King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

三段坂に草の香り満ちるとき

2020年05月17日 23時23分37秒 | 珈琲

ここの所昼間は晴れると暑くなり、うちの中にいるとその抜ける風と心地よさに

のんびりとしていられますが、一旦外で仕事するとなるとちょっと庭で草をむしった

だけで汗が流れ、そうかと思えば土曜日は雨に降られて涼しくなりとまだ寒暖の差が

激しくこんな時だからこそベーシックなブラジルで整いたいとかなりブラジル比率が

高くなっています。

 

そのブラジルもダテーラからカルモデミナス、モジアナと有名どころは単一農園ものから

スペシャルティやQグレード認証まであり色々と飲み比べられるのが当店の特色です。

とかくブラジルなどとバカにされ珈琲通と自称する人からはあまり相手にされない豆

ながら当店にはブラジルが好きという人が多く訪れます。

 

ではブラジルの特徴とはなんでしょうと話題をふると大抵の方は私は味が良く解らないからとか

既に逃げ腰になり、なかなか進んで味の解説をしたがりません。

 

ブラジルの特徴は何といってもパルプドナチュラルで仕上げてあるという点です。見た目も他の豆と

違い茶色い薄皮がそのまま豆にこびりついたようなものもあります。ウォッシュドの見た目全部一色で

硬くて揃っている感じからするとブラジルの豆は色も形も悪く生の豆からフルーツの様なにおいが

することもありません。

 

そんなブラジルの味を一番ストレートに感じるのがブラジルサントスNO2です。

豆種はカツーラ、カツアイ、ブルボン、ムンドノーボが混合しているのが普通です。

かつてはブラジルもティピカから始まっているのですが、収量が少なく病気に弱いため

品種改良が進められ上記四種が残っています。

 

そしてパルプドナチュラルという独特の製法で豆姿も独特です。

 

これだけ特色がありながら実はその味を一言で言える人は少なく、いつも不思議に感じます。

世界最大の産地にしてこれだけの特徴を持つ豆を出しているのに更なる注文はのしかかり

日陰コーヒーとかセミナチュラルとかハーフナチュラルとかショコラ製法とかで作らた

ものもあります。

 

しかし、やはりこのサントスの味を一言で言い表せないとやはり珈琲通とはいえないのでは

ないでしょうか。

 

先の有名産地モジアナ、ダテーラ、カルモデミナスを端的に表してさらにサントスを普段飲みにする

そんな人がブラジルを愛して珈琲通といえるのではないかと思います。

 

そして、なにより今年のサントスは一味違うのです。豆の姿もかつてはペラペラの豆だったのが

しっかりと身が詰まり焼くとよく膨らむのです。

 

まあこの味の良さを今年のの特徴とあまり喧伝するのがいいのかといえば必ずしも正解ではない

のでしょうが、事実なので仕方ありません。

 

これは簡単に実験できます。しかし、体験すると困ったことに皆さんよい豆から買っていくと

いうことになり予定していた数量がすぐ売れてしまうということもままあります。

 

この珈琲豆の香りとかティスティングでよく出るフローラルな風味とかバニラとかオレンジ

シトラスといった表現がされますが意外とこれを試飲してそんな花の香りがしたという方は

まれです。

 

もともと花に親しむ人が少ないことやまして花の香りに満ちた生活などと縁がない人が

ほとんどで今の一番のおすすめのガヨのバラの香りといっても本当にそうだと嬉しそうに

いう人もいますが、実際知っている人や自宅にバラがある人で毎年その香りを楽しみにして

いる人はまれなのです。

 

幸い秩父は各地に色々な花があり、夜ランニングしているとその花々の香りも楽しめます。

もともと珈琲はジャスミンに似た香りがありその花の香りがふと頭によぎるとしても

不思議ではありません。更に豆を身をはがして製法するときに乾燥前にすべての外郭を

洗いはぎとるのでなく実の部分だけ洗い流し粘液質は残すという方法は豆に与える影響が

少なく、洗われたり乾燥を機械で熱を加えられたりされたら本来の味が損なわれる感じが

します。つまり精製法で味や風味に差があるのですが、それが明確にでている豆とそれを

感じる感性も必要になり、ラベルにナチュラルとかハニーとかある豆についてはその違いを

汲み取ってみていただきたいと思います。

 

さて、今この時期草と花が香る絶好なコースが桜橋を渡りだらだらと公園橋に上るコースが

今ちょうど萌えだした夏草の香りとアカシアの甘い香りと混ざり混然と匂い立っています。

これはなぜか強く珈琲の白い花をイメージさせる香りでもあります。ちょっとした夜の散歩

にもいいかもしれません。

コメント
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