蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

9.11  (bon)

2021-09-11 | 健康、医療

 あれから20年が経つのですね。

 あの日、テレビでみた映像は、最初SFの映画のシーンかと思いました。アナウン 
サーの血走った声を聴いて、これが現実であることがすぐにわかりました。かって
訪れたことのあるマンハッタンの世界貿易センタービルに旅客機が突っ込んでいた
のです。 信じがたい光景がそこにあったのです。

 テレビのこの映像は、ハイジャックされた2機目の旅客機で、追いかけるように
ペンタゴンともう1か所にも旅客機が墜落した、前代未聞の大惨事、同時多発テロ
事件です。

       WTC 9.11前(左)と 後(右) (共にネット画像より)
     

 当時の共和党ブッシュ政権は「対テロ戦争」として英国と主導し、この年の暮れ
までにアフガニスタンのタリバン勢力を制圧しました。 しかし混乱はなおも継続
し、2003年にはイラク戦争へと進み、ようやく、2011年、民主党オバマ時代に終結
宣言がなされ、2014年にはアフガニスタンの政権交代を受けて新政府が成立し、安
定のための活動や復興に注力されてきたのです。日本から中村哲医師(2019年死亡)
の大変な活動などが後に知ることとなりました。

       中村哲医師の活動
        (ネット画像より)

 昨年(2020年)2月には、米―タリバンの平和合意があり、平和交渉が始まって
いたはずのところ、タリバン勢力は急激な拡大を見せ、ついに2021年8月(先月)
には、アフガニスタンはタリバンにより制圧されたのです。
 アフガニスタンの復興に協力してきた日本を含む各国の人達の、先月末に発生し
た緊急脱出という戦時戦略同様の事態となったのでした。

             

 にわか勉強で誤解や誤謬があるかもしれませんが、そもそもアフガニスタンという
国は、18世紀の半ばに王国が成立し、約100年前(1919年)に独立しましたが、
政権がなかなか安定せずアフガニスタン王国は共和国へ、さらに民主共和国へと変
遷する中、1979年のソ連の進攻以来、今日まで混乱状態の中にあって難民の総数は
600万人を超えるとあります。
 1988年ジュネーブ合意によるソ連退却後、1992年にはアフガニスタン・イスラム
共和国が成立しますが、内戦は継続の中にありタリバン勢力が拡大して行くのです。

 このタリバン勢力の中に、オサマ・ビン・ラーディンをトップとするアルカーイダ
組織があり、2001年9月11日の大惨事に至るのです。 アルカーイダ組織は、イラク
がその拠点ですが、タリバン勢力に入り本部と対立してあらたにIS(イスラム国)
を形成して行くのです。

       (ネット画像より)

 今回、アフガニスタンは、タリバン新政権の手に委ねられたわけですが各国の支
援が必要とされながら、一方ではテロ集団によるテロ活動の危険性があり、さらには
そこで生活する一般人への対応や女性に関する事案、教育などなど不安要素だらけ
でないでしょうか。この国を、国家として容認するためにはどのようなことを取り
決めればいいのでしょうか?

             

 あれから20年が過ぎ、その間の世界の流れを、手元の会報記事『アメリカ同時多
発テロから20年』(待鳥聡史氏、京都大学大学院教授)に、いくつかの区切りに分
けて俯瞰的に述べられていますので、以下に項目と要点だけを再掲させていただき
ました。

・2001~08年 『対テロ戦争とグローバル化の継続』 イスラム原理主義の浸透に
対抗した戦時体制は、アフガニスタンやイラクでの主要な軍事作戦は早々に終了し、
これまでの世界的潮流である経済的にグローバル化、政治的には民主化(自由民主
主義体制)へと向かって行く。

・2008~16年 『リーマンショック以降の転換』 リーマンショックはこれまでの
流れに冷や水を浴びせた。世界的な金融危機とそれに伴う不況により、各国の経済
に大きなダメージを与えた。同時に、中道左派の経済政策の行き詰まりも見逃せない。
2010年以降の中東諸国の民主化運動は挫折し、政治的混乱はシリア他中東・北アフ
リカ諸国の不安定化によるヨーロッパ諸国への大量の移民と難民を生み出した。

・2016年~ 『ポピュリズムとパンデミック』 ポピュリズムの台頭により、グロ
ーバル化と民主主義体制の安定のいずれもが動揺し、権威主義体制が台頭し始めた。
移民・難民の大量流入はヨーロッパの政治と社会に深刻な緊張をもたらしポピュリ
ズム政党の躍進を生じた。また、アメリカ、トランプ政権はアメリカ第一主義を掲
げグローバル化の恩恵や国際協調には懐疑的であった。
 そして、2020年の新型コロナによるパンデミックによりグローバル化や民主化へ
の楽観論にとどめをさした。民主主義体制に比べて政府が社会や市民を統制できる
権威主義体制の方が近年の経済成長とパンデミック対応の双方で優位に立つとの見
方がある。

             

 このように概観しますと、やはりこの20年というのは大きな転換を繰り返してき
ていることに気が付きます。この難局を乗り切るために、早計に優位と考えられる
権威主義体制に戻るのではなく、今こそ叡智を終結した体制と行動が求められてい
るのでしょう。

 

 

Autumn In New York - Sweet Jazz Trio

 

 

 

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