題名の意味はラスト近くで分かるようになっている。見ている間は題名の意味も考えず、思わずただ一人の青年の成長をつくねんと見つめている。ただただ両親、祖父母の熱い愛情で育てられた普通の少年。それが変わってしまうのが、、
同級生の素朴な一言だった。そこから彼の二つの世界が始まるのだ。
反抗期という難しい時期とも重なり彼は母親と遠ざかる。そこから結構(原作者には失礼だが)面白くなる。通常のベタな真面目人生にならないところがいい。塾に通うけれど、高校に落ちるは、それから何の目的もなく東京に出るは、パチンコ屋でバイト暮らし。
そしてなぜか零細ルポ出版会社に職を得て、社会の末端に生きる人を取り上げる。そしてある時、偉大な母親の愛に育まれていたことを知る青年。電車の中で他の人間がいるのに全く気にせず、自然に自由に手話をする母親と息子。
母親はおそらく彼女が生まれて初めてそして最高にうれしかっただろう時間を持つ。感動的だ。人として生まれて、人として生きる。愛がなければ人は生きられず、けれど人はだいたい無償の愛には気づかずに生きてゆく。
青年は二つの世界を行き来し、我々より深く、広く、人の愛を知る。その崇高さ、素晴らしさ。
映画終了してもしばらく感動して席を立てず。
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