12歳になると政府軍に徴兵されるから子供たちは成人でも精薄気味の大人にも一種の憧れの気持ちを持つ。なぜならば軍に取られないで済むから。
破滅的な政府軍と心情的には応援したくなるゲリラ軍、しかしどちらを向いても少年が銃をぶら下げている風景は、現世でも世も末という感じである。
死と隣り合わせの生活を強いられている人間は世界中でも限りなく存在しているし、そのうち12歳以下の少年軍は30万人いるという。
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ジャン・ギャバンのダンディーぶりいやいやフランス紳士のかっこよさに感心いたします。小銭を借りてまで施しを与えるその懐の太さには人間本来の優しさを感ず。フランソワーズ・アルヌールはこの作品ではそれほど魅力的でもないが、圧巻はラストの10分間のムーランルージュでしょう。今でもこんなショーがあったら是非見に行きたいです。現代演劇でも是非参考にしてほしい振り付けです。
そう、フランスは恋の国。出会いはムー . . . 本文を読む
今村昌平の一方的なワンマンショー。欲望というより人間の原始本能を主テーマに、はるか日本の南の島で繰り広げられる人々の日常。
話はわかりやすいが、それでも3時間近くの長編なので忍耐も必要だろう。今村を知る上では必見の作品ではあるが、彼の世界にどっぷりつかるほどもう若くなくなっている自分を感じる。若い時に見たかった作品である。
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どうもアメリカの死刑制度の最もいけないところ、すなわち死刑執行シーンを遺族たちに見せしめにする場面が多すぎて、ちょっとこのドラマのテーマから外れていないのか気になった。
「ダンサーインザダーク」もその部分が気になり、引いてしまった映画だったが、この映画はそれほどでもないが、アメリカ人の見世物的な悪意を感じ取ってしまった。日本人には到底想像すらできないものであるだろう。
僕にはこの映画の印象としては . . . 本文を読む
予告編で見た兄弟の難病ものとは想像はしていたが、もう一人の子供がいたんだね。このひねりのストーリーが意外とこのドラマの芯となって強く、ただの難病ものにしていないところが偉い。
何を言ってもパク・チビンの豪快なスケールの大きな演技にはただただ驚く。兄のソ・テハンも繊細な演技ですばらしくいい。演出に躍動感があり、結構、頭の手術跡なんかもリアルで感心する。
以下ネタバレ
最後でおにいちゃんが隣のベッ . . . 本文を読む
父親が死んでから25年もたって父親が設計した建築物を追って世界に旅する息子のドキュメンタリー。息子の心に投影するのは家族より自分の芸術を追ってやまない父親の姿。手当たりしだい仕事場でつまみ食いし子供を設ける父親。自分の母親もその一部に過ぎないと気づき始めるも、父親の深部に到達しようとするいたいけな息子。
たまにしか会えない父親だったから息子からは追憶の気持ちも強いのだろう、けれどもドキュメンタリー . . . 本文を読む
「HAZAN」に続き日本画家の孤高の闘いを映像化したものだが、2時間強見ごたえのあるドラマになっている。
榎木孝明も比較的若いときの台詞回しは演技っぽくちょい無理しているなあと思ったが、年を経るごとに鬼気迫る迫力を表出している。こういう役は役者冥利に尽きるだろう。
芸術と画壇との距離感、時流に乗る画家と才能はあっても自分の世界に閉じこもらざるを得ない芸術家との対比も良く、2時間強どっぷりすばらしい . . . 本文を読む
横浜メリーが元次郎のコンサートで花を渡すとき観客から大拍手があったのは彼女が元次郎より大スターであったからだ、という逸話はヨコハマの人間の懐の太さを象徴しており、この映画のテーマをストレートに表している。
そこが東京とヨコハマの違いであり、人間味がまだかろうじて残っている街の今様なのであろう。
実態はほとんど白塗りのオバケとまで言われて街を彷徨っていたメリーだが、地元に戻り化粧を落とした素顔の晴れ . . . 本文を読む