映像的になかなか斬新な撮り方をしており(息子カイの存在)、だいたいがシンプルな話だけにそれが退屈させない展開軸となっている。
息子は男の恋人がいて、母親に言えないでいる。同居しようと告白するとき事故に遭ってしまう。まあ、それだけで以後の展開は見えるんだが、そこに言語・文化の相違をテーマとして掘り下げている。
そこで通訳が登場するんだが、ここがこの映画のポイントでしょうか。通訳を介していてもすべて伝えないこともある。逆に通訳が勝手に相手にしゃべってしまう時もある。国と人間なんてそういう障壁を超えて交流しているわけである。
この映画、最後には青年と母親との言語を介した阻害を融解してしまう。彼らは通訳なしで自国語で話しながらも最後には理解し合える。気持ち、心が通じ合えば言語なんてそれほど重要ではない、と、、。
ゲイの青年の二人が美麗で、(ある意味気持ち悪くなく)ちょっとこの監督、うまく作ったなあという感じもする。そこまで透明感のある諦観を有したと思えない母親だったが、ラスト流れる心情は、強く、悲しく、これから耐えていかなければならない孤独感とも対決する覚悟でいることがわかる。
全体にドラマチックな展開がないんですね。淡々と話が流れる。そこが少々僕には物足りない気もしたが、でも普通の出来事だとするとこんなものかもしれないですね。
映画的エモーションを期待する映画ではないですネ。佳作です。
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