文化逍遥。

良質な文化の紹介。

加曾利貝塚、2015/11/16

2015年11月17日 | まち歩き
 例によって、墓参がてら加曾利貝塚に行ってきた。





 最近、日本の縄文期について、その文明がほとんど変化なく1万年続いたことに世界的に注目され始めているらしい。
進歩が無かったとも言えるが、安定した生活を営んでいたことは間違いない。それにつけ、思い起こすのは認知症だった亡き母のことだ。記憶が退行し、自宅にいるにもかかわらず「帰る」と言って外に出ようとする。母の帰ろうとする家も町も、すでにどこにも無い。遠い記憶の中にある古い家を求めて、さ迷う老人たち。外に出ても、まるで外国のような街並みが広がり、若い人達は外来語の多い意味不明な言葉を話している。

 言葉も通じない外国で一人ぼっちになれば、誰でもパニックになる。

 さかのぼって、縄文時代。20年で一世代替わるとして、ざっと500世代に渡り同じような風景を見、同じ生活様式を保ってきたのだ。不便で不自由なことも多かったろうが、年寄りだけでなく全ての人々は精神的には遥かに安定していただろう。

 現代の企業は会社維持のため設備投資が不可欠で、利益が出ても働く者に還元できないという悪循環に陥っている。稼いでも稼いでも、不安が後からついてくる。便利な生活と引き換えに、現代人は「こころの安定」を失ってしまったように思えてならない。

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