スタンダード版画面、フィルム映画風粒子。時間は90分。映画のちょっと前の基本を地で行く秀作現る、とこんな印象の映画です。
野球があまり得意でなく外野を守るタクヤ。だか彼の顔は喜びに満ちている。空から降る雪をこよなく愛し、顔に当てている。こんなポエムのようなシーンを多様化し、この映画は極端にセリフも少なく、全編詩情にあふれ、淡い印象派絵画のようでもある作り込みです。
人生がそんなに流麗に流れることはしかしあり得ず、登場人物はみんな青春の傷を、痛みを負い、それでも生きてゆく。映画全体を一つの詩集のように組み立て、流れゆく人の想いを流麗に紡ぎだした永遠の青春映画、といった感がします。
敢えて苦言すると、時代がだいぶ前だったかもしれないが、それでもコーチの禁断の愛がなぜ社会的に鞭打たれなければならなかったのかをこの映画は説明していない。この部分が気になります。
けれど、青春のひと時を切り取った、あるいは抉り取った青春の墓碑銘とでも言おうか、映画を見ている間はそうでもなかったが、映画館を出てからどっと感動にむせ返る、妙に不思議な映画でした。
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