19日に続いて最晩年のピアノ独奏曲集である「幻想曲集」(作品116)を聞いている。いづれも2分から4分の短い曲が7曲。演奏は同じペーター・レーゼルの1973年の録音。全集の第4巻。1997年に購入したと思うが全5巻で各1000円であった。安い買い物でいい演奏を購入したようだ。
特徴のある力強い早い3連符のリズムで始まる第1曲にまず引き込まれる。2曲目がゆっくりで暗く沈んだ雰囲気の顕著な静かな曲。第3曲はまた早いテンポに戻る。後半に出て来るメロディーは流れるような旋律で美しい。第4曲はとても暗く沈んだ曲。メロディーの姿は明瞭であるのだが、浮かんできそうでまた闇の中に沈んで消えていく。第5曲も第4曲と同様な曲だが短調になった分だけより沈鬱かもしれない。第6曲は実に単純な音型が静かに続いて空中に消えていくように終わる。それを受ける形で第7曲は短い音型が早目のテンポで推移し、歌うようなメロディーの形になりきらずに不協和音が続いて突然のように終わる。
晩年のブラームスの孤独と人生や社会への別離を予感するような作品である。
このような作品は雨の降るしずかな夜に、ブランデーでも片手に聴きたいものである。
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