ネットメディア「クーリエ・ジャポン」が掲載したクーリエ・ジャポン自身や提携誌が行ったインタビューを選抜して出版したもの。
世界の賢人16人と言っても、さほど長くないインタビューでは深まった議論には届かず、いろいろなもの・テーマが読める反面、総花的な食い足りなさも感じます。
コロナ禍がどうなって行くのか見当も付かなかったコロナ禍の初期に行われたインタビューが多く、時が経過した今読むと少しズレた感もあります。
オンラインコミュニケーションについて、コミュニケーションであっても「身体性」が抜け落ちている、仮にオンラインでしか人が会わない世界が到来したら、身体がそれに反発すると考えられますと、この本で最長のインタビューの中でダニエル・コーエンが述べています(134~135ページ)が、そこで言及された「身体の反発」は、ほとんど深められないままにインタビュアーが話題を転じ、不完全燃焼に感じます。よかれ悪しかれこの本を象徴するような場面のように思えました。オンライン授業については、他にも、あまりいい結果は望めない、テキスト購読の授業をオンラインでもリアル教室でも受講できるようにして好きに選択させると、テキストの内容をよく記憶できたのは実際に顔を合わせてやりとりをした学生の方だった、感情が記憶の土台になるという言及もなされています(228~229ページ)。
コロナ禍と関係がない部分では、2番目に長いトマ・ピケティのインタビューでのトマ・ピケティの新著「資本とイデオロギー」の紹介が、たぶんこの本の売りでしょう。ビリオネア(億万長者)は経済を後押ししない、毎年資産に対して累進課税をすることでビリオネアをなくす仕組みを作るべきだ、その資産課税を財源に25歳になった人全員に12万ユーロ(約1500万円)を一律に支給し、それを元手に起業や住宅購入等をさせるなど、斬新な、富裕層に媚びを売る政治家たちからは決して出てこない提案がなされていて、楽しめます(154~158ページ等)。
クーリエ・ジャポン編 講談社現代新書 2021年1月20日発行
世界の賢人16人と言っても、さほど長くないインタビューでは深まった議論には届かず、いろいろなもの・テーマが読める反面、総花的な食い足りなさも感じます。
コロナ禍がどうなって行くのか見当も付かなかったコロナ禍の初期に行われたインタビューが多く、時が経過した今読むと少しズレた感もあります。
オンラインコミュニケーションについて、コミュニケーションであっても「身体性」が抜け落ちている、仮にオンラインでしか人が会わない世界が到来したら、身体がそれに反発すると考えられますと、この本で最長のインタビューの中でダニエル・コーエンが述べています(134~135ページ)が、そこで言及された「身体の反発」は、ほとんど深められないままにインタビュアーが話題を転じ、不完全燃焼に感じます。よかれ悪しかれこの本を象徴するような場面のように思えました。オンライン授業については、他にも、あまりいい結果は望めない、テキスト購読の授業をオンラインでもリアル教室でも受講できるようにして好きに選択させると、テキストの内容をよく記憶できたのは実際に顔を合わせてやりとりをした学生の方だった、感情が記憶の土台になるという言及もなされています(228~229ページ)。
コロナ禍と関係がない部分では、2番目に長いトマ・ピケティのインタビューでのトマ・ピケティの新著「資本とイデオロギー」の紹介が、たぶんこの本の売りでしょう。ビリオネア(億万長者)は経済を後押ししない、毎年資産に対して累進課税をすることでビリオネアをなくす仕組みを作るべきだ、その資産課税を財源に25歳になった人全員に12万ユーロ(約1500万円)を一律に支給し、それを元手に起業や住宅購入等をさせるなど、斬新な、富裕層に媚びを売る政治家たちからは決して出てこない提案がなされていて、楽しめます(154~158ページ等)。
クーリエ・ジャポン編 講談社現代新書 2021年1月20日発行