博物館の話しです。
かなり以前、アマチュア無線をしていた頃、ICOMといえば、ケンウッド(トリオ)など
と並んで無線機のメーカを想い出しました。
ここは、ICOM=International Council Of Museum 、国際博物館会議のことで、1946年
に発足した国際NGOです。 パリに本部があり、141か国の博物館専門家約4万人の会員を
擁し、ミュージアムに関する国際プラットフォーム的な役割を担っているといいます。
ちょうど手元の会報に投稿記事『ICOM京都大会開催と博物館の未来』(佐々木丞平氏、
京都国立博物館館長・京都大学名誉教授)がありましたので、大会HPなども参考にしなが
らその概要をまとめてみました。
ICOM国際大会は、3年に一度開催されており、今年(2019年)9月1日~7日に第25大会が、
日本で初めて開催され、京都国際会議場をメイン会場として、ICOM諮問協議会会議を始め
基調講演、プレナリーセッション、パネルディスカッション、ワークショップなどの全体
会議のほか、国際委員会ごとのセッションや、メイン会場から離れたオフサイトミーティ
ング、ソシアルイベント、エクスカーション(見学ツアー)が予定されており、文化に高
いアンテナを張った3000人に余る専門家が集まると予想されているのです。
国立京都国際会館
(京都国際会館HPより)
投稿記事にも『この機会に、日本の文化と伝統を未来が息づく京都でその姿をしっかり
と見ていただき、理解していただくことが日本文化の海外発信につながるとの考えのもと
に、できるだけ豊富な体験コースを用意すること、いわば真のおもてなしを用意すること
が重要だと思った。』とあり、京都府知事、市長、商工会議所会頭などに地域振興も兼ね
て支援を仰がれています。
そもそも博物館の役割は、人類とともに存在する自然遺産、有形、無形の文化遺産を、
保存し、維持し、広く社会に伝達する使命を担っており、こうした事業を世界のネット
ワークの中で共同事業として行うことが重要で、時代の変化とともにその内容も変化し、
それに対応してゆくことが大事であると。
博物館は、「守り」「伝える」が最も基本的な使命ですが、そのために、様々な資料
の収集、保存、研究、教育、普及・展示に努めて公衆に開かれた施設であることを目指
し、管内の照明、冷暖房、休憩所、食堂・喫茶室など博物館利用者に快適な環境が提供
できるようにし、博物館が知的文化的中枢として地域社会に貢献できるよう種々活動が
なされているのですね。
今後に向けて、著者は、博物館もまた、2015年国連サミットで採択されたSDGs
(持続可能な開発目標)を意識して、それらとともに進むべきものであるとし、「人間
の精神の力」すなわち「文化の力」をもっと表面に出し、「SDGs+1(文化)」を
呼び掛けられていました。
ちなみに、公益財団法人日本博物館協会というのがあります。昭和3年に、「博物館
事業促進会」として発足、昭和6年に「日本博物館協会」と名称変更され、平成26年に
公益財団法人となっています。
『博物館に関する諸事業の実施を通じて、博物館の健全な発達を図り、社会教育の
進展に資するとともに、 我が国の教育、学術及び文化の発展に寄与することを目的と
して活動しています。』とあります。
上野の、東京国立博物館には、たびたびお世話になっている身には、『ICOM KYOTO
2019』は新鮮な感じに響きました。