文化逍遥。

良質な文化の紹介。

やっと秋

2010年09月19日 | 音楽
 狂ったような暑い夏がようやく終わり、やっと秋を感じさせる風が吹き始めた。最近は、古い日本の歌曲をウクレレでポロンポロンと弾いてメロディーや歌詞を噛みしめたりしている。その中であらためて感じることは、 日本の歌曲には季節を感じさせてくれるものが多い、ということ。
たとえば今の季節なら、『故郷の空』

夕空はれて あきかぜふき
つきがげ落ちて 鈴虫なく

もっともこの歌は、メロディーはスコットランドの民謡だということだ。作詞は大和田建樹。
さらに、『赤とんぼ』

夕やけ小やけの 赤とんぼ
負われて見たのは いつの日か

秋の夕暮れが目に浮かぶ。作詞は三木露風、作曲は山田耕筰。
わたしは長い間[追われてみた]と思い込んでいて、草原でたくさんの赤とんぼに追われて走りまわっている情景を歌ったものと思い込んでいたのだが、譜面は[負われて見た]なので誰かに背負われて見ていたことになるわけだ。
三番の歌詞、

十五でねえやは 嫁に行き
お里のたよりも 絶えはてた

婚姻制度への配慮から、戦後の音楽の教科書では削除されたという。

時代を感じさせてくれるすぐれた歌曲が多くあることに気づかされる今日この頃であります。



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