流行っていないスーパーに民間研修で派遣された県庁職員が、はじめは机上の空論と保身の役所の論理をふりまわし傲慢な性格と相まって浮きまくっていたが、なんとか売上を出そうとする中で現場の苦労や客・従業員の立場を知り成長するとともにスーパー側も変わっていくというストーリーの小説。
お話は派遣された県庁職員と実質的に店を取り仕切っている「裏店長」のパートタイマーの視点で交互に描かれて進んでいきます。最初はこの切替がわかりにくいのと県庁職員が現場や客のことをまるでわからず役所の論理ばかり振り回し県庁以外ではおよそ使い物にならない典型的な小役人でありながら身勝手で傲慢なエリート意識むき出しの思考で語り続けるので県庁職員の語りの部分が鼻について共感できず読みにくく感じます。
後半に入り、老かいな担当者から、主張する総菜売り場の改善のために力を借りたいとしてチームの責任者に指名されパートチームとの売上競争に巻き込まれ負け続けてチームの職員から不満も出て悩むようになって実績を出すために客の立場を考えるようになって話が展開します。そこに消防署や保健所の立入検査、売り上げ不振によるリストラの危機が相まって県庁職員が頼りにされるとともに、たださぼっていたりいい加減と見えていた従業員が実際にはスーパーの現状に疑問を持ちそれなりに動いていたこともわかり、県庁職員とスーパーの従業員の間で信頼関係ができていき、後半は気持ちよく読めるという仕組みです。
傲慢だった県庁職員の成長と様々なスーパー従業員の人物造形が読ませどころの小説だと思います。
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桂望実 小学館 2005年9月20日発行
お話は派遣された県庁職員と実質的に店を取り仕切っている「裏店長」のパートタイマーの視点で交互に描かれて進んでいきます。最初はこの切替がわかりにくいのと県庁職員が現場や客のことをまるでわからず役所の論理ばかり振り回し県庁以外ではおよそ使い物にならない典型的な小役人でありながら身勝手で傲慢なエリート意識むき出しの思考で語り続けるので県庁職員の語りの部分が鼻について共感できず読みにくく感じます。
後半に入り、老かいな担当者から、主張する総菜売り場の改善のために力を借りたいとしてチームの責任者に指名されパートチームとの売上競争に巻き込まれ負け続けてチームの職員から不満も出て悩むようになって実績を出すために客の立場を考えるようになって話が展開します。そこに消防署や保健所の立入検査、売り上げ不振によるリストラの危機が相まって県庁職員が頼りにされるとともに、たださぼっていたりいい加減と見えていた従業員が実際にはスーパーの現状に疑問を持ちそれなりに動いていたこともわかり、県庁職員とスーパーの従業員の間で信頼関係ができていき、後半は気持ちよく読めるという仕組みです。
傲慢だった県庁職員の成長と様々なスーパー従業員の人物造形が読ませどころの小説だと思います。
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桂望実 小学館 2005年9月20日発行