映像的になかなか斬新な撮り方をしており(息子カイの存在)、だいたいがシンプルな話だけにそれが退屈させない展開軸となっている。
息子は男の恋人がいて、母親に言えないでいる。同居しようと告白するとき事故に遭ってしまう。まあ、それだけで以後の展開は見えるんだが、そこに言語・文化の相違をテーマとして掘り下げている。
そこで通訳が登場するんだが、ここがこの映画のポイントでしょうか。通訳を介していてもすべ . . . 本文を読む
ここには一瞬の出来事で家族が北と南に分離させられた人間の苦悩が根底にある。子供とはいえ、父親がいない男の子は家長となる。そんな普通の男の戦後65年の生きざま、すなわち韓国の戦後史(正式には休戦中だから戦後ではないが)を輻輳させながら紐解いている。
家族(国家)の分離、ドイツへの出稼ぎ、ベトナムでの戦争の真実、、。どれも一つ一つ重いものだ。それをドクスはひとり胸に秘め、誰にも相談せず、咀嚼する。な . . . 本文を読む
自分がそうだったらどうだろう、とかいわゆる身につまされる話である。こういう映画を見る人は今幸せな人に違いない、と薄々僕は思ってはいたが、そんなつまらない思いを吹っ飛ばす秀作でありました。
二日間の休みの間に同僚たち一人一人に「お金を諦めて私を助けてください」と言い回る話である。病気で休職していたからこそ、休み中に同僚に無理をさせていたお詫びもないまま、虫のいい説得を続ける女性の話である。
だか . . . 本文を読む
久々のペ・ドゥナだから見た映画だったが、どうも消化不良というか何か乗れない映画だったなあ。 確かにペ・ドゥナは堂々とした演技だったが、キム・セロンが前作ほど強烈でなく、大きくなったからかなあ平凡になっていた、、。
差別等の視線が、いじめられる子供、違法残留外国人、そして同性愛者へと向かう。この辺りがどうも僕にはテーマ的に色褪せているとしか思えない。いわゆる人工的なのである。人の心にじわじわ入り込 . . . 本文を読む
大学からそのまま演劇を立ち上げた若い人たちの旗揚げ公演だ。上演時間は160分。明治時代に自由を求めたうら若き才媛たちの話である。
寮の新聞紙では小説が切り抜かれるほど統制をされている時代。だが世間では女性の社会化を求めてじわじわ自由への歩みが少なからず動き始めていた。
青鞜と同じく女性だけの雑誌を作ろうとする動きも、ある女性の退学に伴うスト騒動とともに仲間の裏切りが続く。そして頓挫してゆく。
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