森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

ナラ枯れ

2006年12月15日 | 風景
 下越の里山が荒れている。旧三川村中ノ沢森林公園を訪れたとき、大きなコナラやミズナラの大木が枯れ果てている現状に出くわしたからだ。今まさに枯死した感じで、葉は赤茶色になり根元からは黄色い粉が噴出している。
 ナラ枯れは以前から報告されていて、私も時折コナラの枯死したもを観察していた。しかし、規模はそれほど大きなものでなく、単発的な感じであった。カシノナガキクイムシの穿孔による被害とそれによってもたらされる菌の仕業だといわれているが、その予防法は確立していない。かつての、日本中を襲った松枯れと同じようにナラ枯れは進行しているというのが近況である。
 見方を変えれば、人の関わり方が異なってきたのが原因という。かつてナラ属は主要な薪炭材として20~30年で伐採され常に新しい森として更新されてきた。その際、病気の樹も除かれ明るく若々しい森として維持管理されたのである。
 しかし、今は放置されさまざまな種の植物が入り込んできている。動物相を含めて新たな競争が起こっていると考えるのである。人が関わるのをやめた以上、今のナラ枯れは当然の結果ということになる。新たな安定した相になるまで植物界の栄枯盛衰は続くもだろう。