先日、いつもこまめに公開物件情報を知らせてくれる友人のメールから
京大の吉田寮の見学ツアーが催されることを知り、行ってきた。
吉田寮は今まで紅葉の季節にこのイチョウ並木とこの正面玄関からの外観くらいしか見たことがなく、
内部へは入る機会はなかったが、興味は抱いていた。
建物は大正13年に建てられ、その後補修をされながらも使い続けられている日本最古の現役学生寮だという。
この玄関のある中寮と南寮、北寮と三つの棟が並行して並び、手前には新しく建て替えられた食堂と西寮がある。
正面玄関の軒の下の持ち送りはデザイン性豊かなもの。
玄関を入ると受付から強烈なインパクトが・・
膨大な張り紙と畳の上に置かれたこたつ?!
張り紙には個人情報が載せられてる場合があるので、撮影は不可。
個人のプライベート空間以外でOKの出た場所のみ写真撮影可、ということで、簡単な自己紹介をした後、ツアーが始まった。
玄関の天井には新しい蛍光灯で隠されていたけど、装飾的な天井飾りも。
中寮の廊下。三棟とも廊下は北側に設けられ、全ての居室は南に面している。
廊下の板は1.8cmほどの厚みがあり、4、5mの長さのものが使われているとか。
先日の地震でも建物には特に被害はなかったのだそう。
階段の親柱には幾何学的なデザインが施されている。
鉄製の防火扉も。
こちらは麻雀部屋だとか・・
たしかに麻雀卓はあるが、この荒れ具合・・
こちらはマンガ部屋だそう。
棟と棟の間には緑豊かな中庭的な空間があり、洗濯などの干し物や、野菜などの栽培も行われてる。
下見板張りの南寮の外観。
こちらには旧第三高校時代に書かれたものが残されている。「試験中庭球厳禁」
木の扉にチョークで書かれた文字だが、80年ほど前のものが残ってるそう。
そしてこの部屋はビリヤード部屋と呼ばれる部屋。
現在はないが、昔はビリヤード台があったとか。
しかし、どこの部屋も漏れなく汚い・・
でも見学するうちに、この汚さもこの寮の歴史と伝統の積み重なりと言えるのではないかと思い始めてきた;
きれいに掃除してはいけない何か鉄則でもあるのかなあ?!
たしか、このツアーの主催者は「吉田寮お掃除部隊」だったはずだが・・
どこを掃除しているのだろうか・・
しっくいの壁はところどころ剥がれたり、何か布?のようなものが出てたり・・
防火壁として、漆喰の下に煉瓦が使われている箇所もあった。
そして実際に寮生が住んでいる部屋も見せて頂けた。
部屋は甲乙に分かれていて、
甲は10畳と広めの部屋だそう。
甲の部屋だと大体5人で3室という感じであてがわれ、3室を勉強部屋、寝る部屋、など用途によって使い分けているそう。
こちらは乙の6畳の部屋。
寮生は現在250人ほどで、女子学生もいるとのこと。
寮費はなんと、月400円、光熱費は2500円で月に3000円ほどという。
ネット回線は寮生に技術者がいるので快適なのだとか。
階段は1つの棟に2カ所あり、奥の階段は広々とした贅沢な造りになってた。
そしてこちらは大正13年建築当初から今も現役で使われているトイレ。
男女共用のトイレだそう。
歴史の積み重なりを感じさせるトイレ。
こちらは駐車場。
こちらのスペースはちょっとした野外のパーティなどに使われていたこともあったという。
そして北寮へ。
北寮には縁側とバルコニーがついている。
樹齢の古そうな木がどっしりと生えている。
こちらの中庭では11番まであるという吉田寮の寮歌をみんなで4番まで合唱。
そして、最後は3年前に老朽化の為建て替えられたという食堂棟とシャワールームや洗濯施設のある西寮へ案内してもらい、
ツアーは終了した。
大学側は安全面から学生へ退去を求めてるようだけど、ぜひともこの伝統と歴史のある建物をできる限りこのままの状態で
耐震補強&修繕を施して、安全に末永く守り続けていってもらいたいなあと、、最後は署名に協力して帰ってきた。
しかし、想像以上にディープでカオスな空間にノックアウトされたひと時だった。