蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

最高裁判所  (bon)

2019-10-29 | 日々雑感、散策、旅行

 突然硬いタイトルで恐縮です。

 手元の会報に、一昨年(2017年)に退官されたという、櫻井龍子氏(元最高裁判事)の
在職8年を振り返った講演記録が目に留まりました。
 最高裁なんて初めて扉を開くような感じですが、かいつまんで紹介したいと思いました。

     最高裁判所
      (最高裁判所HPより) 

 「悲しい程に知られていない最高裁」と言われるほど、一般に知られていないこともあって、
司法制度改革が行われたとも言えるかもしれないと。 21世紀の変化の激しい国際社会に
追随できないことから、2000年頃から日本社会全体の構造改革の一環として司法制度改革が
行われたのです。
 櫻井氏が最高裁判事に就任した頃(2008年)は、すでに改革は進んでおり、裁判員制度
導入の直前であったそうです。

 確かに、私なども、裁判員裁判の導入には驚いた感覚が残っています。素人が、にわか
勉強して、うまく行くのか? 裁判官とのやり取りもかえって時間がかかり、お荷物?にな
るのでは・・? しかし、現実にはうまくいっているそうです。


 司法制度改革は、大きく3つの柱で構成されているとあり、①国民に寄り添った制度として、
・裁判の迅速化、・法テラスの導入(法テラスについては、当ブログ 2019.9.13 ご参照)、
・労働審判制度の導入(労働者と事業主との間の紛争を簡易迅速に解決する)、二つ目は
②法曹の在り方の改革として、・ロースクールの導入、・判事補の弁護士職務経験制度の
導入などで、司法試験合格者を増やすことと、一般社会の広い経験を積ませること、そして
③国民の司法参加で、・裁判員制度の導入があります。

 裁判員制度について、少し詳しく述べられていますので、ご紹介します。
 裁判員が参加するのは、重大犯罪の裁判に限られ、年間1000~1700件程度あるそうです。
これを、年間8000~1万人の裁判員が担当しているのだそうです。 裁判終了後の調査では、
95%の裁判員が「大変良い経験だった」との回答だそうです。裁判官のほうも、国民(裁
判員)の皆さんからの刺激も大いに受けたとのことだそうです。

          ホトトギス(記事と無関係です。)
           (2019.10.28.) 

 最高裁判所の役割には、①法令解釈の統一,②違憲立法(行政)審査権の行使について
述べられています。 ①の法令解釈の統一とは、最高裁の判決は最終審であるがゆえに、
下級審の判断を拘束し、最高裁は判例を出すことで、法律を作るのと同じ機能をはたして
いて、これを「法令解釈の統一」として、社会の法的安定性などを担保しているのです。
 日本は、「三審制度」が採用されており、第一審は地方裁判所や家庭裁判所、第二審は
高等裁判所で、第三審が最高裁判所となっているのです。②の違憲立法(行政)審査権と
いうのは、「一票の格差」「非摘出子の法的相続分」「女性の再婚禁止期間」などの訴訟
が扱われています。

 そして、最高裁判事の主要な仕事が紹介されていました。最高裁には小法廷が3つあり、
15人の裁判官が5人のグループに分かれて担当されていて、各小法廷は独自に判決を出せ
ますが、憲法判断にかかわる場合は大法廷を開く(年に2~3件)必要があるとのことです。

 で、最高裁には年間6000件の案件が上告されるので、1つの小法廷で約2000件が担当さ
れる計算になりますが、実際には、最高裁判所調査官(裁判官として15~20年の実務経験
を持つ約40名)が事前に審査し、約95%は、裁判官の書類審査で棄却ないし不受理とされ、
残りの約100件が合議にかけられるとのことです。この100件は、調査官が、一審判決、
二審判決、上告理由書、受理申立書などから、論点、判例、学説などをまとめ資料を作成
するそうです。

 最高裁の判決には、裁判官に反対者がいれば、反対意見、やさらにその反論を補足意見
として判決文に付けることができるそうです。


 最後に、最近の最高裁判決の事例として、①性同一性障害特例法の適用、②マタハラ判
決、③預貯金と遺産分割 が紹介されていました。

 そして、『悲しいほどに愛される最高裁』になれたら大変うれしく思う‥と締めくくら
れていました。

         マユハケオモト(6年前に滋賀県のNさんから頂いた物)
          (2019.10.26)

 長くなりますが、私が子会社にいたころ、2つの事案で東京地方裁判所にかかわったこ
とがありました。
 一つは、詐欺案件で原告として、もう一つは、労働案件で被告の立場で両案件を担当し
ました。 霞が関の地裁法廷に何度か出向いたり、虎ノ門の担当弁護士との打ち合わせを
したりした経験を思い出しました。

 法廷では傍聴人席でしたが、テレビや映画で見るような口頭弁論などは一切なく、ひた
すら準備書面の確認とわずかな質問、次回予定日の確定で10分もかからない簡単なもので
した。
 それでも、幅広い病院のような廊下の長椅子にそれぞれのグループが順番待ちをしてい
る光景は、やはり場所が場所だけに陰鬱な感じでした。 そして、よくもまあ、こんなに
たくさんの案件があるものだと思いました。

 ある時、裁判所を出ようとした時、大勢の報道陣が殺気立って身構えていて、一瞬ギョッ
と驚きましたが、ちょうどこの日に重大事件の裁判があったとかで待ち構えていたのでした。


Katherine Jenkins - Someone To Watch Over Me (Lyric Video)

 

 

 

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