鹿児島の自然と食

鹿児島の豊かな自然(風景、植物等)、食べ物、史跡を紹介します。

八重の棚田

2010-10-12 | 風景
鹿児島市郡山の、八重の棚田を訪ねました。
入来峠から県道を西へ行くと甲突池があり、その周囲に広がっています。


八重山の麓に八重の棚田があります。


農道の両側に広がる棚田。
正面が八重山で、なだらかな山です。


上から見た棚田で、向こうに桜島が見えます。


ちょうど、収穫が始まったところでした。


山の麓まで続く棚田。


横から見た棚田。
手前はソバ畑です。


整然と積まれた石垣。


田んぼの脇には、コスモスが咲いていました。
撮影日:10月10日

次回は、甲突川の源流で、平成の名水百選に選定されている甲突池を紹介します。


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食べ物語

2010-10-10 | エッセイ
食べることは、人間にとってまさに生きること。
ひとつの食べ物にも、それぞれの人の歴史と思い出がある。
そんな思い出を集めた「食べ物語」という本があるが、その中から印象に残った2編を紹介しよう。

当時8歳だった著者(A男)の一家5人は、戦争で家を焼かれ、お父さんは火傷を負う。
お父さんを乳母車に乗せて歩き、夜は野宿して、次の日の夕方、知り合いの家に身を寄せた。
最初こそ同情してくれたが、3日もすると疎まれるようになった。

隣の家に放し飼いの鶏を飼っており、A男は庭に産み落とされた卵を拾って、その家のおばさんに差し出した。
おばさんは最初きつい目をしたが、「あげるから持って行きなさい」と卵をくれた。
お母さんは、1個の卵を子供3人に分けて卵かけご飯を作ってくれ、それはこの世のものと思えないほどおいしかった。
お父さんに栄養をつけさせないといけないのだが、お父さんは子供に食べさせるように言ったのだ。

A男は、あくる日も隣の庭で2個の卵を拾い、「おばさーん」と呼んだが返事がない。
あちこち回ったが見当たらず、卵を持って帰った。
「また頂いたの?」
「うん」
だが、お母さんが隣へお礼に行き、すぐにうそがばれてしまった。
お母さんは顔を引きつらせて帰ると、A男をたたいて、たたいて、最後は泣きながら抱きしめた。
そのことが原因で、二日後、知り合いの家を出た。
お父さんからも叱られると覚悟したが、お父さんは死ぬまでそのことを話すことはなかった。

次も、卵にまつわる思い出。
昭和30年代、著者(B子)のお母さんは病気で、お父さんが弁当を作ってくれた。
いつも、丸い卵焼きを二つに折って、ご飯の上に乗せたものだった。
それが、笑った口元に似ているので、悪ガキ達から「にっこり弁当」とはやしたてられ、そのたびに泣いていた。
お父さんに心配をかけてはいけないと思い、「卵焼きを切って」とは言えなかった。

だが、みっちゃんという女の子はもっと悲惨だった。
もうすぐ施設に入るみっちゃんは、弁当を持って来れなくて、昼休みは水をお腹いっぱい飲んでいた。
たまに、卵焼きを口に入れてやるのだが、それだけでは腹の足しにならず、「腹がへった」と日に何度もつぶやいていた。
みっちゃんはB子のような泣き虫ではなく、そんな境遇にも平然としていた。
週2回、コッペパン、粗末なおかず、脱脂粉乳の給食があり、皆と同じものを食べられるその日は、二人にとって最高に幸せだった。

お祭りで買ったひよこが大きくなり、卵を産むようになったとき、みっちゃんに食べさせたいと思った。
お父さんに隠れて弁当箱にご飯をつめ、卵と一緒に学校へ持っていった。
学校の小屋に住みつき、雑用をしているおっちゃんがいて、その鍋を借りて卵焼きを作ったが、焦がしてしまった。
焦げた卵焼きをご飯に乗せ、みっちゃんに差し出した。
悪ガキ達は、「まーる焦げ」とはやしたてたが、みっちゃんは
「すげぇうめぇなぁ」
と大きな声で言って、B子に笑顔を見せた。
悪ガキ達は、いつものように「にっこり弁当」とB子の弁当をからかったが、みっちゃんのその声を聞くと不思議に涙は出ず
「うめぇなぁ」
と大きな声で言ったのだった。
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川内川源流を訪ねて(8)倉野磨崖仏

2010-10-08 | 源流を訪ねて
ヤナ場を後にして、川内川を上流へ行きます。


右岸から上流を望む。
霧島連山が見えています。


薩摩川内市樋脇の川内川左岸に、倉野磨崖仏があるので寄ってみました。
倉野氏がこの地に創建した瑞泉庵では、高度な仏教研究がされていました。


倉野六地蔵塔。


崖に刻まれた梵字群。全部で17の梵字があります。
1318年、寂円坊が亡き親の供養と村人の平安を祈願したものです。


右の円の中の梵字は「オーンク」といい、世界に一つしかない珍しい文字だそうです。


左の梵字。
梵字を刻むことは、仏像を彫ることと同じだそうです。


磨崖仏の前に、倉野救急排水機場があります。
流域を洪水から護るためのものです。


排水機場の近くの水田地帯。
この写真は9月中旬のものですが、今は黄金色に輝いているでしょう。


倉野磨崖仏近くの川内川。
右が上流です。

今回の川内川源流を訪ねる旅はここまでです。
この上流は、いつかまた訪ねて報告します。
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川内川源流を訪ねて(7)

2010-10-06 | 源流を訪ねて
戸田観音から上流へ行きます。


東郷町南瀬と樋脇町久住の間にある久住橋です。


今年の3月に完成したばかりの新しい橋ですが、左岸から右岸への一方通行の橋となっています。
川内川に架かる橋で、一方通行の橋というのはほかに知りません。


久住橋から下流を望む。


久住橋から上流を望む。


南瀬小学校の前にある倉野橋で、下流から見たのもです。


倉野橋から上流を望む。


南瀬小学校を過ぎ、旧道に入ると、支流の山田川に石橋の南瀬橋が架かっています。


下流の橋から見た南瀬橋(のうぜばし)。
 橋長:17m
 幅員:4.4m
 架設年代:不詳
現在、使用されていません。


前の写真を撮った場所から下流を望む。
すぐ下流で川内川に合流しています。


合流地点に、川をせき止めたヤナ場がありました。
鮎漁でしょう。


ヤナ場から上流を望む。
鏡のように景色が写っています。

次回は、倉野磨崖仏を紹介します。
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川内川源流を訪ねて(6)平佐焼窯跡と戸田観音

2010-10-04 | 源流を訪ねて
香田樋門を後にして、川内川左岸を上流へ行きます。
県道脇に「平佐焼窯跡」の看板があったので寄ってみました。
県道から400mくらい山側へ行きます。


民家の裏山にある平佐焼窯跡。
二つの窯が並んでいます。
1780年代、本郷家家老・伊地知団右衛門が有田の陶工を呼び寄せ、天草から陶石を運んで磁器の生産を始めました。
日用品から美術品まで生産し、薩摩焼史上最大の規模を誇ったそうです。
昭和16年に廃業となりました。


向かって右の窯。
今でも使えそうです。


県道に戻って、左岸を上流へ行きます。


東郷まで来ました。
これは東郷橋。


東郷橋から下流を望む。


東郷橋から上流を望む。
左が東郷市街地です。


東郷橋の上流左岸に、戸田観音があります。
ここには悲しい歴史があります。

1459年4月、領主の祁答院徳重の娘が、この上流の宮之城で7人の侍女と舟遊びをしていて、藤の花を折ろうとして過って川に落ちました。
7人の侍女は、助けようとしたが見つけることが出来ず、責任を取って入水自殺しました。
そこを八女の瀬といいます。
3日後、姫の遺体は戸田の淵に浮かびました。
これは河童の仕業だとして、観音様を安置し、その足元に河童像を置いて悪さを閉じ込めました。


観音様。


観音様の足元にある河童の像。


境内にある石塔。
鎌倉時代末期から戦国時代の、入来院氏関係の石塔と考えられています。


戸田観音の近くから上流を望む。
樋脇川との合流地点で、右が樋脇川、左が川内川です。
この付近に、姫の遺体が浮いたのでしょう。
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川内川源流を訪ねて(5)

2010-10-02 | 源流を訪ねて
川内川源流の旅を再開します。
今回は、川内市街地の下流から上流付近の風景です。


川畑というところにある川畑樋門。
上流から見たものです。


川畑樋門から上流を望む。
川内市街地が見えてきました。
左はパルプ工場。


隈之城川との合流地点を上流から望む。
左が隈之城川、右が川内川。


左岸を上流へ行きます。
橋は開戸橋。


開戸橋から上流を望む。
川内市街地です。


ボートの練習をしていました。
この付近は、左岸に広い河川敷があり、市民の憩いの場となっています。


国道3号の大平橋。


肥薩おれんじ鉄道の川内川橋梁と、上流の斜めは新幹線の橋です。


香田樋門。
川内川に樋門は多いですが、これは規模が大きいです。
これらの樋門が、流域を洪水から護っています。


香田樋門から上流を望む。

次回は、平佐焼釜跡と戸田観音を訪ねます。
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