Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

「シベリウスバイオリン作品集1」を聴く

2013年05月12日 21時53分37秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等
 久しぶりにCDを聴いている。9日に購入したシベリウスのバイオリン作品集の第1巻。どれも小品でバイオリンの佳品だと思うが、私は作品79の「6つの小品」が気に入っている。6曲それぞれの変化も楽しい。バイオリンとピアノのバランスもいい。バイオリン曲といいながらピアノの響きも楽しめるようになっている。作品78と作品80「4つの小品」は少々甘すぎる曲が並ぶが、決して飽きることはない。作品81「5つの小品」、作品79「6つの小品」はきりっと締まった感じとなる。
 シベリウスは大編成の交響曲やバイオリン協奏曲ばかりが取り上げられるし、CDもそれらばかりが店頭に並べられている。しかし先に取り上げたピアノ曲も含めこのような独奏曲・室内楽曲も大曲にひけをとらずすばらしい。このような曲にめぐり合えたこと、大変うれしい。
 特に弦楽器、特にバイオリンの響きは美しい。ヴィルトーゾ的な曲も、メロディーをたっぷり聴かせる曲も、さまざまな技法が駆使されていてしかも十分に楽器を響かせることを最大限追及している。

 シベリウスの曲というのは、聴いて心が高揚するというよりは、自省的になるような曲だ。気持ちが静かに落ち着いてくる。その点からは極めて私の嗜好にあっている。
 演奏もまた気負うことなく淡々と進んでいく。これは技量をとても要求する演奏だと思う。

 演奏者はバイオリンは佐藤まどか、ピアノは渡邉規久雄。
 佐藤まどかはシベリウス国債コンクール3位という経歴や東京藝術大学大学院でシベリウスの研究で博士号取得、日本シベリウス協会理事ということからもシベリウスの曲の普及や研究・掘り起こしに活躍されていることは十分察することが出来る。
 渡邉規久雄は私もずっと聴いているシベリウスのピアノ全曲録音を続けていて現在3枚のCDが出ている。父親が指揮者の渡邉暁雄。世界で始めてシベリウスの交響曲の全曲録音を行い、日本シベリウス協会の初代会長であったらしい。私には日本フィルの指揮者として、日フィルの「労使紛争」の時に日フィルの応援者として尽力されたこと、記憶している。渡邊暁雄の母、規矩雄の祖母がフィンランド出身の女性であったことが父子2代でシベリウスについての大きな仕事をされた・されているきっかけであろうが、きっかけを大きな豊かなものにするのは大変な努力と熱意を父子ともども発揮されたのであろう。おかげで良い演奏を聴くことが出来ている。
 このCDの演奏、バイオリンとピアノの掛け合いは作品としてもバランスの良さがあるものの、演奏自体のバランスもとても好ましいものに聴こえる。バイオリンの淡々と聴こえる演奏を支えるのは確かな技量とピアノとの掛け合いの良さだと感じている。

 当分はこの2巻の作品集を楽しむことが出来そうだ。同時にシベリウスから当面離れられそうもない。あすは作品集2を聴くことにしよう。