熊本・人吉市土手町に大本山總持寺の直末寺で「幽霊寺」の異名で知られる曹洞宗寺院「蓬莱山永国寺」はある。創建は応永15年(1408年)、17年(1410年)ともいわれ600年の寺歴を誇る古刹である。人吉・球磨地域の曹洞宗寺院16箇寺の本寺で人吉城主相良家と所縁がある。本尊は釈迦如来。当寺は明治10年の西南戦争の際「西郷隆盛の本陣=本営」を置いた。人吉駅より人吉橋(球磨川)を渡り進むと右側に「山門」、「鐘楼門」があり正面に明治24年(1891)に再建の「本堂」がある。本堂内の左側には実底超真和尚が描いた「幽霊の掛け軸」が掛けられており説明の録音が流れている。本堂周りには「秋葉大権現」、千手千眼観音を安置する「千手観音堂」、「開山堂」、「庫裡」、「書院」が建ち並ぶ。寺の背後には掛軸にも描かれている幽霊が出たという池がある。また「人吉二番隊士の碑」や「西郷隆盛先生之遺跡の碑」、五重石塔(現在四重)、人吉・球磨地方で最も古い在銘重層石塔 、千人塚石塔(耳塚)、海軍大将山本英輔書、人吉二番隊士の碑が建っている。当寺は肥後三十三観音第9番札所で御詠歌は「ゆふつく日入る山の端をなかくにの つゐのすみかと兼てしるべし」。(1711)
あと3日で師走、いよいよ秋も深まり木々たちが朱、黄の葉を纏うように紅葉・黄葉に彩られている。当麻に「時宗」の旧本山であり古くは「当麻道場」で11ケ寺の末寺を擁していた一遍上人ゆかりの寺院「当麻山無量光寺」はある。創建は弘長元年=1261、本尊は一遍上人。紅葉が一際美しい当寺は毎年訪れる寺院の一つである。重厚な構えの「外門」より石畳の参道の先にある「山門」を抜けると深い木立の包まれた境内には「経堂」、「東権現」の建造物、「芭蕉の石碑」、「徳本念仏塔」、「歴代廟所」、「御影の池」、「御髪塚」、「笈退の泉」、「金光院の跡」がある。紅葉は美しいのは「庭園と池」、「本堂」横の「一遍上人像」、「鐘楼」の周りである。カエデ、モミジ、落葉樹が深紅に、真黄、橙色に染まって境内全体が七色のグラデーションとなっている。(1711)