八方駅からゴンドラに乗って兎平に付きます。その次のリフトに乗るべく歩いていると脇の芝地にハルリンドウを見つけました。賑やかにたくさんの花を林立させています。この種は低地に見られるものですがここは海抜1400mほどありますから高山といかないまでもそれなりの高度があります。実はタテヤマリンドウはこのハルリンドウの高山型と考えられている種で両者を比較するには格好のチャンスに恵まれました。
タテヤマリンドウとの違いはあまり明確ではありません。花数が多いことと草丈が低いことくらいが違いとして理解できました。八方尾根の植物を記載した書籍によると山麓部にハルリンドウ高所にタテヤマリンドウが見られるとあります。話によると両種の堺目の個体はどちらにすべきか迷うこともあるのだとか。植物の分類の難しさを考えさせられました。ちなみにこのハルリンドウを新潟の地で見た記憶がありません。県内で自生しているのかどうか手持ちの資料にはありませんし周囲の人からそれらしいことも聞いた記憶がないので自生していないのかもしれません。県内にはフデリンドウがごく普通に見られます。
亜高山帯以上に咲く高山植物ですが湿地環境にはあまりみない気がしていました。もっとも鏡池湿原といっても湿原風な場所は限られていて乾燥化しているところもありそうです。いわゆるアネモネの一族です。全体に小さくかわいらしさが本種の特徴でしょうか。
石ころがむき出しになっている山肌にはキジムシロの花が見られました。低山帯に見られるのが普通なのですが幾分高所の黒菱平にも見られました。もともとの生育地なのか下から種子が運ばれて生育するようになったのか、おそらくスキー場の開発で種子が運ばれて居付いたと考えるのが適切な考えではないでしょうか。妨げるものがないので伸び伸びと四方に広がっています。
伸び伸びと生育している個体ですが、多くの葉が3小葉でミツバツチグリのようにも見えましたが、よく調べてみると5枚の小葉を持つものもあります。それ以上の小葉を持つ葉は見ていませんから案外キジムシロの高山タイプなどと考えてしまいがちです。しかし、キジムシロの高山形という話を聞いたことがありませんので、この個体特有の問題なのでしょう。
黒菱平のゴンドラ駅の基礎の外面にクリンソウがへばりつていました。植栽したものではなさそうで自然に発生した実生の個体でしょうか。花の見頃ですが人知れず咲いているのが少し哀れです。もう少しふさわしい場所に咲いていたら報われるのでしょうが・・。クリンソウは湿った場所に咲くイメージなのですがこんな環境にも生育できるのだと感心しました。海抜が高いので土壌の水分条件は恵まれていなくても霧やガスなどで必要な水分は補われるのでしょう。
サクラソウの仲間では最も大きな種です。栽培され庭先などでよく見かける花です。花色はさまざまなものがあるように思えますが、野生種はこの濃赤色のものが一般的なもので他の色は見たことがありません。サクラソウの花ですから短花柱花、長花柱花があると思いますが今回は確認していません。