映像が相変わらずみずみずしい。どのシーンを取っても洗練されている。題材的には猟奇的な、目もそむける映画なのに、ファンタジーでさえある。岩井独特の詩がそこにある。詩とは死であり、ポエムであり、感情なのだ。そして青春でもある。
自殺志願の女性をうまく連れ出し、狂言心中をしながら女性から血を抜いてそれを飲む。しかし本当のヴァンパイアになれない男は若い女性の血を体内に取り込めず吐き出してしまう。滑稽なのに笑いが浮かんでこないシュールなシーン。
白い大きな風船を体に何個も巻き付け浮遊しようとしている認知症の母親。部屋から出られない防御策だが、母性は完全には消えていなかった、、。映画を観終わってあの美しい白い風船がやけに残像として印象に残った。
男はなぜこういうことをするのだろうか、、。映画は答えようとしないが、死に魅入られた女性に対してのみ興味を湧く哀しい現代人の様相を岩井は執拗に掘り下げる。生きる力を失った現代人。かと言って一人で自殺さえできない弱過ぎる彼ら。死が一番優しいと感じる彼ら。
ヴァンパイアになり切れない男は死を通じて同じ感性を感じそういう女性たちに愛を感じてゆく。現代人はどこに行くのか。どこに行こうとしているのか。行くところはあるのか。
男は、何たることか、自殺未遂の女性に自分の血を輸血する。捧げる。他人の血を抜くことしかしなかった男が他人に血を与えるのだ。血を通して初めて女性と通じることの喜びを感じる男。
けれど彼の前には犯罪の決着という現実が待っていた。
うーん、何と美しい物語であることか。僕は酔っている。岩井のその純粋な美を求める心に酔っている。岩井は8年ぶりの映画に自分の純粋さだけを培養して肉付けした。彼の作品の中でも並々ならぬ傑作であろうと思う。
ブログをやられていたの全然知りませんでした。
この作品、扱っているテーマはとても重々しい印象なのに、映像はともかく美しいですよね。個人的には最後のサイモンのお母さんが風船を付けたまま降りてくるあのシーンが幻想的で好きです。
後、自殺者とのやりとりでの、なんというかとても人間的で変にフレンドリー会話や応対ぶりが妙にリアルな気がしました。(その場を見たことはもちろんないんですが・・・)
出演者の中ではケヴィン・ゼガーズも良かったですが、お母さん役のアマンダ・プラマーが良いですね~。後、レイチェル・リー・クックは昔の面影が残ってる分、あの痛々しい女性ぶりにちょっとショックを受けました。(でも一番、現実的にいそうなキャラですよね。絶対、彼氏の携帯を無断で見そうなタイプに思えます)
また、たまに書き込むかもしれませんが、その時はよろしくお願いします。
8年ぶりの岩井の映画、あっと驚くこの題材、さすが鬼才であります。
場所をカナダに変えているものの、どう考えても日本人の想念が画面に漂っています。(いくらなんでもアメリカ人が練炭自殺なんて言わないでしょうし)
俳優陣も豪華で岩井の人気ぶりがわかりましたね。
それでは、また。
失礼します。
本当にたくさんの映画を見ておられるのですね!
映画を見るときに参考にさせてもらおうと思います!
また、遊びに来ます♪
さきほどブログに行ってきました。グルメがいっぱいで驚きました。
昔単身赴任が長かったときほとんど部屋で何かしら作ってましたが、「用意をして食べて後片付けをして30分」という基本を守っていたら、たいしたものを作れませんでした。
今では懐かしいい思い出です。
こんなブログでよろしければまたお越し下さいませ。
それでは。