文化逍遥。

良質な文化の紹介。

映画『セラフィーヌの庭』2008年フランス・ベルギー・ドイツ

2010年09月26日 | 映画
 24日の金曜日は休みをもらえたので、久々に岩波ホールに行って映画を観ることが出来た。
 実在の画家セラフィーヌ・ルイ(1864-1942)の半生を描いた『セラフィーヌの庭』。
家政婦をしながら天啓を受けたと信じて絵を描き続け、やがて画商ウーデと出会い援助を受けながら本格的に画業に励むことになるセラフィーヌ。が、やがて彼女の精神はバランスを失い現実の認識が出来なくなってゆく。67歳で精神病院に収容、そのまま78歳で没する。
 もし画商に出会うことなく、家政婦を続けながら絵を描いていたなら、彼女は精神のバランスを崩さずにいられたのではないか・・・そう思うと切なくなった。芸術家達は、ときに売れていくことで苦しむことも多い。薬物や、アルコールに依存して苦しむ人も少なくない。制作そのものに苦しむ人、売れる作品と自らの理想とする作品のギャップに苦しむ人。様々だが、本来人のためにある芸術作品に苦しめられるのは、あまり良いこととは思えない。

 帰り道、お茶の水の楽器街を歩いてきた。以前よりさらに店舗が増えて、異常な過熱ぶり。こんなに楽器店がひしめいていて商売になるのか?あまりに多すぎて何がいいのかどこが安いのか、かえって迷ってしまう。一生使うかもしれない楽器を取り扱うのだから、もう少し冷静な商売をしてほしいと感じた一日であった。


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