「ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS:People Against Pornography and Sexual Violence)」と「NPO法人 人身取引被害者サポートセンター ライトハウス」が行っているAV被害者相談支援事業の経験から、相談事例と筆者らの活動、弁護士を介した交渉事例などを紹介した本。
相談者自身が資料・証拠をほとんど持っておらず、思い出したくない内容だというような事情もあって記憶の方も曖昧な部分があるということがあるのでしょうけれども、内容のわりに、業者の行為を違法だと断言せずに、慎重なというか遠慮したというか筆者の戸惑いためらいが感じられる書きぶりです。
弁護士としての感覚でいうと、契約書にサインし、いったんは合意したということだとしても(どこまで説明されているか、理解したかは怪しいと思いますが)、裸体をさらしましてや性行為を行うという内容の契約を本人が(気が変わって)いやだと言っているのに履行させる/拒否したら違約金を支払わせるという契約は、公序良俗違反で無効と言ってしまっていいと思います。少なくとも、性行為とその撮影の拒否は、契約書にサインしていても、後から気が変わったという主張でも、全然問題ないし違約金請求が来ても支払わなくていいと思います。そこは遠慮した書き方しなくてもいいんじゃないかと。撮影までしてしまった後の販売禁止請求とかは、そう簡単ではなくて、いろいろ工夫がいるだろうとは思いますが。
プロダクションとの解約交渉で立替金等の出費100万円の返還請求をされ和解に至らずうやむやに終わったケースで、本人が音信不通となったのに「弁護士への弁護料の支払いが、着手金以外に残っていた。弁護士からクレームが来た。」(69ページ)って、書くかなぁ。組織的な力もない運動体の持ち込む困難な事件にお付き合いして、こういうふうに書かれるの、弁護士の側からしたら泣きたくなると思うんですが。それも「ヒューマンライツ・ナウ」の「I弁護士」って・・・ヒューマンライツ・ナウにほかにも「I弁護士」がいるかもしれませんけど、13ページでは「手探り状態の私たちが連携を求めたヒューマンライツ・ナウの事務局長伊藤和子弁護士」と書いていることを見たら読者100人のうち100人が同一人物だと思うんじゃないでしょうか。
宮本節子 ちくま新書 2016年12月10日発行
相談者自身が資料・証拠をほとんど持っておらず、思い出したくない内容だというような事情もあって記憶の方も曖昧な部分があるということがあるのでしょうけれども、内容のわりに、業者の行為を違法だと断言せずに、慎重なというか遠慮したというか筆者の戸惑いためらいが感じられる書きぶりです。
弁護士としての感覚でいうと、契約書にサインし、いったんは合意したということだとしても(どこまで説明されているか、理解したかは怪しいと思いますが)、裸体をさらしましてや性行為を行うという内容の契約を本人が(気が変わって)いやだと言っているのに履行させる/拒否したら違約金を支払わせるという契約は、公序良俗違反で無効と言ってしまっていいと思います。少なくとも、性行為とその撮影の拒否は、契約書にサインしていても、後から気が変わったという主張でも、全然問題ないし違約金請求が来ても支払わなくていいと思います。そこは遠慮した書き方しなくてもいいんじゃないかと。撮影までしてしまった後の販売禁止請求とかは、そう簡単ではなくて、いろいろ工夫がいるだろうとは思いますが。
プロダクションとの解約交渉で立替金等の出費100万円の返還請求をされ和解に至らずうやむやに終わったケースで、本人が音信不通となったのに「弁護士への弁護料の支払いが、着手金以外に残っていた。弁護士からクレームが来た。」(69ページ)って、書くかなぁ。組織的な力もない運動体の持ち込む困難な事件にお付き合いして、こういうふうに書かれるの、弁護士の側からしたら泣きたくなると思うんですが。それも「ヒューマンライツ・ナウ」の「I弁護士」って・・・ヒューマンライツ・ナウにほかにも「I弁護士」がいるかもしれませんけど、13ページでは「手探り状態の私たちが連携を求めたヒューマンライツ・ナウの事務局長伊藤和子弁護士」と書いていることを見たら読者100人のうち100人が同一人物だと思うんじゃないでしょうか。
宮本節子 ちくま新書 2016年12月10日発行