いやあ久々の綾辻行人。何年ぶりかのう。ひょっとしたら20年ぐらいは経っているのかも。
エラリー・クイーンを照らした叙述法は、やはり本格モノをミステリーの珠玉にしている吾輩としては、ただただページを繰るのが嬉しい限り。この長編はこれだけの分量を呈してたった1件の殺人事件しか起こらないが、そこにこそ綾辻の狙いがあるように思われる。これを2,3件の連続殺人事件にしてしまうとそこらのミステリーとなんら変 . . . 本文を読む
いつものナチものでないところがいい。主人公たる英雄も最初は金稼ぎの内職としてユダヤ人をカモにしている。地下に匿われたユダヤ人にも女癖の悪い奴がいて、狭いごろ寝にもかかわらず愛人とセックスをするありさま。
そして生まれた乳飲み子を殺してしまう女など、みんな生きるためには何でもするいわゆるホロコーストものでないところが見ていて救われる。
またこの秘所から収容所に忍び込み連絡をつけ、またぬけぬけと帰 . . . 本文を読む