先日所属している研究会に参加して大学生の就職環境についてお話を伺いました。
報道されているように近年景気が上向いて、
大卒の就職状況が好転しているとは単純に言い切れないことがわかりました。
それは、まさに『本当だけども真実ではないこと』です。
・ 大卒求人倍率の推移
2012年1.23倍
2014年1.28倍
2015年1.61倍
2016年1.73倍
景気回復基調により求人数は増加しているのは本当ですが、
従業員5000人以上の企業の倍率は横ばい、
求人数を増やしているのは従業員300名規模の企業というのが真実です。
・ 大学生の就職環境状況
経団連に加盟している1329社は原則として協定を守ります。
2016年倫理規定では8月1日先行解禁。
しかしながら、一般に知られているように
経団連非加盟のユニクロなどは大学1年次から内定を出しています。
Wという会社は有効期間3年の内定パスポートを発行。
内定をゲットした学生は一旦他社に入社してから転職先としてのW
に入社する道も開かれているそうです。
また、3年間という猶予期間に海外に流浪の旅に出ることもできそうです。
その他、内定学生には解禁日に海外研修旅行をプレゼントするなどの、バブル期並の囲い込みもおこなわれているそうです。
・ 大卒就職状況調査
2011年以降の大卒就職状況調査では
「求人総数」は約60万人で推移しています。
就職活動者は約50万人。
実際の就職者は40万人から緩やかな僅かな上昇。
就職も進学もしていない学生の推移は
2011年97055人
2012年96832人
2013年85469人
2014年77232人
* 上記7万人以上の学生は全4大卒業生約56万人の15%前後となります。
既述のように就職活動者数が約50万ですから約5分の1は就職が決まらないで卒業しているという事実なのです。
・ 外国人留学生の日本における就職状況
2011年7831人
2012年8586人
2013年10969人
2014年11647人
上記のように増加しており、
従業員数1人~49人の中小零細企業に4767が就職しているそうです。
その数は実就職者の約半数です。
留学生にとってはベンチャー企業を中心に今後伸びる会社に就職しているようですし、
中小企業にとってもグローバル(特にアジア圏)に進出する際には必須のブリッジ人材となります。
大企業や公務員を目指して就職浪人する多くの日本人学生がいます。
一方で日本の中小企業に就職してその企業がグローバル化するうえでの橋渡し人材として重用される留学生。
それぞれの学生がどのようなライフスタイルを描いて「仕事」を考えていくことが必要なのかが問われているように思われます。