BRICSは、ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国
(China)、南アフリカ(South Africa)の頭文字を合わせた造語ですが、この8月
22日に、南アフリカ・ヨハネスブルクで新興5カ国(BRICS)首脳会議が開
催されました。
南アは、国際刑事裁判所(ICC)加盟国なので ロシアのプーチン大統領は、
ICCから逮捕状が出されていますから、大事をとって対面出席を見送り、ラブ
ロフ外相を派遣して自身はオンライン参加にとどめたそうです。
(jiji.comより)
この会議での議題は、参加国の拡大がメインで、サウジ、イラン以外にアルゼン
チン、エジプト、エチオピア、アラブ首長国連邦(UAE)6か国が来年1月に正式メン
バーとなるとされています。BRICSの拡大はもともと「グローバルサウス」と呼ば
れる新興・途上国をまとめて米国に対抗することを狙う中国が主導した経緯がある
とされています。
BRICsはもともと経済分野で「広い国土と多くの人口、豊かな天然資源をもとに
今後大きく成長するであろう」と注目されていて、ゴールドマン・サックス社が
提唱した2001年当初は、南アフリカは入っていませんでした。 BRICsのsは複数の
sのように思っていました。
蓼科の農作業合宿(蓼科浪漫倶楽部の高校同期メンバー)でも、仲間に経済通が
二人もいたので、農園初期の夕食後の団らんでも、たびたびBRICsが話題に上り
新しい世界の経済成長の潮流を議論したものでした。 その後、2010年に南アが
加わって、BRICSとなったのですね。
しかし、上述しましたように、中国などでは、これらの国々の結束は、米欧を
始めとする西側陣営に対する軍事協力集団への発展に色づいてきているのですね。
ロシアのウクライナ侵攻からちょうど1年半が過ぎますが、東西陣営の結束の動き
が活発化してきており、このBRICS は、かってのワルシャワ条約機構の狙いが込め
られているように思われます。
第二次世界大戦を防ぎ得なかった反省から、1945年に「国際の平和と安全を維持
するため、平和的手段によって、かつ正義及び国際法の原則に従って実現すること」
を目的として「国連」が51か国の加盟で設立されました。 しかし、しばらくして
東西の冷戦が激化したため1949年4月に、ベルギー,カナダ,デンマーク,フランス,
アイスランド,イタリア,ルクセンブルク,オランダ,ノルウェー,ポルトガル,
イギリス,アメリカの12ヵ国が北大西洋条約に調印し、同条約は同年8月に発効し
ました。これが集団防衛機構である北大西洋条約機構(NATO)ですね。 さらに
その後、ギリシア,トルコ,西ドイツ,スペインなどが加盟し、今年4月に加盟した
フィンランドで計31か国が加盟しています。
NATO加盟国
(ネット新聞より)
上述したワルシャワ条約機構は、1955年にソ連と東欧8か国で西側のNATOに対抗
した軍事同盟として結成され、東西冷戦体制の二大軍事同盟が対立するという図式
が完成したのですね。
しかし、1985年には、ゴルバチョフ政権のもとでペレストロイカ(改革)が進み、
東欧諸国が社会主義から離脱するとともに、米ソ首脳による冷戦終結が宣言された
ことをうけて、1991年に解散となり、ソ連は解体したのです。したがって、NATO
に対抗する軍事同盟体制がなくなっていたのです。 (BRICSがその下地となるの
ですね。)
今回の、BRICS首脳会議でビデオ演説をしたプーチン大統領の言葉に「30億人超
が暮らすBRICSで世界の国内総生産(GDP)の26%を占める。購買力では先進
7カ国(G7)をしのぐ」とあり、西側諸国の対抗軸にしたいという思惑をのぞか
せています。
ロシアのウクライナ侵攻の初期に、ウクライナのNATO加盟について取りざたされ
ていましたが、ロシアとしては、ウクライナが西側の陣営に加盟して欲しくない
のですね。 ロシアの侵攻を見て、フィンランドも急いでNATOに加盟することに
なったのでした。
BRICS首脳会談の会場になった南アフリカは、先のアパルトヘイト廃止に向けた
活動でソ連の支援を受けた経緯があり、ICC加盟国でもある立場から、ラマポーザ
南ア大統領は議長国として難しいかじ取りであったようです。 また、BRICSには
インドのモディ首相も出席していますが、インドは、クワッド(QUAD)として、
日、米、豪、印の活動も行っており西側にも足が入っているなど難しい立場である
と思われます。
いま世界は、再び東西陣営に分かれようとしており、いわゆるグローバルサウス
をBRICSに取り込む動き、あるいは西側に取り込む動きなど活発な動向が展開され
てます。小さな国であっても、過去(1962年)の冷戦時代にキューバにソ連が核
ミサイル基地を設置する動きがあり緊張に包まれましたが、アメリカにより発覚し
事なきを得た事例があります。
BRICSの拡大(+6か国)
(ウイキペディアより)
本来、国連がしっかりとしていれば・・ですが、常任理事国5カ国(中国、フラ
ンス、ロシア、イギリス、アメリカ)と、総会が2年の任期で選ぶ非常任理事国10カ
国による投票で決議されますが、常任理事国は拒否権を有しており、ここにはロシ
ア、中国がいますから東西の意見が一致することはないでしょうね。したがって、
NATOやBRICSのような軍事同盟(協力)のグループが次第に色濃く成長しつつある
のですね。
このところニューノーマルと呼ばれる、異常気象の常態化による、大規模森林
火災、集中豪雨などによる災害が各地で頻発しており、死者や避難者が出、イン
フラの被害を受け復旧にも多大な費用が発生し、各国とも足元の火種をもはや無視
することはできないくらいになって来ていると思われますが、一方、東西の軍事
同盟のつばぜり合いは、さらに積極的な対応が求められ、ここに地球(人類)と
しての大きな矛盾があるようにも思われるのです。
Brasil - Pink Martini ft. Storm Large | Live from Washington - 2011