「東海道五拾三次」や「木曾海道六十九次」(山地を貫く道がなぜ「海道」なんでしょう…)などで有名な広重の浮世絵を紹介し解説した本。
日ごろ、断片的に、特に有名な絵しか見ない広重の浮世絵をまとめて見て比べると、いろいろ思うところがありました。
改めて見ると、現在とは使える画材(染料・色素)が違うためでしょう、色合い、色の組み合わせが現代のものとは相当違うのですが、それがまた味わい深く、しゃれた感じがします。「東海道五拾三次」の「神奈川・台之景」「戸塚・元町別道」の茶色、黄色、灰色の家並み(宿屋)、その柔らかな色彩とは合わないように思える黒(暗緑色)の樹々、藍色の海/空の意外に美しい組み合わせなど、感心します。
広重が、何度も描いた東海道五拾三次を比べると、見慣れているせいかもしれませんが、やはり保永堂版が一番完成度が高いと感じます。
広重の版画は、風景画が多いのですが、その風景画も、その中にほとんどの絵で漫画のような人が書き込まれていて、その人(旅人や宿場の人たち)の様子が絵の味わいを深めていることがわかります。
「双筆五十三次」という広重と三代歌川豊国(歌川国貞)の合作のシリーズがあるのは、初めて知りました。美術作品としては中途半端にも思えますが、なんだかおもしろく飾り物としてはいいセンスのように思いました。
河出書房新社 2017年1月30日発行
日ごろ、断片的に、特に有名な絵しか見ない広重の浮世絵をまとめて見て比べると、いろいろ思うところがありました。
改めて見ると、現在とは使える画材(染料・色素)が違うためでしょう、色合い、色の組み合わせが現代のものとは相当違うのですが、それがまた味わい深く、しゃれた感じがします。「東海道五拾三次」の「神奈川・台之景」「戸塚・元町別道」の茶色、黄色、灰色の家並み(宿屋)、その柔らかな色彩とは合わないように思える黒(暗緑色)の樹々、藍色の海/空の意外に美しい組み合わせなど、感心します。
広重が、何度も描いた東海道五拾三次を比べると、見慣れているせいかもしれませんが、やはり保永堂版が一番完成度が高いと感じます。
広重の版画は、風景画が多いのですが、その風景画も、その中にほとんどの絵で漫画のような人が書き込まれていて、その人(旅人や宿場の人たち)の様子が絵の味わいを深めていることがわかります。
「双筆五十三次」という広重と三代歌川豊国(歌川国貞)の合作のシリーズがあるのは、初めて知りました。美術作品としては中途半端にも思えますが、なんだかおもしろく飾り物としてはいいセンスのように思いました。
河出書房新社 2017年1月30日発行