働かざる者食うべからず、という「呪い」

2022-03-27 17:00:00 | 生活
前回は「暴走する承認欲求」の話だったので、今回はそこに関連する話題を取り上げたい。


この記事は、元々スクショシリーズ第二段として準備していたもので、生活保護に対する反発のメンタリティの由来を考えようとしている。


その一つの結論として、「働かざるもの食うべからず」というエートスが、もはや呪縛と化して自他を縛るのはもちろん、社会(の変化)を停滞すらさせている、という仮説を立ててみたものだ。


今述べた思考様式は、わかりやすく言えば「他人に迷惑をかけるな」という発想であり、もっと踏み込んで述べれば、フリーライダー批判というどこの国にでもある態度が、生存権などの法律を無視するレベルで強固になっている社会、と評価できるように思う(そこには単に規律から外れた者への反発のみならず、「あいつばかり楽をしやがって」という妬みも含まれていると考えられる)。


この結果として、「ドロップアウト」した者を救済するより叩くことを望むだけでなく、そのような立場になりたくないし、会社組織に属することを是とする社会の意識(あるいは社会システム上のインセンティブ)が強いため、人は不安と承認欲求のため既存の仕組み(既得権益)にしがみつき、構造改革など起こりようもない、というわけだ。


かかる状況において、共同体の崩壊は進んでいるから、「昔のような社会」に戻ることもできず、むしろあちこちの歪みを拡大させながら、グロテスクなまでに現状維持を図ろうとし、縮小するパイにありつけなかった人々は、今よりさらに余裕を失くした者たちによって奈落の底へ蹴落とされていく、そんな社会状況がしばらくは(半世紀ぐらい?)継続するのではないだろうか。





(以下原文)

最近、日本はいわゆる「ブルショットジョブ」が最も強固に残る社会になるかもしれないな、と自分は考えている(なお、機械化による労働からの疎外と、対策としての人間社会への埋め込みについてはまた別の機会に書きたい)。


勤労精神そのものは、シトー派修道会やらプロテスタンティズムやらにも見られるから、日本の専売特許というわけではもちろんない。しかし、「働かざる者食うべからず」という発想がここまで呪いのように世を覆っているのは、政府に頼るべきと発想する人の割合があのアメリカよりも低いことも含め、日本だけなのではないかと思わされる。つまり、「労働」が人の生きる「意味」・「価値」とみなされるがゆえに、また反感を正当化する材料となる。


と書いてみたが、別に労働の中身は何でもいいんだよな。つまり本質は、「他人に迷惑をかけるな」の方であろう。

やたら人に干渉したがる。一方で すると知らんがな。つまり、前者は己と同質的存在と妄想するから「善意」で したり、許せなくなる。一方で、 したらもはや「同じ人間ではない」から、伯耆される。


人口オーナスや目玉産業の衰退、新規事業の停滞で経済は衰退する。賃金は上がらない中、多くの老人を養うために増税がなされ、他国は経済成長することで輸入品は値上がりするため、生活が苦しくなってアンダークラスが増える。人は不安により合理的選択として にしがみつくので構造改革は進まない。とはいえ、今 としても、いつドロップアウトするかわからない社会が招来する。そして、余裕を失った者たちは結婚など「贅沢」であると考え、何なら予測不可能な他者との恋愛さえ「コスパが悪い」という理由で忌避される。こうして予測より少子化はより早く・より強く進んでいくことだろう。


そんな中では、相互扶助よりも、怯えながらしがみつき、ドロップアウトした人間は必死に蹴落とす行動が選択される。なぜ相互扶助にならないかと言えば、共同体の解体が進んでいるから。もはや「同胞」とは思わない人間を、どうして余裕のない者達が救おうと思うだろうか(子供の排除、あるいは悪平等)?


それを救おうという動機付けが生まれない。生存権がある?ならばそれは今も同じだ。しかし、生活保護に対する敵愾心や、それを恥と思うメンタリティは驚くほど強い。

一応、交換可能性やら生存権という擬制やらの観点からたしなめるような言説を書いてはいるが、まあ無理やろなあと思う。背景には、労働やその現場での地位が、多くの人にとって己のレゾンドートルになってしまっている状況がある(堀江・成田動画。退職したら行き場のない人間たち)。

社会の趨勢が変化するには半世紀はかかる。教育の変化に20~30年、それによりマインドセットが変化して変化が随所に波及するのに20~30年。それまではまあ変化に適応できず、状況は悪化し続けるでしょう(たこピーの原罪。外国人相手に身体売ってる。日本人が高度経済成長期にアジア諸国にやっていたことを、やられる側になるってだけの話だが)。

病はあちこちに及んでいる。暗い未来の話をするじゃなくて処方箋を示せみたいなコメントがあるが、ここで簡単に示せるなら、とっとくのとうに誰かがやって変化しとるわダボカス、と言いたい。昨日は226であるし などを読むと、こんな状況でこんなグダグタやってたんかいとセクショナリズムや温情主義の に目眩がするが、まあ似ているっちゃあ似ているね。国をどういう方向に舵取りするかって状況なんだけど、まあ変化に抗う府の斥力の強いこと強いこと(だからそのレベルには期待せず、共同体レベルで変えれるところから変えましょう、てな話になるわけだが)。

だから、私の予測は別に投げやりになってるのでも何でもなく、正確な推移で知られる人口動態と、人口オーナスに伴う経済衰退、今も見られる既得権へのしがみつき(が将来より強固になる)、そして「働かざる者食うべからず」というエートスといった、ある程度正確に予測できる数値とそれによる変化、そして強固に観察される「国民性」に基づいた蓋然性の高い観測のつもり。


南海トラフ地震や首都圏直下型地震の可能性。台湾侵攻。
読者のHPはゼロよ!となってもしゃーない。

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