさら」という言葉が浴場名の由来になったものと思われます。浪岡ではこの他、ご当地キャラに「バサラくん」と命名したり、当地産のトウモロコシに「ばさらコーン」と名づけたりと、とにかく「ばさら」推しなのです。
場所としては浪岡モータースクール、津軽弁の口語で表せば「ジシャガ(自動車学校)」の真裏に当たり、付近の県道には看板が立っているものの、路地からちょっと入ったところに位置しているため、結構わかりにくいロケーションです。青森県の公衆浴場には宿泊できる施設が多いのですが、こちらでも宿泊利用が可能なんだそうです。



玄関には料金改定のお知らせが掲示されており、そこには、平成20年に300円へ値下げしたものの、電気代などの高騰により、今年(平成25年)4月1日から350円へ戻った旨が記されていました。訪問したのは週末の昼下がりだというのに、駐車場には車が1~2台しかとまっておらず、しばらく来客が無かったのか、番台のおばちゃんもうたた寝していました。



畳表が張られた腰掛けを中央に据え置く脱衣室。コインロッカー(100円リターン式)は完備されていますが、ドライヤーは見当たらず。天井にはシーリングファンが取り付けられていますが、スイッチがどこにあるかわからず…。


 
全面タイル貼りの浴室には2つの温泉槽と1つの水風呂、2本の打たせ湯、そしてサウナが設けられています。


 
まずは温泉槽から見て行きましょう。コーヒーのような色をした濃い黒湯が張られた浴槽は大小に二分されており、両者の仕切り上にある湯口から双方へ向けてお湯が注がれています。手前側の大きな浴槽は8~10人サイズで、一般的な深さと42℃前後の湯加減である一方、奥側の小さな浴槽は4~5人サイズで大きな浴槽よりちょっと熱く、立って入っても臍下まで浸かるほどの深さがあります。湯口では双方とも同じ熱さでしたので、湯船の表面積によって温度に差が生まれているのでしょう。両浴槽の縁からしっかりとオーバーフローしていますが、特に小浴槽からの溢れ出しが多いようです。言わずもがな完全掛け流しです。



大きな槽の手前側には2本の打たせ湯が室内に音を轟かせています。もちろんここで落とされているお湯も源泉使用。



浪岡界隈ではモール系の黒湯が湧出していますが、婆娑羅温泉はその典型。青森県のみならず東北では屈指の濃さを有する黒湯であり、浴槽の底が全く見えないほど黒く、湯船に浸かると恰もコーヒーの中に入っているかのような気分です。お湯からはモール的な風味が感じられ、清涼感のある苦味や臭素臭も得られます。モール泉らしいツルツルスベスベな浴感と、湯上りのサッパリとした爽快感は、この手のお湯ならではの素晴らしいものがあります。


 
温泉のみならず、サウナの横にある水風呂も秀逸。明らかに普通の水とは異なっており、見た目は薄い黄緑色を帯びつつ白っぽく濁り、金気が強く、土気の味や匂いも伴っています。金気の影響で槽の縁は茜色にコーティングされ、オーバーフローの流路の床は橙色に着色しています。この水風呂が実に爽快。黒湯の温泉槽と金気の強いこの冷鉱泉を何度も往復してしまいました。



水風呂の蛇口は、鉱泉中の金気の影響なのか、うっすら真鍮鍍金が施されているように、金色に輝いていました。館内に掲示されている温泉分析表は黒湯に関するもののみですが、この水風呂の鉱泉も分析したら面白いデータが出てきそうですね。


 
最後になりましたが、洗い場に関しては、隣の浴室との仕切り塀に沿って水栓が11箇所、浴室中央の島に7箇所、計18箇所設けられており、いずれも青森県の公衆浴場ではおなじみの古典的な押しバネ式水栓および固定式シャワーが採用されています。お湯の水栓からは黒湯が、水の水栓からは金気の強い冷鉱泉が吐出されました。

東北屈指の黒湯と、金気たっぷりで爽快な水風呂が堪能できる、とっても素敵な温泉銭湯です。


浪岡温泉
単純温泉 43.2℃ pH7.8 湧出量146L/min(動力揚湯) 溶存物質0.639g/kg 成分総計0.639g/kg
Na+:161.5mg(96.04mval%),
Cl-:90.4mg(33.82mval%), Br-:0.2mg, I-:0.1mg HCO3-:189.2mg(41.11mval%), CO3--:48.0mg(21.22mval%),
H2SiO3:126.5mg,

奥羽本線・浪岡駅より徒歩25分(約2.0km)、もしくは同駅より青森市浪岡地区コミュニティバスの王余魚沢線(1日3往復)で「中世の館前」下車、徒歩5分(450m)
青森県青森市浪岡大字浪岡字林本65  地図
0172-69-1380

※残念ながら婆娑羅温泉は2014年1月5日を以て閉館しました。
8:00~22:00
350円
ロッカー(100円リターン式)あり、他備品類なし(石鹸等販売あり)

私の好み:★★★
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