ササ類が入り込んだ幾分乾燥してきた場所でしょうか、湿原の一角にオニノヤガラがぽつんと立っていました。意表を突かれた感じでしたから大変驚きました。経験的にはオニノヤガラは林縁の腐食の多い場所で出会う種でした。明るく湿地に近い場所のオニノヤガラはとても異質です。
花は終わっていて果実が茎に沢山ついているという時期です。腐生植物で地中には数センチの芋がありナラタケ菌と共生関係を結び栄養をもらっているという話になっています。この近くには他に株は見られませんでしたから単独で生活しているようです。まとまって生えていることは少ないのですが、それでも数個体がかたまって自生していることがあります。こんな場所で今後この株から複数の個体が生まれていけるのでしょうか。
オニノヤガラの果実をアップで観てみました。中を割ることができませんが、微小な種子がびっしりと入っていることでしょう。全体ではおびただしい数の種子ができているはずですが、それが自然界に放たれて生き残り次の世代になれる数の少なさに驚きです。「無駄」という言葉があっているのかどうか、おびただしい数の種子を作らないと生き残れない種なんですね。