東京神田にある岩波ホールが、今年7/29をもって閉館することを決めた。
思えば、学生時代から親しんだ映画館だった。神田の古書店街にある名作映画を上映する単館で、いつも上映されている作品をチェックし、気になるものはフトコロが寂しくても観るようにしていた。
そんなわけで、ここで映画を観るようになったのは、かれこれ40年以上も前になる。その頃は観客も多く、満席になることも珍しくなかった。それに比して最近は、コロナ前からでも客は少なく、いつも半分以上は空席だった。特に、若い人の姿がほとんど見受けられず、近くに大学が多くあるのに「最近の学生は映画を観ないのか」と感じたものだった。そして、コロナウィルス感染症の流行で、さらに経営が悪化した、という訳だろう。
わたしは、大学は法政だったが、千代田区富士見のキャンパスから岩波ホールまで歩くと30分ほど。当時、九段坂を下ってすぐのところに哲学・思想関係の原書を扱う店があり、正式な名前は「日清堂書店」だったように思う。私たち文学部の学生は、親しみを込めて「哲学堂」と呼んでいた。そこから、さらに神田方向に古本屋などを見て回りながら岩波ホールまで小一時間かけて、よく歩いたものだった。「哲学堂」も無くなって久しく、街の様相はすかっり変わってしまった。今では古書店街が共同で制作した古書・古本を検索できるホームページがあり、アマゾンや各書店のホームページもあり、本を探し回る必要もなくなっている。地方にいる学生にも必要な本が容易に手に入るので、便利になり、勉学する者には好い環境にはなった。しかし、街を歩くときめきも、必要な本を見つけ出し手に取る喜びも失われた。良くも悪くも時代の流れだが、コロナが終息しても、あまり神田に行くことも無くなる。寂しい限りだ。
以下は、岩波ホールのホームページからのコピー。写真は、岩波ビル10階のホール入口。
『岩波ホールは、2022年7月29日(金)を以て閉館いたします。新型コロナの影響による急激な経営環境の変化を受け、劇場の運営が困難と判断いたしました。
1968年2月から多目的ホールとして開館しました。故 川喜多かしこ氏と、当ホール総支配人 故 高野悦子が名作映画上映運動「エキプ・ド・シネマ」を発足。インド映画『大樹のうた』を上映し、単館映画館の道を進み、これまで、65カ国・271作品の名作を上映して参りました。
54年間の長きにわたり、ご愛顧、ご支援を賜りました映画ファンの皆様、関係者の皆様に心より御礼申し上げます。
(中略)
2022年1月11日
岩波ホール
岩波不動産株式会社』
思えば、学生時代から親しんだ映画館だった。神田の古書店街にある名作映画を上映する単館で、いつも上映されている作品をチェックし、気になるものはフトコロが寂しくても観るようにしていた。
そんなわけで、ここで映画を観るようになったのは、かれこれ40年以上も前になる。その頃は観客も多く、満席になることも珍しくなかった。それに比して最近は、コロナ前からでも客は少なく、いつも半分以上は空席だった。特に、若い人の姿がほとんど見受けられず、近くに大学が多くあるのに「最近の学生は映画を観ないのか」と感じたものだった。そして、コロナウィルス感染症の流行で、さらに経営が悪化した、という訳だろう。
わたしは、大学は法政だったが、千代田区富士見のキャンパスから岩波ホールまで歩くと30分ほど。当時、九段坂を下ってすぐのところに哲学・思想関係の原書を扱う店があり、正式な名前は「日清堂書店」だったように思う。私たち文学部の学生は、親しみを込めて「哲学堂」と呼んでいた。そこから、さらに神田方向に古本屋などを見て回りながら岩波ホールまで小一時間かけて、よく歩いたものだった。「哲学堂」も無くなって久しく、街の様相はすかっり変わってしまった。今では古書店街が共同で制作した古書・古本を検索できるホームページがあり、アマゾンや各書店のホームページもあり、本を探し回る必要もなくなっている。地方にいる学生にも必要な本が容易に手に入るので、便利になり、勉学する者には好い環境にはなった。しかし、街を歩くときめきも、必要な本を見つけ出し手に取る喜びも失われた。良くも悪くも時代の流れだが、コロナが終息しても、あまり神田に行くことも無くなる。寂しい限りだ。
以下は、岩波ホールのホームページからのコピー。写真は、岩波ビル10階のホール入口。
『岩波ホールは、2022年7月29日(金)を以て閉館いたします。新型コロナの影響による急激な経営環境の変化を受け、劇場の運営が困難と判断いたしました。
1968年2月から多目的ホールとして開館しました。故 川喜多かしこ氏と、当ホール総支配人 故 高野悦子が名作映画上映運動「エキプ・ド・シネマ」を発足。インド映画『大樹のうた』を上映し、単館映画館の道を進み、これまで、65カ国・271作品の名作を上映して参りました。
54年間の長きにわたり、ご愛顧、ご支援を賜りました映画ファンの皆様、関係者の皆様に心より御礼申し上げます。
(中略)
2022年1月11日
岩波ホール
岩波不動産株式会社』