森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

フッキソウ(ツゲ科) の実

2006年12月17日 | 自然観察日記
 秋に白い丸い実をつける。遅くまで残っていたからか、中央が裂けてあたかも耳を立てた猫の輪郭に似ている。初冬に見つけた森の妖精のようだ。
 「富貴草」と書いてなかなか縁起のいい草である。いや、「草」ではない。扱いは「常緑低小木」で樹木の扱いなのである。肥大成長するようなものでもないし、全体に柔らかい感じがするから、ストンとこない。
 越後の山野にも生育し山奥のブナの林の下草にも見られる。日陰に強いから、庭や公園のグランドカバーの素材としても利用されごく身近でも見られるから親しみやすいものである。別名「吉祥草」で、1年を通じて茂るので、繁栄を祝う意味を表しているという。