日本産のスイレンです。湖沼に見られる浮葉性の水草です。県内の低地の湖沼にも広く自生していることになっています。しかし、個人的には低地の湖沼では観察したことがなく海抜の高いところの湖沼でしか見ていないので高山植物に近いイメージです。公園などで植栽されることも多いので、身近な植物になっていますが、自然界ではそれほど頻繁に出会う種ではありません。尾瀬の広い湿原ではあちこちの湖沼で見られます。
つぼみといっても数日間花が開いたり閉じたりしていますから、これはおそらく一度は開花して閉じているときの状態と思います。未の刻(午後2時ころ)に咲くのでヒツジグサといわれています。これは正しくなくて、越後丘陵公園の池に植栽された個体を観察していると季節によって変わってきます。丘陵公園の個体は早いものは5月下旬から花が咲きだしますが、この頃は開花は昼前から始まっていて夕方近くまで花が見られることもありました。しかし、7月に入ると開花は昼過ぎになって午後の2時から3時ころに開花するようです。同じ池にアサザが見られるのですが、6月のアサザはヒツジグサと一緒に昼過ぎ2時ころまで一緒に花が見られます。しかし、7月過ぎるとはアサザは昼前には花を閉じて、ヒツジグサと一緒に花を見ることはできません。ちなみに果実は水中に沈んで熟すようです。
小型のスイレンですから、池などに植栽されている外来のスイレンと同じような形態をしています。ただし、大きさはずっと小さく15cmくらいです。丘陵公園ではアサザを食害するミズメイガがはびこっていて、葉を切り蛹室を作るのですが、同じようなミズメイガによる葉の食害跡と蛹室を確認しました。切り取った葉を糸で合わせて蛹室を作り、この間に幼虫が潜んで蛹化します。