先日、神保町の古本屋で買い求めた文庫本だが、心に残る歴史小説だったので、ここで書いておく。
作者の澤田ふじ子氏については、以前『深重の橋』(2010、中央公論新社)という応仁の乱を背景とした作品の他数冊を読んでおり、その力量は知っていた。
この作品は、幕末から明治に至る激動期に存立を賭けた美濃郡上藩の武士たちの歴史に翻弄される姿を描いた長編。初出は、1983年7月から翌1984年の7月まで『中日新聞』に連載されたものという。
初期の作品で、エッセイを組み込んだりして文体を模索しながら書き進んでいるような所もあるが、よく取材されていて完成度が高く佳作と思った。
ただ、視点を旧幕府軍に置き過ぎていて、武士および武家の女達の矜持を美化しすぎているようにも思われた。
それでも、もう一度読みかえしてみたくなる作品と言える。
作者の澤田ふじ子氏については、以前『深重の橋』(2010、中央公論新社)という応仁の乱を背景とした作品の他数冊を読んでおり、その力量は知っていた。
この作品は、幕末から明治に至る激動期に存立を賭けた美濃郡上藩の武士たちの歴史に翻弄される姿を描いた長編。初出は、1983年7月から翌1984年の7月まで『中日新聞』に連載されたものという。
初期の作品で、エッセイを組み込んだりして文体を模索しながら書き進んでいるような所もあるが、よく取材されていて完成度が高く佳作と思った。
ただ、視点を旧幕府軍に置き過ぎていて、武士および武家の女達の矜持を美化しすぎているようにも思われた。
それでも、もう一度読みかえしてみたくなる作品と言える。