文化逍遥。

良質な文化の紹介。

山本 作兵衛著『炭坑に生きる』

2012年01月22日 | 本と雑誌
Img

 山本 作兵衛(1892~1984)さんの絵画や日記が2011年5月ユネスコの「世界記憶遺産」に登録されたということで、NHKなどでも特集が組まれ放映されたので見た人も多いだろう。
わたしも、TVで紹介されたのを見てその存在を知り、この本『炭坑(ヤマ)に生きる―地の底の人生記録』を手にすることになった。講談社から出た初版は1967年10月、2011年この新装の再版が出た。
一言で言うと「高潔な人だなあ」と思った。巻末には金子光晴や石牟礼道子といった人達が他の雑誌などに後に書いた文が転載されているが、ランクの低い文章に感じられたほどだ。
山本 作兵衛さんは孫に残すために書き始めたということだが、そこにはなんの衒いも無く、それが却ってハイレベルでかつ読みやすい絵や文章を生み出したようだ。表現行為とは怖ろしいものだ。その人の生き方が隠せずに出てしまう。
 それにしても、明治生まれの小学校もロクに出ていない人がなぜこんなにも表現力豊かなのだろう。大学を出ても満足のゆく文章すら書けない自分が恥ずかしい。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする