伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

地球の歴史(上)(中)(下)

2017-07-04 22:54:43 | 自然科学・工学系
 太陽系と地球の誕生から現代に至るまでの、地球の変化、生命の誕生と進化・盛衰について解説した本。
 非常に長期間の大きなスケールでの大きな話が語られ、知的好奇心をそそられまたある程度それを満たすことができるという点でも、読み物としても、興味深い本です。
 私の関心としては、プレート・テクトニクス(大陸移動)が地球に(特に陸上に)生命をもたらしたという説明/主張に大いに興味をそそられました。海洋プレートが大量の水を含んだままマントル内に沈み込むことで海洋の(プレートより上の)水を減らして海の深さが現状程度にとどまり陸地が相当程度(現在地球表面の約3割)存在できている、当初はマントル上部と下部で別々の2層の対流だったものが水で冷やされた海洋プレートが沈み込みを続けるうちに28億年前にマントル下部までまとまって崩落するに至り(コールドプルーム)マントル全体での(1層の)対流が生じ、外核(液体金属)上部を冷却して外核内での対流を生じてこれが地球の磁場を発生させ、この磁場によって太陽風などの宇宙線が地表に届かなく(届きにくく)なり陸上でも生物が暮らせるようになった、またコールドプルームの下降流に対しマントル内での上昇流ホットプルームを生じてこれがマグマを噴出させて大きな大陸を作っていく、というような話です。
 興味深いエピソードが多数ありますが、同時に、どの程度実証されていることなのか、数字を挙げて見てきたように言われると、そんなことまでどうしてわかるのか疑問に思えます。12万3000年前までの氷期に人類の総人口は1000人を切るほどまで減ったと推定されている(下巻216ページ)、7万4000年前のトバカルデラの大噴火では人類が総人口は約1万人から3000人まで減少した(下巻233ページ)なんて、ミトコンドリアのDNA遺伝子に関する調査によるとか言われるともっともらしいけれど、そんなところまで本当に特定できるのかなと思ってしまいます。


鎌田浩毅 中公新書 2016年10月25日発行
コメント
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