諏訪中央病院の名誉院長で、日本チェルノブイリ連帯基金理事長、日本・イラク・メディカルネットワーク代表の著者が、人生・生き方をより良い方向にちょっとだけ/ちょっとずつ「1%」変えてみよう/踏み出そう、例えば1%相手の身になってみる、他人のために生きる、そういったことを勧めるエッセイ。
とりあえずの目標を小さく設定することで始めやすくする、徐々に目標を上げていって持続させる、そういうことを狙って、その象徴として「1%」というキーワードが使われています。読んでいて、何がどう「1%」なのかは、よくわかりませんし、数字にする意味があるのかもあまり必然性を感じず、「1%」という言葉にこだわるとむしろ違和感を持ち、居心地が悪く思えます。
著者自身の経験で子どものころ、近所のおばさんのうちでごちそうになると「何を食べてもおいしかった。僕の家で食べる父がつくってくれるご飯に比べれば、すべて食べたことがないほどおいしいものばかりです」「ぼくは貧乏だったのでご飯に弱いんです。ご飯に誘われると断れません」(20~21ページ)というエピソードは、切なくもほほえましいし、「人生は、半分は錯覚と誤解でできています。自分は運がいい、と思い込むことが運のいい人になるための大原則」(26ページ)は至言だと思います。イラクの病院で貧しい白血病の少女を院内学級の助手として雇うことでその少女の再発を監視し防ぐとともに、白血病患者が助手として登場したことでそれまで白血病になったら死ぬと思っていた患者の親たちが治るかもしれないと希望を持つようになって、院内の雰囲気が変わり治療成績も改善したという話(83~90ページ)は心温まります。
どちらかというと、「1%」にあまりかかわらないところで、感じさせるところのある本かなと思いました。
鎌田實 河出文庫 2016年7月20日発行(単行本は2014年9月)
とりあえずの目標を小さく設定することで始めやすくする、徐々に目標を上げていって持続させる、そういうことを狙って、その象徴として「1%」というキーワードが使われています。読んでいて、何がどう「1%」なのかは、よくわかりませんし、数字にする意味があるのかもあまり必然性を感じず、「1%」という言葉にこだわるとむしろ違和感を持ち、居心地が悪く思えます。
著者自身の経験で子どものころ、近所のおばさんのうちでごちそうになると「何を食べてもおいしかった。僕の家で食べる父がつくってくれるご飯に比べれば、すべて食べたことがないほどおいしいものばかりです」「ぼくは貧乏だったのでご飯に弱いんです。ご飯に誘われると断れません」(20~21ページ)というエピソードは、切なくもほほえましいし、「人生は、半分は錯覚と誤解でできています。自分は運がいい、と思い込むことが運のいい人になるための大原則」(26ページ)は至言だと思います。イラクの病院で貧しい白血病の少女を院内学級の助手として雇うことでその少女の再発を監視し防ぐとともに、白血病患者が助手として登場したことでそれまで白血病になったら死ぬと思っていた患者の親たちが治るかもしれないと希望を持つようになって、院内の雰囲気が変わり治療成績も改善したという話(83~90ページ)は心温まります。
どちらかというと、「1%」にあまりかかわらないところで、感じさせるところのある本かなと思いました。
鎌田實 河出文庫 2016年7月20日発行(単行本は2014年9月)