温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

小坂鉄道 2013年初夏 茂内駅跡

2013年08月06日 | 秋田県
※今回の記事に温泉は登場しません。あしからず。

前回に引き続き、小坂鉄道の廃線跡を散策します。

●茂内駅跡


茂内駅跡。こちらも駅舎は残っている。



ホーム側から駅舎を見る。小坂まで8.4km、大館まで13.9km。



大館側の線路上から茂内駅構内を見る。ホームに草が茂っているものの、線路はしっかり残っており、いまにも列車が向こうから走ってきそう。
現役時代はこの駅で上下の列車が交換(行き違い)していた。



駅名標。



駅舎の中でいまだに残る閉塞機。



駅舎に隣接する転轍小屋。



転轍小屋内にズラリと並ぶ転轍てこ。この大きなヨイショとレバーを動かして、ポイントや信号を操作する。



転轍小屋から伸びているワイヤーのひとつには「上り通過」の札がぶら下がっていた。文字通り、このワイヤーが動くことによって上り方(大館方面)の通過信号機の現示が緑(進行)になったり黄(注意)になったりするのだろう。



下りホームの大館側の端に立つタブレットキャッチャー。機関士は腕を伸ばして、このらせんにタブレットを投げ入れるわけだ。



下りホームの小坂側の端。
次の閉塞を走行するためのタブレットを駅員がここに差し込んでおき、機関士は腕を伸ばしてタブレットをキャッチする。



その裏側。



小坂側の出発信号機。



側線にはいまだに無蓋車が2両止まっていた。



大館側のボギー台車はトキ15014。小坂側の二軸車はトラ4001。



トキ15014には同和鉱業の社紋が。



転轍小屋から駅構内の大館側へ伸びるケーブル。そのうちの一本が、この画像に写っている信号やポイントへつながっている。



信号やポイントを動かすケーブルの支持や滑車は雪よけの小さな屋根が付いている。同様のものは津軽鉄道で現役。



駅構内に立つ14kmキロポスト。



駅から構内を脱し、大館側の線路に沿って延々と伸びているケーブル群。



そのケーブル達は駅から約500m大館寄りに建植されている場内信号機につながっていた。
本線側の場内信号機下に設けられている短く黄色い羽根の信号は、今では滅多に見られない通過信号機。



まだまだ使えそうだ。

小坂鉄道の廃線散策は以上。
次回からは温泉の記事に戻ります。
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小坂鉄道 2013年初夏 雪沢温泉付近・新沢駅跡

2013年08月05日 | 秋田県
※今回(および次回)の記事に温泉は登場しません。あしからず。

小坂鉄道。正しくは小坂製錬小坂線。秋田県の大館と小坂を結んでいたその鉄道は、そもそも小坂鉱山で産出される鉱物を運搬するために敷設され、そのついでに旅客営業も行なっていたが、旅客の方は1994年に廃止され、肝心要の貨物輸送も2009年に廃止されて、長年の歴史に幕を下ろす。この時からこの路線を走る列車は姿を消したが、その後も現在に至るまで、踏切など一部を除き、なぜか線路は剥がされること無く、未練がましく残されたまんま。先日雪沢温泉の宿に宿泊した際、たまたまその廃線跡が目に入ったので、思い付きで現在の線路の様子を撮ってみることにした。


●雪沢温泉駅跡付近



雪沢温泉駅の小坂寄りにあった第4種踏切の跡。



その踏切から小坂側を臨む。廃止されてから4年近くが経過しているのに、線路がしっかり残っているばかりか、バラスト(砂利)の間からは雑草すら生えていない。今にも列車がやってきそうな雰囲気。



「7」と刻まれたこのコンクリの距離標は8.7km地点。



雪沢温泉駅のホームがあったところのすぐ小坂寄りに今も残る黄色いBOX。そしてその後背に佇む温泉旅館「大雪」。駅は消えたが、同地点には路線バスの「小雪沢」バス停がある。
2004年11月、このあたりのカーブで濃硫酸を積んだタンク車が脱線してスッテンコロリ。幸いにして濃硫酸が漏れ出ることはなかったが、この2年後にもこの路線では脱線事故を起こしており、度重なる事故が路線廃止の決め手になったことは想像に難くない。拙ブログの前回記事で取り上げた「大雪」のご主人曰く…俺が第一発見者だよ。俺がまっさきに通報したんだ。旅客営業の廃止後は保線が明らかに悪くなって、(線路と枕木を固定する)留め金具なんてブカブカだったもん。あれじゃ事故が起きるのは時間の問題だと思ってた。そんな矢先に、目の前で脱線したんだ、とのこと。



黄色いBOX付近から大館側を臨む。この右側のちょっと小高くなっている築堤跡に、かつて雪沢温泉駅のホームがあったはず。ハッキリ残る線路とは対照的に、早く廃止された旅客営業の施設は草に埋もれて姿がよくわからず。



雪沢温泉駅跡から大館寄りに数百メートル進むと、大館市営の温泉施設「四十八滝」前。ここにも小さな踏切の跡があり、その上に立って大館側を臨む。谷に沿って線路と県道が大きくカーブしている。




同地点の小坂側にはプレートガーターの鉄橋が架かっている。訪問時にはバリケートで封鎖されていたが、今年春に行われたレールバイクのイベントではこの鉄橋の上をレールバイクで通過することができたらしい。



温泉旅館「清風荘」前。
長木溪谷の遊歩道につながる跨線橋。




草むらに埋もれている踏切動作反応灯。

※雪沢温泉駅付近の線路は、この春から見事に新たな活用方法によって蘇ることになった。上述でも軽く触れたが、地元NPOにより、「清風荘」前から「大雪」前までの約1.4km(往復2.7km)をレールバイクで走るイベントが今年(2013年)春に開催され、しかも今夏8月から11月中旬までは毎日運行されることが決まった。詳しくは下記リンク先をご覧あれ。
 NPO法人大館・小坂鉄道レールバイク




●新沢駅跡



緑の中にポツンと佇む廃屋。



その廃屋はかつて新沢駅舎として使われていたもの。庇の下には、付近の踏切で使われていた遮断機が集められていた。



「出入口」の看板が、かつて駅だったことを物語っている。



かつてホームがあったと思しき箇所の線路上から小坂側を臨む。



同じ地点から、今度は逆の大館側および駅構内を臨む。雪沢温泉付近と異なり、レールバイクが走ることのないこの辺りは、線路が藪で覆われていた。



構内に立つ10.5kmキロポストは藪に身を隠している。



線路側から駅舎を見る。遮断機の他、撤去された各種設備が積まれていた。



建物内。付近の踏切から取り外された標識類が室内に置かれていた。


次回につづく…
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某有名野湯の2013年6月初旬

2013年08月04日 | 秋田県

いまさらタイトルの温泉名を匿名にしたところで意味がありませんけど、天然のジャグジーでお馴染みの秋田県某所にある超有名野湯に6月初旬行って参りました。ここを訪れるのは何回目でしょうか。拙ブログでは既に2度も記事にしております。

この野湯へ夏に入浴することは無謀とされています。
アウトドアが好きな方にとっては釈迦に説法ですが、アブは熱と炭酸ガスによって吸血相手の存在を察知しますから、渓流沿いで炭酸ガスを伴う温泉が湧出している当地は、まさにアブたちが狂喜乱舞するパラダイス。奴らが大発生する夏に、入浴すべくここで裸になろうものなら、忽ち奴らの餌食になって、全身がとんでもない状態になること必至なのであります。従いまして、当野湯での湯浴みは、春か秋の虫が全く活動していない時季(特に秋)が良いのですが、ではその境界期、たとえばアブがまだ発生していない梅雨入り前ではどうなのでしょうか。その疑問を解決すべく、身を挺し実体験してまいりました。


 
車で林道を進んで現地に到着。この野湯は目の前まで車で来れるのが嬉しいですね。
よしよし、誰もいないぞ!
もちろんアブも飛んでいません。


 
今日も良い感じにお湯が噴き上がってるじゃん!
温度は44.3℃。天気も良好。まさに露天風呂日和です。


でも車を降りた時から気になっていたんです。黒くて微細な羽虫の存在を。
その虫の名はブヨ(ブユ)。
奴らはしつこく私の頭上を飛びまわり、しつこく付き纏いながら、まるで蚊柱のように黒い塊を形成するのです。それだけではなく、頻りに車へ体当たりし、青い車体を黒く染めんばかりに大集結しています。アブこそいなかったものの、梅雨入り前のこの日には、既に熱と炭酸ガスを察知する吸血性の昆虫が大発生していたのでした。



せっかく来たので素早く脱衣して天然ジャグジーに飛び込んだのですが、その僅かな間にも奴らは私を襲い、脚や首筋・横腹などに皮膚のあちこちを噛み切ってくれました。その刹那は「あれ、痛いな」程度なのですが、翌日以降に患部が赤く腫れ上がり、激しい痒みや痛みに悩まされました。
10秒タイマーで入浴中の自分を撮ったものが上画像ですが、赤い丸の中に写っている黒い斑点は言わずもがなブヨであります。奴らはデジカメにすら群がってきたのでした。

 八九郎 ブヨの猛襲 わし苦労

 ジャグジーで 赤い腫れ物 噴き上がる

やっぱりこの野湯は秋がベストだな。
すでにブヨどころかアブも発生しているはず。
というわけで、もし夏にこちらへ訪れようとお考えの方がいらしたら、是非再考を。
どうしても夏に入りたい、とご希望の方は、雨の日を狙ってみてください。アブは雨に弱いので。
その代わり、ここへアクセスする林道が雨の日は荒れちゃうかもしれませんけど…。
コメント (2)
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雪沢温泉 大雪

2013年08月03日 | 秋田県
 
大館付近で宿泊するに当たり、2食付きでどこか安い温泉宿はないかしら、と某大手宿泊予約サイトを探していたら、雪沢温泉の「大雪」で提示されている金額(1泊2食付きで6,000円)に心が惹かれたので、今回一泊してみることにしました。大館と小坂を結ぶ県道2号沿いのとってもわかりやすい場所にあります。雪沢温泉に関しては、他の施設でしたら入浴したことがあるのですが、なぜかここだけは今までご縁が無く、何度も目の前を通過していながら、こちらでの湯浴みは今回が初めてとなります。



玄関を入るや、宿のご主人と奥様が出迎えてくださいました。とってもアットホームな応対に自然と心がほぐれます。今回通された客室は東側に窓が開けた6畳の和室です。建物はかなり古いもののきちんと清掃されており、テレビや扇風機などもちゃんと備え付けられていますが、トイレや洗面台は共用でして、その上クーラーも無かったので、暑い日にはちょっと厳しいかも(とはいえ都内のような酷暑とは無縁でしょうけどね)。共用洗面台の傍には年代物の客用冷蔵庫がありますから、持参した飲み物をそこで冷やしてもOKです。


 
館内廊下の随所には本棚が置かれ、無数の蔵書が並べられていました。さながら神保町の古本屋にいるかのようでして、そのラインナップは和辻哲郎・西田幾太郎・小林秀雄をはじめ、哲学・歴史・地誌など人文科学系が多いように見受けられます。後ほどご主人とお話したところによれば、どうやらご主人は東京の大学を出ていらっしゃるようでして、とりわけ歴史に関しては造詣が深く、私が「東北地方では奥羽山脈を境に文化が異なりますね。特に北前船の影響を受ける日本海側は…」という旨をポロっと口から零したら、眼前に好敵手現れりと言わんばかりに目を輝かせ、東北の歴史や文化についての薀蓄を止めどもなく語り、ご自身の語る東北の歴史ロマンに陶酔なさっているようでした。実際にとても興味深いお話の数々を拝聴することができ、会津と仙台の血が混じっている私としても(本筋は江戸ですけど)、明治以降の東北のことを「白河以北一山百文」と嘲罵しやがった薩長土肥やそんな連中を礼賛する史観がちっとも気に食わなかったので、ご主人が訴える東北の燦然たる歴史と豊穣たる文化に共感し、終始東北バンザイという欣快な空気の中で意気投合していたのですが、調子に乗って私が「東日流外三郡誌」にイチャモンをつけたら、古代史に関するロマンに泥を塗ってしまったのか、ご主人が明らかに臍を曲げてしまったのが、我ながら迂闊な勇み足でした。でも「東日流外三郡誌」は、フィクションとしては面白いかもしれませんが、古文書としては明らかにインチキですぜ。あんな誇大妄想の塊で中央に対する歴史的コンプレックスを晴らそうとしちゃいけません。


  
閑話休題。本棚の前を通って浴室へ。男女別の内湯があって、露天風呂はありません。手前側が女湯で奥が男湯です(男女の区分は固定されているようです)。浴室エリアは最近改修工事が行われたんだそうでして、全体的な古さは隠しきれませんが、それなりに綺麗で居心地も良好です。還暦手前のおばちゃんが頑張って整形してお化粧を厚く塗りたくったような感じかな。脱衣室内には扇風機が設置されており、湯上りのクールダウンには好都合でした。


 
浴室はかなり広く、子供だったらつい駆け出したくなるかも。コンクリの床にはグリーンのペンキが塗られており、その真ん中に表現の難しい変則的な六角形のヒバ風呂が据えられています。浴槽の一角に据え付けられた岩の湯口の周りには鉢植えの観葉植物が並べられ、岩の無機質な印象を払拭しようとしていました。室内の壁際には混合水栓が7基取り付けられており、うち6基はシャワー付きです。改修してまだ間もないためか、水栓金具はピッカピカに輝いていました。どんなものでも新品って良いもんですね。


 
岩の湯口から無色透明の石膏泉が滔々と流れています。岩の周りには白いトゲトゲの析出がビッシリと付着しており、まるで鉱石標本のような姿を呈していました。お湯が岩から湯船へ落とされるところには木のBOXのようなものがあり、そのフタを外してみるとBOXの中は湯溜まりのようになっていて、湯溜まりから浴槽へお湯を流出させる箇所には固形物を濾し取るための布が巻かれていました。
この無色澄明のお湯は典型的な石膏泉でして、トロトロな浴感とともに、石膏の匂いと味が感じられましたが、石膏感に関しては特別強いわけではなく、どちらかと言えばふんわり&ほんのりと言った感じでしょうか。完全掛け流しの湯使いで、湯加減もちょうど良く、湯上りには硫酸塩泉らしいパワーが発揮されて体の芯までしっかり温まります。

この雪沢温泉をはじめとして、大館市内の釈迦内花岡、坂梨峠付近の八九郎古遠部(青森県)など、界隈に点在する温泉の多くは黒鉱の鉱床を掘り当てるべくボーリングしたら湧出してきた温泉であり、かつて当地が鉱山により活況を呈していたことを物語る名残であると言えましょう。館内には温泉分析表の掲示が無かったので、ご主人にデータに関して確認をすればよかったのですが、歴史の話で盛り上がってしまい、温泉のことはすっかり忘れてしまいました。


 
浴槽は縁のみならず槽の全てがヒバ造りです。体を湯船に沈め、肌が槽に触れた時の上品な質感がなんとも言えません。お湯は縁からしっかりオーバーフローしていました。

なお、翌朝には女湯に入らせてもらったんですが、惜しむらくは画像が無いのでビジュアル的にお風呂の様子をお伝え出来ません。簡単に文章で説明しますと、女湯も男湯ほどではないにせよ、なかなか広いスペースが確保されており、床はグレーに塗装され、その真ん中に長方形のヒバ風呂が据えられていました。お湯のクオリティは男女に差は無く、どちらも甲乙つけがたいところです。


 
私の記憶が確かならば(←鹿賀丈史風に)、雪沢温泉の源泉は大館市が所有しており、各施設が市有源泉の分配を受けているはずです。てことは「大雪」もここからお湯を引いているのかな。上画像は市の貯湯タンクでして、県道沿いのとってもわかりやすいところに設置されています。


温泉分析表掲示なし
(ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉 54℃ 湧出量400m3)

大館駅より秋北バスの小坂行で「小雪沢」バス停下車すぐ
秋田県大館市雪沢小雪沢101  地図
0186-50-2323

日帰り入浴時間要確認
日帰り入浴300円
ボディーソープのみ備え付け有り、他の備品類なし、貴重品類は嘲罵預かり

私の好み:★★★
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十和田大湯温泉 川原の湯共同浴場

2013年08月02日 | 秋田県

連続して十和田大湯温泉を取り上げておりますが、今回は「川原の湯共同浴場」にスポットライトを当ててみます。建物の前には浴場利用者の軽自動車が路上駐車されていますが、この浴場には駐車場が無く、しかも浴場が面している路地は狭隘ですから、常連の地元の方はともかく、外来者は国道沿いの「総合振興プラザこけし館」に車を止め、そこから徒歩でアクセスした方がよろしいかと思います。


 
すぐそばにはお湯汲み場もあるのですが、中を覗いたら蜘蛛の巣が張っており、最近使われているような形跡は見当たらず…。


 
建物は2階建てで上層階は公民館となっているようです。入口すぐのところには小さな番台があるのですが、訪問時は無人でしたので、券売機で料金を支払った後、窓口下の専用ポストに入浴券を投入して浴室へとお邪魔しました。番台には指名手配のビラが2枚も貼ってあって、別に悪いことをしているわけでもないのに、なぜか後ろ指をさされているような恐怖感を覚えてしまいました(街中でパトカーや警官と遭遇した時に覚えるあの身に覚えのない背徳感みたいなもんです)


 
共同浴場にしては広めのスペースが確保されている脱衣室。棚の数も一般的な共同浴場より多いですね。床には茣蓙が敷かれていました。


 
「荒瀬共同浴場」の記事でも紹介しましたが、画像左(上)の張り紙は利用者減少に伴う値上げを告知するものです。その一方、画像右(下)のポスターは大湯小学校3年生の生徒達が入浴学習をしている様子をレポートしたもの。小さいうちから共同浴場という文化に触れておくことは非常に大切ですね。子供の頃から大湯温泉のお湯に慣れている地元っ子は、我々が恐れおののく激熱風呂でも平気な顔して入れちゃうんですね。


 
浴室も共同浴場とは思えない広さ。床は十和田石と思しき緑色系凝灰岩の石材が敷き詰められています。浴室こそ広いものの、古い浴場らしくシャワーなどの備え付けは無く、洗い場には水道の蛇口が2つほどあるばかりです。室内の隅には桶や腰掛けが整理整頓されており、その傍にはお湯を逃がすパイプが立てかけられていました。湯船がどうしようもなく熱い場合は、これで湯口のお湯を湯船の外へ逃がすのでしょうね。


 
源泉を投入するバルブの付け根付近には白い析出が現れていました。バルブから湯船の縁の上を亘って、塩ビ管の先よりお湯が落とされています。湯口のお湯は激熱で、持参していたコップで湯口のお湯を汲んで飲泉しようとしたら、あまりの熱さに唇を火傷しそうになりました。熱いお湯のまんま投入しているため、投入量は結構絞られています。


 
長方形の浴槽は足を伸ばしても7人は入れそうな、ゆとりのあるサイズです。湯船を満たしたお湯は、浴槽右側縁の切り欠けより排水口へと捨てられていました。
お湯は無色透明で、薄っすらとした塩味と芒硝感を有しており、食塩泉的な弱ツルスベ感と硫酸塩泉的なキシキシが拮抗しあう浴感が得られました。れっきとした完全掛け流しの湯使いですが、上述のように源泉温度が篦棒に熱く、投入量が絞られているため、お湯の鮮度感がいまいちだったのは致し方ないところ。加水することもできますが、熱いまんま入るのが地元の方々の流儀ですから、気合を入れて眦を決しながらこの熱湯風呂と対峙するのが、ここでの「正しい」入浴方法なのかもしれません。下手に水で薄めたら地元の小学生に嗤われちゃうぞ…。


川原の湯源泉
ナトリウム-塩化物温泉 70.8℃ pH7.8 溶存物質1.94g/kg 成分総計1.96g/kg
Na+:560.8mg(84.51mval%), Ca++:76.2mg(13.17mval%),
Cl-:919.6mg(8811mval%), SO4--:158.8mg(11.24mval%),
H2SiO3:108.1mg, HBO2:84.1mg, CO2:24.8mg,
加水加温循環消毒なし

花輪線・鹿角花輪駅より秋北バスの大湯温泉行で「大湯温泉」バス停下車、徒歩9分(700m)
(期間運行ですが鹿角花輪駅および十和田南駅から秋北バスの十和田湖行、もしくは鹿角花輪駅から十和田タクシーが運行する路線バス(といってもハイエースで運行)の十和田湖行を利用すれば、「川原の湯」バス停下車徒歩1~2分)
秋田県鹿角市十和田大湯字川原の湯  地図
大湯温泉観光協会HP

6:00~21:00
180円
備品類なし

私の好み:★★
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