去年の秋、関西文化の日に訪れた万博の国立民族学博物館。
何度も訪れたことはあるけれど、その前にイケフェスで黒川紀章の建物をいくつか見ていたので
この日は主に建物を見ようとやってきた。
国立民族学博物館は1977年黒川紀章設計により建てられた博物館。
黒っぽいタイル貼りの外壁にアルミの縁取りがされた外観。
1978年から1989年の間に4度増築されているそう。
水が貼られた池の中にある館銘板は東洋学者であり、書家、篆刻家でもある藤枝晃によるもの。
南米産黒御影石が使われているという。
正門のこちらの館名も同じく藤枝晃作だそうで、どちらも力強く味わいのある文字だなあ。
外壁タイルは「利休ねずみ」と言われる日本の伝統色だという。
所々にアクセントの突起がぽつぽつと。
伝統的な外壁タイルの部分と近未来的なアルミのメタリックな部分が対照的。
正面入り口へ。
エントランス天井の照明
エントランスホール天井はアルミ・ダイキャストの天井パネルで、指紋を意識した粟津潔によるデザインだそう。
中央の階段を上がると、
階段の踊り場からは中庭が見える。
未来の遺跡と名付けられた中央パティオ。
床面はインド産の砂岩、越前焼の大壺と深鉢が置かれている。
そして2階は中庭を取り囲むように展示室が設けられている。
展示室は回遊式になっていて、どこからでも入って、どこからでも抜けられるように工夫されている。
たしかに全てゆっくり見ようと思ったら膨大な展示量なので、ピンポイントで見て、どこからでも抜けられるのはいいなあ。
中庭にも前面部分が飛び出していたカプセルのようなメタリックなビデオテークのコーナー
世界中のさまざまな民族学的な資料を映像で見ることができる。
エスニックランチメニューが食べられる1階にあるレストランみんぱく。
レストランの内壁はタイル貼りになっていて、そのタイルは大きさも厚みも様々なタイルがランダムに貼られてて面白い。
みんぱくのシンボルマークが散りばめられた扉。
地球とその中に躍動する諸民族を表わしているそう。
建物は周りの公園の自然との調和が考えられ、縦ではなく横へ広がる低い建物を意識して建てられているという。
多くの収蔵庫が必要とされ展示物も増え続ける中で、これまでに4度の増築が繰り返されてきたという。
黒川紀章の「メタボリズム」という建築思想が生かされ、建物は広い敷地を利用して横へ増殖されているそうだけど、
新たな建物も当初の建物と見分けがつかないくらい馴染み、増殖がいい感じに進んでいるようだった。