蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

TPPと農業  (bon)

2013-04-11 | 日々雑感、散策、旅行
TPPに参加すると、日本の農業は潰滅すると農協は大反対をしている。
世論調査では、日本は参加すべきだと思う人が61%であるのに、農協はこれに反旗を振りかざし、
1120万人の署名を集め反対の姿勢を強めている。
 
自民党の票田と言われてきた農村部を敵に回したくない思いもあり、政府として「聖域なき完全撤廃が条件でない・・」
という鎧を付けて前に進めている。 
交渉参加は、前政府民主党野田総理(当時)が内部反対をしり目に決断したところでもある。


交渉参加が認められるためには、各国の了解が必要であり、先日にはメキシコ首脳が賛成を表明し、
アメリカ議会も検討に入るという段取りにまでなってきた。


一方、農業に携わる人々は高齢化が進み、若い後継者不足とも言われており、すでに生産をしていない耕地が
増えているというではないか! この事は、TPPとは関係なく、それこそ日本の農業にとって問題なのではないか。 

そんなことを思って、農水省他のネット情報を検索してみました。
   農業就業人口の推移                        耕作放棄地面積の推移
       
    


農業就業人口は、平成2年の482万人に対して平成22年の260万人と半分近くに減少しており、
平均年齢はますます高くなりH22年では65.8歳となっている。
また、耕作放棄地面積も年々増加の一途にある。


一方、農業就業人口の年齢別構成を世界で見ると、図のように65歳以上人口が日本が際立っていることが分かる。

    
    


そして、休耕地の地域類型別グラフから都市部でも山間部でもどこでも同じような傾向にあることを示している。

    



ついでに、米の作付面積の推移を見てみると、水稲ではピーク時の約半分に減少しており、
陸稲では何と、ピーク時の40分の1にまで減少している。

           




 このような、状況をみると、やはり感覚的に日本の農業が危ない、
何とかしなければいけないのではないか・・特にコメについて。 
これはTPPの問題とは関係のないことである。


さらに、
生産農業所得統計(農林水産省統計部)によると、平成20年度の農業総産出額は8兆4662億円で、
その内訳は、コメが22.5%、畜産が30.5%、野菜24.9%そして果実が8.8%、その他耕種が13.3%である。 
ここで、野菜はコメより産出額が多く総産出額の約1/3あるが、野菜の関税は0~3%くらいだから、
殆ど壁がない(自由化されている)が国内産は80%に及んでいる。


ところで、主な産物の関税はどれくらいになっているか、
“FTA/EPA情報局 日本の主な高関税農産物”によれば、

コンニャク   1706%  97億円
コメ       778%
落花生     737%   95億円
でんぷん    583%
小豆(あずき)  403%
バター      360%
砂糖       305%
大麦       256%
小麦       252%
脱脂粉乳     218%

コメは農業総産出額が22.5%と高いので778%という高関税率で守られている。

しかし、
“池田信夫Blog TPPについてのウソとホント”の記事によれば、先ほどの野菜について、
農業生産額の3割を占めているが、ほとんどの品目のゼロから3%だが、国産比率は80%ある。
さらに、「花の関税は一貫してゼロだが、90%が国産。
果物の関税率は5~15%だが、たとえばリンゴでは輸入品の比率は0.01%。むしろ輸出が増えている。
バター(360%)や砂糖(328%)などの原材料の関税が高いため、乳製品やお菓子の価格が2~3倍になり、
国際競争力を失っている。

関税の撤廃で明らかに影響が出る重要な作物は関税率778%の米だ。


 つまり、コメ農家と野菜農家を比較すると、農業総産出額では24.9%と22.5%とほぼ似ているので、
仮に農業総産出額を同じとすれば、農家数が野菜農家はコメ農家の17%しかないということです。
農業総産出額でいえば、野菜農家はコメ農家の6倍程度の売上があるということなのです。

米は778%という高関税率で守られている一方、野菜は関税率が3%程度のなのです。
関税率が3%程度といえば、関税に守られていないに等しい野菜農家です。

その野菜農家が、関税の保護が無ければ農業が壊滅すると言われているのに、返ってコメ農家の6倍程度の売上があり、
かつ82%の国産率を維持しているわけです。

TPPで壊滅すると報道される農業の実態と随分とイメージが違いますね。」


したがって、農業従事者の平均年齢はすでに65歳を超えていて、農業と言う産業はもともと危機的状況にあるわけで、
TPPに参加してもしなくてもいずれ消滅するような産業だといわれている。
ただTPPの参加によってその消滅への速度が加速度的速さに変化するだけなのだ。
特に米農家は壊滅的なダメージを受ける。

米の関税は現在778%と大変高率だが、それが撤廃されると、米の販売価格は現在の価格の約三分の一以下となる。
これが、ブランド米以外の米相場は急落し、農家の生産コストを大きく割り込み、廃業し失業者が
農業関係者で350万人になるという。

コメ農家の問題なんだ。 
しかし、外国のコメがすべて日本のコメを駆逐するわけではないと思います。 外国のコメは潮粒種が殆どで、
日本人が好む短粒種は少なく、どの程度の影響を与えるかは一概に言えないと思うし、世界のすべてのコメが、
日本に入るとも限らないのではないだろうか?


 農業の本質的な問題を掘り起こさないで、TPPがすべて悪であるような反対をしているのではないだろうか? 
戸別所得補償のような保護政策をとっているような、意気の上がらない政策すらただちに見直すべきではないだろうか?


慶応大の渡辺頼純教授が提言しています。

見直すべき3つの制度
1)減反と高関税政策の見直し
*コメの市場価格が引き下がり、低コスト体制に耐えられない小規模兼業農家が淘汰され、
必然的に土地が集約されると予想される。
*土地の集約化によるコスト削減で競争力を強化することで強い農家を実現。

2)補償制度の見直し
*小規模兼業農家には、農地集約にかかるコスト補償が不可欠。ただし、淘汰された場合は
セーフティーネットの構築が必要。
*現在の戸別所得補償制度ではなく、ディカップリング(非連動)された戸別所得補償を採用すべき。

3)法制度の見直し
*農地法・・・戦後、地主をなくし耕作者自身が土地を持てるようにした耕作者主義の法律。
大地主による農業参入や株式会社による新規参入を妨げるものとして、集約型農業を推進する株式会社による
新規参入を妨げることで小規模兼業農家の温存につながっている。
*現在の法制度では、専業農家だけではなく、兼業農家にも適用される。本当に農業保護を考えるならば、
日本の農業の担い手である、専業農家を優先して保護すべき。」



 余りこなれてはいませんが、やはり、何となく思っていたことが大分霧が晴れてきましたが、
この事をやはり、ズバリ当事者に投げるのは大人でないのかもしれませんね。

いつもの通り、“なし崩し”戦法なのでしょうか?
















コメント (2)
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