目立たない個性に乏しい友達の少ない中学生尾垣真が、銀行の掲示板に張り付けてあった中世の城のようなものを描いた風景画に引き寄せられる感覚を持ち、仲間外れにされ孤立している絵がうまい元同級生城田珠美に、その絵の中にツバメや人間の絵を描かせてそれをアバター(分身)として絵の中に入り込み、絵の世界と絵の成り立ちの謎に挑むという設定のファンタジー。
「絵のなかに人が入ってしまうって話は、珍しくない」(88ページ)と、城田に言わせていますが、やっぱり「ナルニア国物語」第3巻のイメージかなと思いますし、別の世界にアバターを送り込んでそれと接続した外界で体が眠り込んでいるというのは映画の「アバター」のイメージで、どこかで見たようなアイディア・イメージのつぎはぎ感があります。それで1冊書けるのも才能ではありましょうが…
主な登場人物3人の中で、語り手の尾垣真が一番未熟で狭量でわがままというのが、ある種の新鮮さを感じさせるか、読者に入りにくさ・違和感を感じさせるか、も読後感・作品への評価を左右しそうです。
宮部みゆき 株式会社KADOKAWA 2015年4月30日発行
「絵のなかに人が入ってしまうって話は、珍しくない」(88ページ)と、城田に言わせていますが、やっぱり「ナルニア国物語」第3巻のイメージかなと思いますし、別の世界にアバターを送り込んでそれと接続した外界で体が眠り込んでいるというのは映画の「アバター」のイメージで、どこかで見たようなアイディア・イメージのつぎはぎ感があります。それで1冊書けるのも才能ではありましょうが…
主な登場人物3人の中で、語り手の尾垣真が一番未熟で狭量でわがままというのが、ある種の新鮮さを感じさせるか、読者に入りにくさ・違和感を感じさせるか、も読後感・作品への評価を左右しそうです。
宮部みゆき 株式会社KADOKAWA 2015年4月30日発行