横浜開港資料館の「友好都市提携40周年記念 上海と横浜 波濤をこえて-夢・汗・涙が都市を結ぶ-」展を見てきた。
当初は特に興味を惹かなかったのだが、たまたま講談社学術文庫「幕末の天皇」(藤田覚)を読み終えたばかりで、幕末-明治維新の頃のことがふと気になった。また、神奈川大学の「歴史の中の日中関係」の講座を受けていて、ちょうどこの頃のことから歴史の解説も始まっており、ちょうど良い機会と思い見に出かけた。
前回、生麦事件についての資料展示があり、なかなか面白い資料もあって多少の期待をもって出かけた。
今回の展示では横浜開港時の資料と、ほぼ同時期の上海の諸資料の並列展示であった。私には二つの資料と展示が興味を惹いた。
ひとつは、日本で最初の洋画家といわれる高橋由一が上海に渡航した折のスケッチが8点ほどあったこと。このことは私は初めて知って驚いた。当時の写真が上海や横浜の様子をうかがうにはいいのだが、スケッチの方がかえってわかり易い面もあるようで、歴史的にも一級の資料になりうると実感した。高橋由一という画家のデッサン力にあらためて敬意を表さなくてはと感じた。人物も港の風景も実に生き生きと描かれている。
二つ目は、高杉晋作の日記の「遊清五録」が展示されていた。年譜によれば、1862(文久2)年5月に藩命で、幕府使節随行員として上海へ渡航、清が欧米の植民地となりつつある実情や、太平天国の乱を見聞して帰国した。この日記、私の能力では読めないが、展示の解説では上海での租借の実態、租借により中国人が困窮している実態を見、尊皇攘夷の志を強くした部分の記述などが示されていた。同時に同じ目で開港したばかりの横浜港を見て、外国船のマストの林立の様を目の当たりにし、その思いを強くしたことなどの解説があった。あらためて昔習ったことなどを思い出すことが出来た。
昔は高杉晋作の思想形成については勉強したことがあるが、「遊清五録」という日記にその思想形成過程が記されていることなどは今回初めて知ったし、その実物を始めて見た。
200円の入館料で、とても勉強になったと思う。