(登場人物) 圭一=K 魅音=M
K
おっ、何かようやく「オタク」っぽい話題になったなw
M
エロゲー取り上げて「ご飯の友」とか言ってんだから今さらでしょw
K
で何?エヴァにスゴい影響受けたの?
M
いや取り上げといて何なんだけどさ、実は俺エヴァがエポックメーキングな作品ってのがどうもピンとこないのよね。
K
何じゃそりゃ?オモシロいと思わなかったってこと?
M
いやそうじゃなくて・・・まあここはちょっち説明しにくいからエヴァを見たきっかけから話すよ。中学二年生の時、同じクラスの北八&ユウヤと下校してた時に、今テレビでやってておもしろいよ~と聞いて興味が湧いたのが最初。ただレンタルビデオショップに行った時に「ああこのジャケットのがエヴァンゲリオンか」と思った記憶があるから、キャラを強調したジャケットは彼らに聞く前から印象に残っていたらしい。で見ようと思ったんだけど、テレビではかなり話が進んじゃってたんで、結局pokosukeにLDを借りたんだった気がする。で、速攻ハマりこんだと。
K
あ~、あのむっちりむうにいが四コマ書いてたヤツねwしかしまあ小4の時にオヤジがキタ熊本の電機屋で買ってきたカラオケマスィーンが意外な形で役に立ったわけかw
M
そうそうwで、映画も確か高校の時にpokosuke&忠ちゃんで見に行ったんじゃなかったかな。まあ「シト新生」も「まごころを君に」も全てそうだったかまでは覚えてないけど。
K
ふーん。別にフツ―じゃん。
M
そうだね。まあ議論を呼んだらしい最後の二話も「ふ~ん」て感じで流して見たり、映画を見た帰りに「何がしたいのかわからん」と俺が言ってpokosukeが「俺は意味が理解できたけど」と言うやり取りがあったくらいか。
K
はぁ。
M
って感じになるやろ?なので、こっからは否定の形で反応の輪郭を浮かび上がらせたいと思います。まずはエヴァ解読本への反応。具体的な題名までは覚えてないけど、俺が持っていた本は「碇」や「六分儀」といった各キャラの名前が持つ意味を考察したり、ユングとクレッチマーの分類を使って~は外向型だとか粘着質だとか書いてあって、「ふ~ん、そうなんだ」って感じだった。
K
そんなんどうでもいいと?
M
それすら思わなかったね。
K
そういう謎本とか考察系の本って嫌いなんだったっけ?
M
いや、「磯野家の謎」を小6だか中1で読んだり、「野比家の真実」とかを買ったりしてたから、むしろ同年代では読んでた方なんじゃないかしらん。まあだから逆にその本への反応が印象に残ってるんだけど。一応もう少し突っ込んでおくと、「この人ってたぶん知識をひけらかしたいんだろうな~」とは思ったかな。
K
でもそれってネタじゃね?ペンペンが分析対象に入っているくらいだしw
M
まあそういう側面もあるけどねwむしろ俺はあざといと感じたな。ま、この本にあるような分析の態度は、たぶん「日本的想像力の未来」でも触れることになるだろうけどね。
K
それはエヴァが様々な要素の寄せ集めなのに、まるで学問的な背景があるかのように扱っていたから?
M
いやいや。当時はオマージュだらけってコトも全くわかんなかったしね。たとえばガンダムで言うと初代~逆襲のシャアは大学の時に初めて見たってレベルだったから。
K
でも前に「パッチワーク」言うてたやんか。
M
別にそれは批判を意図した表現じゃないぜ。それにパッチワークがパッチワークを嘲笑うなんてオカシな話だろ?
K
ハァ?
M
ま、それは今はいいや。ともあれそういう経験が「君が望むサバイバーズ・ギルトⅡ」で書いたような、サブカルと学術的言説を結びつけることへの懐疑的態度へと繋がった面はある。「お前はただ自分の知識をひけらかしたいだけの我田引水野郎なんちゃうんか」と。あと、最初期の記事で「作者の意図したものしか存在しない」というのに近い主張をしたことにも関係しているな。
K
あれってひぐらしからきたんじゃなかったっけ?確か公式掲示板でオヤシロ様や梨花を崇める描写が推理のヒントとして使えないかという話になり、神仏分離があったのに数珠を使って梨花を拝むのは云々とか議論になったんだけど、俺は山折哲夫の著作とかを引いて民衆の意識の中で明確に分離されていたわけではなさそうだとか言いつつ、「とはいえ作者が意識してなかったらいくら史実を議論しても無意味じゃないですかね?」って言ったりしたことがきっかけでしょ。いわゆる「ノドカキムシール」的な薬品はこの世に存在するのか、って議論を冷淡に眺めていたのと同じことでさw
M
直接的契機はそうなんだけど、背景には「深読みした方がエライ」的な傾向に歯止めをかけておきたいって目的があったのさ。
K
まあ設定とかをこねくり回す姿勢への距離感はよくわかったよ。それが灰羽連盟の再考にも繋がるわけね。ところでエヴァと言えば、レイやアスカ、シンジといったキャラの造詣や読者がそれに「共感」していたって話もよく取り上げられるよね。その辺はどうなの?
M
そういう消費のされ方をしているってこと自体、実は高校に入って情報を知るまで全然ピンとこなかったのよね。シンジに「共感」する視聴者が多いらしいって話に到っては、宮台真司やら野火ノビタの本を大学に入って読んでからのことだし。
K
その割には「レイやアスカはどーでもよくて、俺はミサト派だった」とか「年上好き~」の記事には書いてたよな。
M
それは少し強引な話でね。今でこそミサトは好きな、というか食指が動く(笑)キャラの一人だけど、当時としては「女性キャラの中で誰が一番いいかって聞かれたらミサトと答える」ってレベル。
K
じゃあキャラへの思い入れって基本的にないの?
M
いや、加持リョウジは非常に魅力を感じていたね。これは確か高2の時点でもしおみ、S原さん、U田さんとなぜかエヴァの話になった時、「誰が一番好きなキャラ?」と聞かれて「加持リョウジ」と即答してたくらいだから、かなり確信を持って言える。まあそれを聞いたS原は「うそーん」と言ってたけど、そういう反応が自然だということもまた、何となく理解していた。まあ昼行燈だからねw
K
ウホっ、いい男!てかw
M
ちがうわボケw
K
で、それは何でなの?
M
はっきりとはわからん。いちおう説得力のありそうな推論を一つはひねり出せるけどね。
K
じゃあそれを早く言えよ。
M
いやそこは読者諸兄に考えてもらおうと思いまして。シンジやアスカと同じ中学二年で作品を見ながら、加持が最も魅力的だと思ったのはどういうわけなんだ・・・と。
K
自分が大人っぽかったって言いたいわけ?
M
いやそれはちょっち違うんじゃないかな。
K
まあいいや。ところでシンジに「共感」を覚える人たちって、人が喜ぶからエヴァに乗るというふうな皆の期待に応えようとする態度だとか、「逃げちゃダメだ」ってあり方に反応するらしいですが。
M
それってどのくらい一般的なのかね?思春期的な葛藤とかいうことなんだろうけど、実感としてはさっぱりピンとこないな。一応自分のコトについて補助線を引いておくと、同じく当時流行っていた「るろうに剣心」では、さっきも出てきたユウヤと共に「悪即斬」の斎藤一派だったね。で「不殺」とか言って葛藤している剣心については「どーせやるしかねーんだしウジウジ悩んでてもしょうがなくね?」みたいに思ってて、ついでに言えばN島はきっと剣心側だろうな~なんて言いつつ揶揄していた記憶がある。
K
いやまああいつは青紫好きだったけどなw
M
そんな細かいことはどうでもええねんwだからシンジへの入れ込みっつーの?それが正直俺にはよくわから・・・
K
このウソつき野郎っっ!!
M
ひどいよKちゃん・・・ってまさか「きちんと読みこんでいけば無意識の領域に隠された何かが見いだせるはずだ」とか言いたいわけ?
K
いやそーじゃなくて。そういう受容の仕方はオメ―さんで言うと高校時代にプレイしたoneにあたるから、そっから類推できんじゃねーの?てこと。まあ何でoneのレビューを今まで一度も書いてことなかったのかは知らんけどさ。
M
ああそういうコトね。言及しないのは身もふたもないからさ。あのゲームが強く印象に残っているのは、確かに「雨」や「遠いまなざし」といった曲のレベルの高さも関係しているけど、根源的には、自分の存在が周囲から認識されなくなり、最後には世界から消えていくという描写が当時の自分の自我崩壊の危機と完全に重なっていたから。ゆえに、ヒロインへの思い入れとかは全くない。それを具体的に表すエピソードとして、大学時代にkey系の作品が好きなO川さん、O村と話した時、「好きなキャラは?」と聞かれて全く思いつかず、「氷川シュン」とネタを言うしかなかった、なんてことがあったw
K
でしょ?エヴァのシンジに対する入れ込みも同種のモノなんじゃないかな?
M
どーも実感がわかんなあ・・・
K
オイオイ、前回の話はガン無視かよw
M
いや、きちんと考えるとオモシロい題材だとは思うけどねw
K
ところでさ、そうするとoneには入れ込んだわけだから、kanonへの批判はお前さんがその危機を乗り越えたことによって生まれたわけ?
M
いやいやいや。そもそもkanonには「消失の恐怖」なんてないでしょ。それにoneで後半の基軸をなしている、荒唐無稽であるがゆえの言明できない不気味さというか切迫感もない。予定調和的なヌルい「救い」があるだけさ。あと俺は救われること自体には興味がないしね。だから「なるほど、救われたいから救われるわけか。そりゃわかりやすい&楽チンで結構なことだな。ま、スマートサプリメントとしてはいいんじゃない?」ってところだね。その場合でも値段的にはボッタクリだと思うけど。ま、世の中には怪しげなツボに数十万つぎ込む人間もいたりするわけですがね。
K
ボッタクリ言うなやwその辺の距離感や冷淡さは、前回触れたひぐらし祟殺し編とか沙耶の唄の描き方に対する評価と連動するものがありそうだね。
M
だろうね。「いやー世の中そんなシンプルならわかりやすくていいんですけどねえ」って話さwもっとも、さっき剣心より斎藤一の方に入れ込んでいたってのからもわかる通り、そういう思考様式が中学時代から全面的にあって今も変わらず続いているってのとはちょっと違うと思うけどね。昔はむしろドライさが強かったんじゃないかな。まあそれはともかくとして、エヴァに対する設定いじり的な反応やキャラへ入れ込む反応と自分のそれとの齟齬、あるいは消費する作品群の違いが「オタク」あるいはそういう言説への距離感に繋がっているのは多分にあるだろうね。
K
消費する作品群の違い?
M
つまりエロゲーがかなり早い時期から入り込んできていた、とかだね。あとはまあ斎藤環の本からの孫引きだけど、1997年のアニメ雑誌の人気投票によれば、エヴァを筆頭に「スレイヤーズ」とか「機動戦艦ナデシコ」とかがランクインしてるけど、エヴァと剣心以外全く見てないし。
K
それはあくまで参照項のレベルじゃないの?それを全部見ている人が果たして何人いるのかって話よ。「日本人の無宗教に関する覚書」で言ったカテゴライズの問題がここにも当てはまると思うけどな。
M
まあね。ただ、それを承知の上で「オタク」というカテゴリーについて強烈な表現をあえて使うなら、それもまた「正当性を押し付ける抑圧的装置の一つ」でしかない、と俺には思える。あとはまあ「そんな枠で自分を縛って楽しいの?メリットはあるの?」って疑問もあるけど。
K
なるほど、それへの冷淡な態度の淵源はエヴァにあると。で、今さらだけど流行モノが嫌いとかってことはあるの?
M
だったらひぐらしやうみねこをタイムリーに取り上げるわけないやろ。
K
なるほどね。で、それって中3での狂気への傾倒とかにはつながったりするわけ?
M
そのあたり具体的にはよくわからん。確かなのは、いわゆる「文学作品」には全く影響を受けていないことくらいかな。まあそこはオイオイ考えていくことにしましょ。
シト新生は高校上がる前の春のようだが誰かと一緒に見た記憶が無いなwwwごめんw忠ちゃんもいたかー・・・というかシト新生の思い出自体アレですしね。EOEは誰と行ったっけw
ちなみに僕は何十年経とうが洞木ヒカリちゃん!!新劇場版でも登場して安心した!!(出番減ったけど
セリフは間違いない。はっきり覚えてるからwちなみにこれは「世界の中心でアイを叫んだけもの」を見た時の話ね。
>シト新生は高校上がる前の春のようだが誰かと一緒に見た記憶が無いなwww
これはそっちが正しいかも。そもそも忠ちゃんと俺ってそんなに親しくないから、同じクラスだった3-5時代以外行く必然性が見いだせないんだよね。
>ちなみに僕は何十年経とうが洞木ヒカリちゃん!!
まあ健気な子だわな。TV版のトウジとのやり取りはほほえましいやら切ねーやらで・・・というのが記憶に残っておるわ。あとはそばかすバンザイってことでw