【カウリスマキ】の待望の新作。そうかもう5年経つんだ。久しぶりだったね。今回はどんな話かな?
冒頭のアクションからラストの静かな花見まで相変わらず【カウリスマキ】節は健在だ。でも、もう作るべき映画は作っちゃったという感じで、ラストの2か所はかなり強引な筋立てを考え付く。
これが【カウリスマキ】だから目を細めて赦すかどうか、この映画の評価を左右する。僕は大の【カウリスマキ】ファンだけれど、ちょっ . . . 本文を読む
この映画は孤独な少年のまなざしのみを一気に描いた作品ですね。彼を取り巻く父親、環境(施設)、里親、友人(悪人ではあるが)たちの説明はほとんどカットして、あくまで少年の見ている方向だけを描写している。それは正しい。
子供は大人ではない(当たり前だが)。だから僕たち大人が見ている視線で世の中を感じ取っているわけではない。愛情いっぱいにはぐまれて育つのがまず基本線なのだ。花でさえ毎日水をやらなければし . . . 本文を読む
冒頭は小津の『浮草』のあの激しい雨のシーン(これはラストでシンメトリー化する)。唐突なベルイマンの『処女の泉』(話だけだが)といい、【原田眞人】はこの映画を何かオマージュっぽく集大成化しようとしているように見える。
確かに映像、演出、そして豪華な俳優陣、そして脇役の隅々までの彼らの確かな演技。どれを見ても一級品だ。現代日本映画の粋だろう。しかし私には作品的には立派でも肝心のわが心が全く触れてくれ . . . 本文を読む
僕にとっては珍しい種類の演劇だ。とにかくとっても卑近過ぎる題材、手法、現実を見据えたカッコつけない抉り方は、ただ何となく舞台を見ていてはいけないと思わざるを得ない圧倒感を持って僕に迫る。
観客と舞台との距離を狭くしようとしているのだ。すなわち客観的に見せてくれないその演劇方法に最初驚きと違和感を持って見始めたのだが、例えば日常で電車の中で不意に起こる事件が目の前で実際起きているような錯覚さえ感じ . . . 本文を読む