イミテーションゲーム3

2016-07-22 17:05:42 | AI

 

ポプ子=PK     ピピ美=PM

 

PK
風呂敷を広げすぎてちゃんと終わるか不安な対話篇、はぁーじまぁーるよー。

PM
人工知能ゥァヴァーッ!

PK
人の愛するものを消しさり、無に帰してくれようぞ・・・

PM
ラスボスってこうやって生まれるんだなー(のん気)

PK
いやだからネタやってる場合じゃないっちゅーねん。

PM
ええと、確か規理野仕組の話だったかしらん。

PK
そう。前回は人工知能に関する動画を元に、「imitation game」という映画を紹介し、そこでimitationが重層的な意味で使われていること、またそれが人間と機械の境界線、そしてそもそも人間存在というものの範疇が扱われていたと説明しましたよと。

PM
ハーバーマスとかも取り上げている問題だね。

PK
そう。彼の場合言っていたのは人工授精や人工中絶の問題などに絡めて「人間」の境界と「人間性」の境界に関する議論は分けた方がいいということで、imitation gameのそれは後者に当たるね。

PM
とはいえ、たとえば同性愛者への「薬物治療」であるとか、あるいは「同性愛者は獣だ」的な物言いとかは「人間」・「人間性」の両者がそう峻別されてないことを示していると思うけどね。歴史的にはキリスト教徒と非キリスト教徒なんかもそうだけど。スペイン語でユダヤ教徒に対して使われていた「豚」を意味する「マラーノ」は喩えとして一応処理できるとしても、非キリスト教徒≠人間だからアメリカ大陸の人たちをどんどん虐殺できたわけだし。実際そう理屈付けしてるからね。

PK
ちなみに東洋でも、中華思想とか「鬼畜米英」の蔑称とか枚挙に暇がないがな。ついでに言うと多神教=融和的だと思っている人がいるみたいだけど、だったら何で多神教の我が国でこれほど移民・難民が問題になるのか疑問に思わないのかね。

PM
まあただのふわっとしたイメージでしょ。「なんとなく包摂的」みたいな。オールオアナッシングではなく、色々なレイヤーで見ていくべきだと思うけどね。

PK
ただ、それっていわゆる人権思想やらそれに基づいたnatural lawの話とかをせねばらんからここで止めようぜ。

PM
いや、極めて重要な問題やで。なぜって、これから人工知能の話をする時に人間の境界線にも言及するわけだけど、歴史的に見るとそもそも俺たちは世界に存在する人々を同じ「人間」として認識してこなかった時間が非常に長く、またその例が非常に多い。まあもっとも、人権思想がそれなりに一般化した今日でも「同性愛者は獣である=同じ人間として認められない」的な発言が存在する反面、人権思想が希薄だった当時でも異人種や異語を話す存在を自分と同じ人間とみなす人ももちろんいただろう。要はグラデーションの問題。近代的な人権思想の浸透によって他者を同じ人間とみなすのが当然だとする発想がグローバルになってきたから違和感が表明されやすくなっただけのことだ。いや、これに関しては「なってきていた」が正しいかな。だって今それが、急速に解体し始めているからね。難民問題EU離脱トランプの台頭etc...

PK
いやいやいやちょっと待てよ。主権国家体制・ナショナリズムとグローバリゼーションのせめぎ合いが前面化しているのは確かだし、権利付与についての境界線、つまり国籍など含め誰が「われわれ」なのかという問題も先鋭化してきてる。そしてそれは、想像の共同体(imitation)である以上当然の紛糾でもある。しかしね、それは他者を同じ「種」としての人間と認めるかどうかとは違うレイヤーの話だろ。

PM
そうかな?ナチス・ドイツは同じドイツ国内で優性思想をもとに障害をもった子供を殺したりしていったわけだぜ。まあうちの国でも昔は混血児の嬰児殺しをやってたわけだけど、その場合同じ「種」としてすら承認していると言えるのか。

PK
うーん、まあねえ。

PM
まあ俺が言いたいのは、人間と人工知能の境界線の話をする前に、同じ「種」たる人間の中でもお互いを同じ人間としてみなさないことが多々あった、ということさ。たとえば奴隷が「しゃべる家具」とみなされていたことがあったようにね。つまり、実在しない人権を擬制(imitation)として成立した今日的状況がそもそも全く自明ではない。たとえば家族の在り方についても、近代ではスタンダードだった婚姻を通じた核家族の形成も今では多様化してきているわけで、単純に人間VS人工知能のような図式になるのか疑問だね。人によっては、他の人間よりペットが重要ってこともあるだろ。

PK
ええと、それは人工知能=アンドロイドとして言っているのかな?

PM
たとえばの例ね。一例で言うと老老介護。そもそも介護自体が仕事を変えたり辞めたりすることにつながるし、被介護者への暴力、あるいは逆に権力者化する被介護者と疲弊する介護者という具合に様々な問題が生じうる上、介護する人が高齢だとその人まで倒れてしまうことが起きる。さて、ここで登場するのが介護ロボットだ。もちろんすぐに人間と似たような機能が果たせるわけではないけど、それこそbotが人間と区別がつかなくなるように、違いが徐々に解消されていくとしたら、どうなるか。

PK
家族より介護ロボットの方に親密さを感じる人間が出てきてもおかしくない、てことか。

PM
そう。だって結論のない老人の与太話にも嫌気なく付き合ってくれるし、我がままを言っても文句を言わないし、「こっちにもこっちの事情があるんだ」と身体の不調を訴えることもない。必要としているのがノイズをも含んだ他者ということでないのなら、なぜ介護ロボットより人間の方を選ぶ必要が被介護者にあるのかがむしろわからない。少なくとも経済的事情か、下手すりゃ「趣味の問題」という状況になってくる。

PK
まあ普遍的な人間性ってヤツがどんどん疑わしくなってくるのと並行して技術が発達していけば、いずれ逆転する場面がくるだろうね。つまり逸脱した人間より、人工知能の方が優れている→人間と人工知能は対等だ→逸脱することのない人工知能の方が上だ、という具合に。でも、「逸脱することのない存在」って本当にいいのかそれ?

PM
それはミルトンの「失楽園」的な話だよね。堕天使であるはずのルシファの方が神や天使よりよほど「人間的」に見えるという。そしてそれは悪なのかと。ただねえ、それすらも「趣味の問題」になっていくような気がするんだよなあ。

PK
どういうこと?

PM
世界が偶然性に満ち満ちている時には、非合理的な動機づけにむしろ強度が見いだせることもあるだろう。しかし、人工知能の発達によって非合理的振る舞いと行動の結果すらも計算の範囲内に入ったら、単にどっちを選びますかっていう問題になるからね。というわけでルックアットジスピクチャ。

 

 

 

PK
どでかい上にボヤけてるという意味で希有な写真だね。

PM
オナニーしながら撮ったんで心の乱れがそのまま反映してしまったらしい。

PK
オーガズムが世界に影響を与えるなんてBioshock Elizabethみてーだな。

PM
あああ、old happy daysが宙空に図像化されるYo!

PK
びょうきじゃん?

PM
ちがうモーン。ともあれ次回はこれをテーマに話を進めていきます。

PK
全然違う話になってもうた・・・

PM
これぞ計算不可能な人力の醍醐味。

PK
ゴッド・ブレス・ユー。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 誤算からの寺社仏閣巡り | トップ | イミテーションゲーム4 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

AI」カテゴリの最新記事